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2019年5月28日 (火)

21世紀教師の歩む道(02)田中潤先生の「21世紀型教育の市場の作り方」講座

★1時間目の講師は、三田国際の教頭田中潤先生。トピクは「21世紀型教育の市場の作り方」。市場というと、狭義のマーケティングを意味するとおもわれがちだが、田中先生は、広義のマーケティングの視角で語られる。つまり、商品をつくって、価格を決め、流通に流し、販売促進をするという一連の流れの話ではない。私立学校でいえば、カリキュラムをつくって、学費を決め、塾や情報誌にリリースし、塾訪問や合同説明会をするということと置き換えてよい。もちろん、それは重要だが、これは市場ができてからの話が中心。

★広義のマーケティングとは、そういう狭義のマーケティングが行える多様な関係総体=そのものやそのサービスを分かち合う信頼関係の総体を創り上げるという話なのだ。大げさに言えば、実は、「世界の創り方」ということ。

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★田中潤先生は、自分の最近こっている料理の話やダイエットのエピソードで会場をリラックスさせ、それが今日の話なのだと、異質のものをつなぐ意外性から話を始めた。参加者は、いきなり潤ワールドのトリコになった。つまり、この段階で、21世紀型教育の市場の作り方の極意は伝授されたわけである。

★いったい何が起こるのだろう?なぜそんなことを言うのだろう?といった?マークの数が頭の中いっぱいになるのである。興味と関心、好奇心、料理の作り方と市場の作り方という越境的な開放的精神。すべてはここから突き動かされる。


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★あのジョブスがApple社に返り咲いて、倒産寸前のApple社を救い現在のApple社の土台を築き上げたのだが、その最初につくったCMが、あの有名な“Think different”。商品の乱立で哲学が見失われていたApple社に、商品のプロモーションビデオではなく、Apple社の哲学、しかもそれは独りよがりではなく、マーケットのすべての参加者に共感を得るものを発信した。人と違う言動をする人を、人はクレージーと呼ぶ。しかし、私たちは、天才と呼ぼう。そして、それは自分の考えを深めとことん実行していくあなたもそうなのだ。そして、それは世界を変えることになるのだと。

★コンピュータは、一人一人が世界を変えることができるとワクワクしている人々に、そのメッセージは伝わったわけである。こうして、Apple社の製品が特別なものではなく、日常に欠かせない当たり前のものであるという存在感を生みだしたのだ。

★いまでは、Apple社は、ゴールデンサイクルといって、中心から外へ広がる「Why→How→What」という考え方に置き換えていて、わかりやすいアップル社の手法になっている。

★田中潤先生は、この市場を創る哲学の感覚を軽く紹介し、実際にチームで対話するミニPBL型の講義を開始した。21世紀型教育機構でも話題になっているSTEAMの中のAの働きや効果についてまず話し合い、それを実現するのにどうしているのか尋ねた。最後にどうしてAを行うのかと。

★つまり、ゴールデンサイクルの外側から中心に思考していくミニPBLで、すこんと根本的な市場の作り方の肝に行き着いたのである。

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★そこからは、この考え方を深める多角的な視点を説明され、それをどのように現場に落とし込んでいくのか、三田国際の思考コードなどで説明された。

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★そのうえで、狭義のマーケティングではなく、広義のマーケティングを行える組織開発の話に動いていった。最新のマーケティング理論や組織開発の理論を紹介しながら、これらの理論が実践できるPBLのエッセンスを伝授していった。結局は、PBLとは何かというより、なぜPBLなのかを問いたいということだったのだろう。

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★そして最後は、サムエル・ウルマンの「青春」の詩で締めくくった。

青春とは人生のある期間を言うのではなく心のありさまを言う。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯えを退ける勇気、
安易を振り捨てる冒険心、これを青春という。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いる。

★すてきなメッセージだ。ちなみに、これはリーダーズ・ダイジェストに掲載した時のもので、オリジナルの詩では、次の文言が入っていた。

ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。

★還暦をとうに過ぎた私にもまだ「青春」はあるということだろう。「創造力」「意思」「勇気」「冒険心」「理想」これらは、みなPBLを象徴する言葉である。PBLとは歳を超え世代を超えて「青春」という愛と希望を生み出す学びなのであろう。

★私のみならず、世代の違うそれぞれの参加者に愛と希望が広がった講義だった。

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