21世紀型教育の意味(15)知識と知るというコト
★21世紀型教育というと、知識ではなくて考えることだという話になる。しかし、これは標語だったり、商品広告のコピーみたいなもので、本意ではない。20世紀型教育が知識を憶えるためのモノとして扱ってきたことに対し、それとの違いはわかりやすく表現しただけである。
★本当は、知識は、知識が形成される過程が記憶された種であり、その種が芽吹く環境設定が学びであるということなのだ。しかし、こういうとわけがわからないということになる。だから、知識を憶えることが勉強だと思っていることに対し、憶えるのではなく、考えることが重要なのだということになってしまった。
★エッ!ということは知識の中に収納されている考える過程を引きだすだけで、プログラム通りの人生を歩かなければならないのと思うかもしれない。たしかに、多くの場合そうだったのかもしれない。画一的教育なんて言葉もあった。
★しかし、種は環境によって成長の仕方も花弁の美しさの度合いも違うし、品種改良だって昔からある。個性もあり、イノベーションもあるのだ。
★問題なのは、種の名前だけ憶えて、それぞれの種の成長の、つまりここでは思考のメカニズムを学ぶ機会が、ほとんどなかったというのが20世紀型教育だった。では、21世紀型教育ではその思考のメカニズムを解明できているかというと、残念ながら、思考のメカニズムが作動する、つまり比ゆ的には、種が芽吹く環境づくりをするファシリテーターなるもので満足している段階にいるということだ。
★医療であれ農業であれ、現場と実験と学術研究が循環するシステムになっているのに、教育は、すべて現場の出来事で、実験と学術研究が循環するシステムを構築していない。
★実験や学術研究はもちろんあるが、それが全部現場の教育活動の効果をあげるノウハウ研究に終わっているのだ。学びの社会への影響、学びの自己への影響、学びの脳神経系との関係などは、社会学、心理学、脳科学などに任せられている。
★知識と知るというコト(つまり考えるというコト)の関係のメカニズムを学問的に解明する機会が訪れることを期待している。
★私の場合は、U理論がベースになっている“generative scribing”とタキソノミーとコンピテンシーを掛け合わせた“思考コード”を結び付けて、メカニズムを先生方と研究しているが、やがては脳神経科学と結びつかなければと思っている。
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