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2019年5月 7日 (火)

「深い思考スコア」と「偏差値」(01) 首都圏男子中学校の場合

晶文社学校案内編集部発行の「首都圏中学受験案内2020年度用」に記載されている「思考コード」と「偏差値」で、興味深い傾向を読み取ることができる。

★各学校の思考コードのうちB2・B3・C2・C3の領域を「深い思考」と呼んでみたい。B軸は論理的思考だし、C軸は批判的・創造的思考であり、レベル2・3は、論理やネットワーク、ループが複雑になる=3つ以上のつながりがあるから、「深い」という修飾語を付けて構わないだろう。

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★そして、「算数」と「国語」、および適性検査型及び思考力入試の「新タイプ入試」について、その「深い思考」の領域のスコアを合算してみた。

★たとえば、麻布の算数は、B2とB3の和は60、C2とC3の和は0であるから、麻布の算数の「深い思考スコア」を60として産出する。国語の「深い思考スコア」は65。新タイプ入試は行っていないから、この項目の「深い思考スコア」は0。したがって、60+65+0=125となり、これを、麻布の中学入試の「深い思考のスコア」とする。

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★こんな感じで、首都圏男子校30校の「深い思考のスコア」を出し、同書に記載されている「首都圏模試の偏差値」との散布図(相関図)を作ってみた。相関係数は0.6だから、関係がないともいえない。しかし、散布図をみると、聖学院と佼成学年は、ある意味特異点に位置している。

★算数と国語の和だけで出した「深い思考スコア」と「偏差値」との相関係数を出すと0.78だから、どうやら、新タイプ入試が加わると偏差値との相関が減少するようだ。すなわち、新タイプ入試を加算した聖学院と佼成学園は、他の男子校と違う何かがあるということだろう。

★なお聖学院の思考コードは、一般の国語と算数しか掲載されていない。同校の思考力入試は多数のメディアでも注目されているから、私の方で推測して80とした。もし、2019年度の特待アドバンストと思考力入試、および結果偏差値を使うと、散布図にあるように右上がり方向にシフトするはずである。

★このことは何を意味するのか。少なくとも、聖学院が偏差値にかかわりなく人気があり、偏差値60の生徒が、偏差値ではなく、自分の才能を開花できる環境があるという理由で選択している価値がデータ上現れているともみなすことができる。

★今まで、理念や言語的理屈だけで述べられてきた才能開発と新タイプ入試の関係がデータ的に検証される時代がやってきたのかもしれない。

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