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2019年4月14日 (日)

2020年首都圏中学入試動向(01)「英語入試」激増と今年から稼働する「大学入試英語提供システム」との関係

★2019年の首都圏中学入試において、英語入試を行う学校は激増した。大学入試改革の動きと共に、中学入試では適性検査型入試、思考力入試、自己アピール入試など新タイプ入試が激増しているが、その中の1つである英語入試も同様に激増。

★しかしながら、英語入試は、新タイプ入試における「論理的思考・創造的思考重視」という学びの論理の動きだけではなく、大学入試センターの個別的政治的動きに対応する意味もある。

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★どういうことかというと、ご承知の通り、昨年末、大学入試センターが「大学入試英語成績提供システム概要」を発表したが、それによると、英語民間検定試験団体の試験を受検した場合、たとえば今の高2生だと、高3になった4月から12月の間に2回までの成績を活用できるということになっている。

★英語民間検定試験団体は複数だから、同じ団体のものでなくてもよいのだが、出せるのはとにかく成績は2つ分までなのである。だから、IELTSを2回受けてTOEFL2回うけても、その中の2つまでしか成績を活用できない。しかし、生徒が何回受けたかはどうやって大学側は調べることができるのか。それは物理的に不可能である。

★それゆえ、大学入試センターが、共通IDを発行して、成績データベースを一元管理して、成績の提供は、センターと大学でやり取りしようということになっている。そうなると、受験生は、共通IDを大学入試センターから発行してもらい、そのIDを民間検定団体の英語を受検する際に、ID記入用紙に書いて受検することになる。

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★ああ面倒だから、民間検定試験など受験しないと思っている人もたぶんに多いだろうが、そうなってくると、東大は受験できるが、早稲田の政治経済学部やICUは併願できないということになる。気づいたときには、両私大は、大学入試英語成績提供システムを通した成績票を要求するから、間に合わないということになるのだ。

★個別に受けて、成績表を添付する出願形式ばかりではなく、この提供システムに属していないと出願できない場合もあるのだ。なんだこんな面倒なこと!と怒ろうが、批判しようが、現高2は、はやくも、この11月に共通IDを大学入試センターに申請しないと、2021年春の大学入試に間に合わないのだ。

★しかも、これは在学生の場合、図にあるように、在学高校が一括して申請するから、学校側が俊敏に動かなければ、間に合わない。高校の進路指導部が、一般入試を受ければよいからと暢気なことをいっていると、併願できる大学とそうでない大学がでてきて、困るのは生徒なのだ。

★それと中学入試における英語入試の激増はどんな関係があるのか?それは、大学受験勉強が今ままでのように直前ギリギリまででよいというわけにはいかなくなったということだ。現高2は、高3になるや民検定試験を受検することになる。おそらく、50万人も受検する(もしも全員受検したらの話)わけだから、大混乱するに決まっている。はやめに好成績を残さないと、入試に間に合わないということになりかねない。

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(今年、慶応湘南藤沢は英語入試を行った。来年以降他校への影響は必至だ。また増えるだろう。スライド提供は首都圏模試センター)


★つまり、英語に関しては、実質高2までにハイレベルなスコアを収めておかねばならない。各学校が今までのカリキュラムを1年前倒しにすることがすぐに可能だろうか?もちろん、私立学校の場合はやってのけるが、この提供システムを活用する大学は中堅以下でもかなりでてくるだろう。

★すると、今までのように習熟度でできる生徒の場合はそう難しくないが、そうでない生徒にも促進的なカリキュラムを提要しないとなると話はだいぶ違ってくる。グローバル教育を掲げる学校は多いが、その学校が、こんなところで「英語格差」を生み出すわけにはいかない。

★そこで、入学当初から英語ができる生徒が入ってくれれば、態勢を整えやすい。だから、新タイプ入試でも、英語入試の実質合格率は54.9%と低くなっている。三田国際などは、英検で準1級を持っていても合格しないケースもあるぐらいだ。

★中学受験における学校選択で、自分は英語入試を受けないかもしれにが、英語入試や帰国生入試をきちんと行っている学校を選択すると、そうでない学校に比べ、英語の面倒見がよいはずだ。高2までに英語力を高める必要があるからだ。実質、高1までに高める必要があるだろうから、英語ができる生徒がすでに30%くらいまでいれば、そうでない学校に比べ、シナジー効果も絶大だ。

★もちろん、英語の必要性は、大学入試改革のためというより、その後のソサイエティ5.0に向かう時に大いに必要とされる。というのも、2030年頃には、高度人材の50%は外国人高度人材で占められているから、そこでコミュニケーションをとったり、ある意味競争になったとき、英語でなければ議論もできないという状況になっているはずだからだ。

★なぜ、日本語を学んでもらえないのかと思うだろうか。いまでさえ、外国の高度人材は、英語でコミュニケーションができる環境にないから日本をスルーし始めている。2030年以降、このままでは日本の国力は下がっている。仕事のしやすい環境を創らざるを得ないのである。外国からの高度人材の方々と協働するしか他に道はない。

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