「深い思考スコア」と「偏差値」(05)首都圏共学中学校 異変は確実に起こっている
★晶文社学校案内編集部発行の「首都圏中学受験案内2020年度用」に記載されている「思考コード」で「深い思考スコア」を算出し、首都圏模試の「偏差値」との関係を読み取っているが、今回は、首都圏の共学校112校のデータで相関グラフを作成。
★やはり首都圏女子校同様、偏差値の高低にかかわりなく、共学校も全体「深い思考スコア」が高いところもあるしそうでないところもある。この全体「深い思考スコア」と「首都圏模試の偏差値(男女が違う場合があるので、男女の平均偏差値)」の相関係数は、0.28であるということはそういうことを示唆している。
★共学と言えば、今や渋谷教育学園グループ。アジア圏の帰国生にとって、圧倒的な人気校でもある。グラフでも高思考力、高偏差値のポジショニングの絶対的な覇権を有している。
★しかし、高思考力だけでみれば、工学院、東洋大京北、本庄東、三田国際、宝仙理数インターが肉薄している。偏差値的にも三田国際は迫っている。
★共学校というのは、昔から、偏差値の高くない学校が、グローバル教育と考える授業に本格的に取り組むことによって、急激に注目を浴びるチャンスのある領域である。男女御三家のような歴史的しがらみがない場であるということもその理由の1つであろう。
★しかも、今や東大合格実績では男女御三家も脅かしている渋谷教育学園グループは、だからといって東大合格を目的にしているわけではなく、東大以上のクオリティの高い海外大学の進学も多数輩出している。この領域では、御三家も太刀打ちできない。
★だから、大学合格実績を出すことを第一の目的とするかどうかについて、受験業界に右顧左眄する必要がない。本物の教育の道を大手を振って進んでいくことができる。そうすることで、かつて渋谷教育学園グループがそうだったように、結果的に大学実績も伸びていく。
★上記の高思考力の入試を設定している学校では、高2までは、自分の興味のある分野を深堀していく探究活動がしっかり行えるから、高3になって戦略的な受験勉強に切り替えれば、十分受かってしまうという事態が常態化するのである。5年間の才能開発、地頭開発が、それを起業に応用しようと思えばできるし、受験勉強に応用しようと思えばできる状態を生みだしているのである。
★だから、中学入学前に、偏差値が高くなくても、考えることに抵抗がなければ、なんとかなるのである。考えることに抵抗がなく、高偏差値であれば、現状の共学校の覇者渋谷教育学園グループに挑戦すればよいし、小6段階で高偏差値はゲットできていないが、考えることは好きである場合は、自分の才能を開発できる共学校を選択すればよい。
★グローバル教育と深いあるいは高い思考力を基礎にして探究活動ができる自分ごとのプロジェクトを創発できる学校から多くのすばらしい人材が活躍するようになるのは、まず間違いない。
★新たな価値ある学校がたくさん生まれる時代がすぐそこまでやってきている。
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