2019年東京私立中学合同相談会 in 国際フォーラム(6)多元世界
★その学校に行くとそこには多元的世界が広がっているという学校がある。八雲学園、工学院、順天という学校がそうだ。多元的世界は、2つの側面がある。それは、多元的経験世界と多元的認知世界である。そしてこの2つの世界の比率のバランスは学校によって違う。
★八雲学園は、強烈な多元的経験世界を重視する。だからこそ、極限の経験を教育に取り入れているラウンドスクエアという世界のエスタブリッシュスクールの仲間として迎え入れられた。ラウンドスクエアを創るのに貢献したクルト・ハーンは、あのIB(国際バカロレア)構築にも尽力しているが、氏の経験主義が込められたプログラムはCASであろう。
★クルト・ハーン自身IB1号店ともいうべきアトランティック・カレッジを創設しているが、そこでのサービス(奉仕)活動の1つに、海難救助がある。岸壁にたたずむ古城をキャンパスにしているから、嵐の時に出動しやすい環境にあるからだろう。
★それにしても、自らの命をかけてまでの奉仕経験こそが教育だというのは、極端ではないかと私たちは思うかもしれない。しかし、クルト・ハーン自身がナチスによって投獄されても、自らの教育プログラムを軍事育成用に使わせなかったのは、命がけの教育を行っていたということだろう。
★私立学校の教育は命がけという話は、しかし、私学の教員は身に染みて理解できることだろう。八雲学園の教師は、そのことを真に一番理解している。先生方が命をはって生徒を常に見守っている。それでなければ、世界を駆け巡るあれだけの経験を学ぶことは生徒はできないだろう。
★工学院も、実に多元的経験世界に満ちているが、同時に「思考コード」という独自の知性観もデザインし、日常の学園生活や授業そのものに浸透させている。したがって、多元的経験世界と多元的認知世界のバランスはどちらかというと多元的認知世界に偏るが、今工学院もラウンドスクエア加盟に向けての準備をしている。やがて、2つの世界のバランスは1対1になるだろう。
★順天も、SGH指定校というコトもあり、多元的経験世界が広がっている。そして、その経験を広げ深めていく生徒の能力を、コンピテンシーに着目してルーブリックとして創っている。したがって、よりいっそう多元的経験世界が豊かになっているが、工学院のような思考コードを作成するプロジェクトもたちあがり、2つの世界の平衡が創り出せるように動いている。
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