21世紀私学人(03) 田中潤先生 教育で世界を変える鬼才
★三田国際の教頭田中潤先生からは、しばしば学びの理論及び組織開発についてお話をお聞きする。田中潤先生は、PBL型授業と探究ゼミを学内に浸透させている実践家でありなんといっても理論家だ。緻密に理論と実践を統合させていく。
★実践というのは、しかし、理論のみならず理念や理想とも一致しようとする情熱があると、ときにその実践は理論を超えて世界を変えるあるいは世界を巻き込む創造的破壊をもたらすものである。
★田中先生の知恵と世界を駆け巡る行動力は、実際に世界を揺さぶってきた。学歴エリート校をかなり追い詰める最先端かつ本質的な学びを生み出してきた。
★PBL型授業や探究ゼミを行っているということは、構成主義的学習観をベースに行っていることを示唆する。田中先生ご自身が、ピアジェ―パパート―レズニック及びピーター・センゲの構成主義的学習観の系譜について語るほど、理論家である。
★しかしながら、田中先生ご自身は、レヴィ・ストロースの研究家であり、同じ構造主義でもピアジェの認知心理学とは違う文化人類学的視点も持っているのである。
★アクティブ・ラーニングやPBL型授業の話題の中で、ピアジェやパパート、レズニック、センゲの話題はよくでるが、学習理論や組織開発論においてレヴィ・ストロースの視点まで持ちだす学校の教師にはそう出遭わない。
★しかし、子供学、心理学、文化人類学は、20世紀の3大学問であり、20世紀型格差社会、強欲経済システムのリスクをなんとか回避しようとする21世紀型学問である。
★パラダイム転換をもたらす21世紀型教育を標榜するのであれば、ピアジェの系譜だけではなく、レヴィ・ストロースの系譜も理解し、二つの系譜を田中潤先生のように統合する見識が必要なのかもしれない。
★田中潤先生は、ICT関連も造詣が深く、デバイスの背景のシステムを熟知され、実装している。それゆえ、Apple社も認めるApple卓越教師なのである。
★しかし、その田中先生が、最先端の学習の表層部分ではなく、根っこのある深層部部にまで思考を深められている。
★パパート、レズニック、センゲはMITの流れでもあるが、田中潤先生同様、若い時にピアジェとレヴィ・ストロースの根っこから研究したもう一つの構成主義的学習観の系譜を創った学者がいる。それは、あのハワード・ガードナー教授(ハーバード大学)である。
★一般に、IQと創造的能力は分けられるが、ガードナーはそう考えない。あのMI(多元知能)のそれぞれのドメインを全うすることで、そこから創造的能力が生まれてくるものであると考えている。そもそも、ガードナーは、IQテストで学力など測れていないと考えている。
★これは思考コードが、知識論理的学力と創造的思考力を分断していない発想に通じる。思考コードに関しても、田中潤先生は三田国際独自の思考コードを作成している。
★さらに、このような実践と理論の統合は、実は組織が強くサポートする環境になければできない。田中教頭の手腕は、学びの実践家であり理論家であり、その両方の統合を可能にする組織開発に類まれな才能を持っている。
★田中潤先生も、歴史に名を刻む21世紀私学人なのである。こう言ってもよいかもしれない。教育で世界を変える鬼才であると。
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