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2019年5月30日 (木)

21世紀教師の歩む道(04)児浦良裕先生の「思考の存在理由を考える」講座

★21世紀型教育機構の「グローバル教育カウンシル」の3時間目は、児浦良裕先生の授業。「21世紀型教育の思考力とは?思考力入試を例にとって」という切り口だった。聖学院の思考力入試は、各メディアに取り上げられるほど有名で、3つの切り口で開発された3種類の入試がある。今回はそのなかで「難関思考力入試」を例に、実際にいくつか問題をグループワークで考えながら進行するミニPBL型授業だった。もちろん、思考力入試の問題をダイレクトに解くことが目的ではなかった。

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★聖学院は、思考力入試や授業をデザインする時、一方で、思考コードを使って、思考の広がりをモニターしながら制作していく。それは、2時間目に、文化学園大学杉並のDDコースのリヨ校長先生によってワークショップが行われたドライビング・クエスチョンの作り方に似ている。

★また、もう一方で、生徒がどこにむかって思考していくのか、その存在理由を先生方とシェアしながら開発もする。これは、1時間目に三田国際の教頭田中潤先生によって行われた授業のゴールデン・サイクルの考え方に似ている。

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★3人の先生方が、どこかでミーティングをして、ビジョンやコンセプトを共有して臨んだわけではない。それなのに、共鳴共振しているのは、21世紀型教育という真理を目指すところで同じ思いだからだろう。つまり、真理は時空を超えて一致するのであろう。

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★難関思考力入試は、昨年から行っている。テーマは違うのだが、最終的な問いの存在理由は一貫している。両方の問いを各チームで考えてもらったあと、その解答を問うのではなく、なぜこのような問題を出したのかその理由について問いかけがあった。

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★高齢者問題とAIの関係を問うたのも、パラリンピックと社会貢献の関係を問うたのも、それは誰も取り残さないということについて思考することを最も大切にしているからだということが先生方と共有された。

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★ただ、そこに至るまで、数多くのデータやグラフから何かを読み取ったり、読み取った思いをレゴで表現したりと、思考コードのB軸周辺をウォームアップしながら考えていけるようにする。思考のプロセスと言えば、それはそうなのだが、むしろマインドセットといったほうが聖学院らしいかもしれない。

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★話は、思考力入試の例だけではなかった。バリでの新しいプログラム作りをしたときの児浦先生の実体験についても語られた。バリで売り上げが半減している会社があり、そこをいかに立て直すか、企画を競い合うものだった。多様な企業から参加していたから、それぞれ最先端のマーケティングの理論や手法を使って、立派な企画を出し合ったそうである。

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★しかしながら、その会社のオーナーは、それぞれの企画案に感謝し喜びながらも、明らかにそこには立っていなかったという。もっとそのようなマーケティングを超えたところに立って、みんなを迎え入れていたという。その存在の大きさに、そもそも経済とか市場とか流通とか、そういうもはなぜあるのかというのを考えさせられてしまったいうのだ。

★結局、私たちが思考するというのは、「人間の存在について考える」ということにいつもつながっているということなのだと児浦先生は気づいたという。聖学院の授業のエッセンスは、思考力入試の対策講座であるミニPBL型授業に凝縮されている。つまり、それが、各教科の授業、多様なプロジェクトと響き合っているわけだ。テーマやトピックはそれぞれ違う。しかし、それは深みにおいて、「人間存在の理由」を問う響きで共鳴共振し合っているのであろう。

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