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2019年6月 1日 (土)

工学院 今、保健体育と家庭科がおもしろい!未来を創る知を実装する!(2)

★工学院の柴谷先生の高2の保健体育の授業の後は、片瀬先生の中1の家庭科の授業を見学した。驚いた。家庭科という教科のイメージががらりと変わったのだ。いつもは料理実習などをしている空間だが、今回はmakers spaceのトルソー(全体ではなくその象徴的な部分という意味で。工学院の本格的なmakers space=fabラボは図書館にある。)という雰囲気。

★MITから工房運動が始まり、いわゆるfabラボは、世界中に広まっている。おまけにオバマ政権時代に学校にmakers spaceを5000くらい作るという政策が展開されたらしいから、MITメディアラボの3XPBLをベースにしたlearning by makingという学びも、MITメディアラボのシーモア・パパートとレズニックがコラボしたレゴを使った学びとともに、世界中に広がっている。その象徴が、あの有名なシリコンバレーで展開しているHTH(ハイテックハイ)。

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★片瀬先生は、裁ちばさみやアイロン、ミシンなどの道具について、その機能、効用、リスクを問答しながら、実際に生徒が使ってみる実習を進めた。まだ、何かを創るというのではなく、その前の、ツール、ロール、ルールの3要素の有機的つながりを実装するシミュレーション。生地を裁断したり、ミシンで縫ったり、アイロンをかけたり。

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★生徒の真剣な姿に、なるほどフロー状態(チクセントミハイが発見した、没入する心理的状態。ハワード・ガードナーも注目している学びの重要な状態)とはまさにこれだと。learning by making は、目標が明快だし、道具の使い方を間違えると危険でもある。だからリスクテイキングも背景にあり、スリリング。何と言っても物理的時間をワープしてしまう。

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★それにしても、今回の見学のラインナップは、教務主任田中歩先生に仕掛けられたなと直感し、一瞬ニヤけている自分がいるのに気づいた。もちろん、すぐに真剣な表情になって見学したが。

★というのも、柴谷先生の保険体育と片瀬先生の家庭科の授業を連続して見学すれば、すぐに工学院では両科目が連動しているというのがわかる。家庭という生徒にとって日常の世界に、実社会の世界を映し出し、そこから問題発見の意識を覚醒する仕掛けになっている。

★もちろん、片瀬先生は、柴谷先生の育児のときの夫婦の関係の問題を解決するためのダイレクトな解決策をイメージさせるに十分であるが、それ以上に、両先生の授業は、近代産業社会が生み出した様々な葛藤の中で家庭生活が影響を受けていることを実感する探究の授業さながらだったのである。

★柴谷先生の意識の質的リサーチによって問題を発見し解決を考える学びと道具の近代産業におけるイノベーションと矛盾の関係を思考する片瀬先生の家庭科はどこかでリンクするはずだ。

★と思っていたら、片瀬先生は、すでに、そういう話を柴谷先生とは議論していますということだった。もちろん、直接的な教科横断というのもあるが、今回のように間接的に教科横断しているということもありだということのようだ。

★ところで、最初に「いつもは料理実習などをしている空間だが、今回はmakers spaceのトルソーという雰囲気」と書いたが、料理実習こそ真の創造的思考を育成する場である。家庭科実習室が料理工房に変身する時また見学したいものである。

★というわけで、工学院の保健体育と家庭科の授業は、注目である。

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