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2019年5月15日 (水)

「深い思考スコア」と「偏差値」(06)首都圏共学中学校 ここに未来が潜在している

★前回、首都圏共学中学校112校を対象に、全体「深い思考スコア」と首都圏模試センターの「偏差値」の相関グラフを作ったデーターから全体「深い思考スコア」でソートしてベスト30の一覧を出してみた。

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※表の「女子校」という項目は、「共学校」の誤りです。

★このベスト30の中に、偏差値40レンジの学校が11校入っている。30%以上の学校が、いわゆる高偏差値校に挑戦しているわけだ。しかし、偏差値50以上の学校も、その11校同様、新タイプ入試を行っている結果、ベスト30に入っているところが13校ある。

★つまり、80%が、全体「深い思考スコア」のうち、論理的思考力だけではなく、創造的思考力も問うているのだ。この「事実」は極めて重要である。

★この「事実」をいつまでも無視して、創造性を入試で問う変な試験をしてよいのかと揶揄するとしたら、それは表現の自由でよろしいのだけれど、歴史的にあとで振り返れば、かなり社会的問題を無視した発言になりかねない。

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★新タイプ入試の「深い思考」を除いて、算国だけの「深い思考」で「偏差値」との相関を上記グラフでみてみよう。すると、これは相関係数が0.74で、強烈な相関がある。しかも、算国の「深い思考」はB2B3という論理的思考の複雑な難問に限られ、C2C3のような創造的思考はほとんど含まれていない。

★したがって、上記のグラフの80%は、偏差値の高低にかかわりなく算国の「深い思考スコア」が40以下なのだ。しかもさらに細かく見ると国語はB2B3以上はほとんど出題していない。

★もし新タイプ入試がなければ、共学校80%の中学入試準備段階の学びは、結局知識を詰め込むだけの準備になり、ワクワクするような学び体験や深く考える喜びを体験しないままになる。

★これによって、探究格差が完全に出来上がってきたのだ。しかし、この80%の学校の中から新タイプ入試を開発して実施するようになったのが昨今である。新タイプ入試を加えると、前回示した次のグラフになる。

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★ここに、中学準備段階からワクワクする探究の学びを体験したり、没頭して考える時間に喜びを感じる生徒が増える画期的な真の教育改革が起こっているのである。ここに未来が潜在しているともいえる。

★いろいろな学校の適性検査型入試や思考力入試の対策講座のワークショップを拝見しているが、本当に鼻を膨らませ、目を輝かせ、興奮して思考に没入し、プレゼンしている中学受験生の姿をたくさんみる。

★そのワークショップは、リフレクションが挿入されているのが常だから、そこで子供たちは、こんなに文章書いたことがないと自分で自分をほめることになるし、もっともっと考えなくてはと自分にエールをおくることにもなる。もちろん、考えること、描くこと、発表することがこんなに楽しいなんてという“Hard Fun”を感じるのは、みな共通だ。

★新タイプ入試を実施する学校は、試験回数も多い。一方では生徒募集のための戦術でもあるからだ。だから、ワークショップのハンドアウトやプログラムをその都度デザインするのは、なかなかたいへんだ。しかし、生徒のその“Hard Fun”を乗り越える果敢な姿をみると、先生方自身も興奮してくる。やはり生徒の成長に出遭うとモチベーションあがりますねと口々に語る。

★今では、MITメディアラボのレズニック教授らの影響のもとに開発されたレゴのシリアスプレイなどのプログラム(シリコンバレーなどの会社でも活用されるワークショップ)に象徴されるように、数多くの様々な最先端の構成主義的学習のプログラムが実施されている。

★そこには、組織開発、人材開発の最先端のプログラムが創意工夫されている。U理論、学習する組織、構成主義的学習、クリエイティブラーニング、アルゴリズムラーニング、CLILなどレゴに限らず多様なプログラムが開花している。基本全てはPBL型ワークショップである。

★先生方も、様々な専門的な研修に参加し、自己マスタリーを積極的に行っている。新タイプ入試を通して、生徒も教師も学び、入学後のカリキュラムに、いうまでもなく、その最先端の学びが根付くことになっている。

★新タイプ入試が、アドミッションポリシーのみならず、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーにも影響を与え、その学校の教育力の質を結果的に磨き上げることになってきたのである。

★この動きは止められない。また止めてはいけない。ここに未来が潜在しているからだ。大学入試改革がどうなるかわからないが、大学入試が変わらなければ学校は変わらないといつまでも言っている教師も実はだんだん少なくなってくるだろう。

★なぜなら、これほどおもしろい教育が新タイプ入試と共に広まりつつあるのだ。いつまでも、そんなことを言っていたら、変化したくない自己都合の理由を言っているに過ぎないと評価されることになるからだ。それに、実は、学習する組織を導入したPBL型授業は、教師の負担感(業務自体は減らないかもしれないが)がなくなるということにも気づかれ始めている。

★発想の自由人、発想の転換、考える喜びの共有、創り出すおもしろさ、好奇心のふくらみ、なぜだろうという探究心の広がりと深まり・・・こういった学びの姿勢を、入試だからストップさせるのではなく、この学びの姿勢を支持する入試にシフトしていくことは望ましいことではないか。このような挑戦をしている学校は、偏差値以上に価値があるのではあるまいか。挑戦する学校及び先生方を応援しようではないか。

★これはある意味政治的社会的動物である人間として、幸福な社会を創ろうとするかしないかの政治的決断である。教育の選択は、実は政治的決断と行為でもある。だから、そこは自分で決めなければならない。論理的思考力だけで社会を運営するのか?創造的思考を生かして社会を共に創っていくのか?どちらを選択するかという問題でもある。

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