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2019年5月29日 (水)

21世紀教師の歩む道(03)リヨ・ホイットニー校長のカナダの「PBLの肝Driving Questionsの作り方」講座

★文化学園大学杉並のDD(ダブルディプロマ)コースは、コースと言えども、カナダのBC州の学校がそのまま入っているインターナショナルスクールそのものである。

★BC州の教育は、非常に質もレベルも高い。公立学校でありながら、IB(国際バカロレア)並みのカリキュラム。しかも、ダイナミックにアップデートされながら進化を続けている。

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★BC州からこのDDコースの校長に就任しているのがリヨ・ホイットニー先生。今回のカウンシル2時間目は、BC州の教育のコアであるPBLのコツの研修だった。ここでいうPBLは、Project based Learningで、21世紀型教育機構と波長が合う。それで、カナダのPBLと日本のPBLの違いに興味をもったリヨ先生は、今回快く参加してくださった。

★BC州の教育はグローバル市民性がベースだから、対話やコラボレーションをして、自発的に深い思考の道をたどっていくのは、ある意味当然なのである。

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★だから、PBLによって、コアコンピテンシーであるコミュニケーション、シンキング、コラボレーションを養うのも当たり前なのである。だれか特別な生徒が学ぶのではなく、このコアコンピテンシーはすべての生徒が学ぶのである。少し考えるとすぐにわかるが、このコアコンピテンシーは、すべての教科を越境できるだけではなく、民主主義の根幹であるからだ。

★だから、PBLを行うことは、それほど難しいことではないのが、カナダの知的文化ということだろう。

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★ただ、BC州では、よりよきPBLのために、教員研修は必須で、充実した研修はいかにしたら可能かと内省しながら取り組まれている。

★リヨ校長先生は、「PBLで、最も大切なのはドライビング・クエスチョン」だという。どのような問いを投げるかで、PBLが浅くなるも深くなるも決まるのである。

★ドライビング・クエスチョンの特徴は、オープン・エンドな問いであり、対話やコラボが必要であり、最終的には根源的な本質的な問いにたどりつくが、そこまでは、多様な身近なドライビング・クエスチョンで思考の道を歩んでいくのである。

★だから、自分で解く、挑戦心や好奇心、自己決定の意志など学びのモチベーションが内側から生まれてくるのである。

★ドライビングということばから、コントロールされるという意味合いも感じないわけではないが、リヨ校長先生は、それは全く違う、教師と生徒が、いっしょに運転しながら先に進み続けるという駆動力を大切にしているのだという。

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★そして、ルーブリックは、このドライビング・クエスチョン集が、重要な役割を果たしていると。生徒のどんなコンピテンシーを豊かにし、成長を促進していくのか、問いとルーブリック項目が合致した時、最高の力を発揮するという。

★したがって、ドライビング・クエスチョンをつくるミニPBLスタイルに移行した。チームでトピックを出し合いながら問いをつくる。その対話がある程度のところまで進んだら、今度はギャラリーウォークをして、気づいたコトや新たな問いを参加者が相互に追加していく。ここでもコラボレーションが行われている。

★このドライビング・クエスチョンにいたる小問のシークエンスの作り方は、3時間目の授業、児浦先生の「思考力入試」の問いの作り方に相当する。また、PBLの存在意義であるドライビング・クエスチョンを大切にするリヨ校長先生の考え方やマインドは、三田国際の田中潤教頭ともシンクロする。

★世間では、PBLとは何か、効果はあるのかを巡る議論はまだまだあるが、21世紀型教育機構の場合は、効果があることに疑念はなく、PBLを実施する存在理由そのものを共有していくことはいかにしたら可能かということが重要であるということが、改めて確認できた講義だった。

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