PBLとダブルダイアローグ 対話をしているようでしていないPBLはPBLにならない。
★このところ、いろいろな先生方と話す機会が急激に増えた。そして、PBL(Project based Learning)には、ダブルダイアローグが必要だというコトに気づいた。一見、相互にやりとりをしているから相互通行型の対話ができていると思いこむ場合が多いが、それが実質的には相互通行型になっていない場合が案外多い。
★学びとは対話であるから、今目の前の問題を考え解答を得ようとする自分とその問題を解く行為を通して、もっと何か大きな未知なるものに気づいている自分に気づいて、その両者で内省的対話が行われている。こうなると、一つの経験がその経験以上の感性や知性や人間関係界や自然法則などの大きな世界=Something Xに引き込まれていく自分の存在に気づきワクワクしてくるものだ。
★しかしながら、実際には独白では、その豊かさはなかなか広がらないし、そもそも目の前の問題も解決つきにくい。そこで、他者との実際的な対話が必要となる。かくして、Something Xがどんどん広がるには、実際的な対話、つまり直接的な対話と内省的な対話のダブルダイアローグが必要となる。
★子供の場合、本来そのSomething Xを豊かにしていく対話は経験豊富な大人とのダブルダイアローグが有効なはずだが、通常の大人は、Something Xには興味がなく、目の前の問題を解決することに終始しがちなのは、説明するまでもない。したがって、そのような大人と直接的対話をする子供は、内省的対話は稼働せず、大人の経験や体得した知識をインプットされ、強引に目の前の問題を解決することに引き延ばされるだけで終わる。
★直接的な対話があったとしても、一方通行的詰め込みや引き延ばしと実は変わらないという場合が多いのである。
★ところが、大人の中には、目の前の問題を解く経験や知識は豊富だが、Simething Xの可能性は、つまり才能の豊かさは自分よりも子供の方があると悟り、子供のSomething Xの部分が拡張するような対話をする。見た目は直接的な対話だが、内省的な対話が子どもの内面に起こるような間接的な対話をするのである。Something Xも豊かなになるが、目の前の問題を解決する経験や知識も自然と拡張する。
★これが20世紀型の一方通行型の講義と21世紀型教育のPBLとの大きな違いである。
★しかし、究極のPBLは、大人も子供も、つまり教師も生徒も、直接的な対話と内省的な対話の両方が互いに豊かになっていく。このときイノベーションやアーティスティックな創造物が生まれてくる。ファシリテーターは、ジェネレーターにシフトしている。
★そして、対話の肝は、「問い」である。ダブルダイアローグを豊かにする「問い」を生み出すトレーニングがPBL授業では重要になるのは、そういうわけだ。
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