【GW特集】工学院の新たな時代[01]功を奏す「5つのゾーン」の相対的独立
★21世紀型教育を推進して、工学院大学附属中学校・高等学校は5年目に突入。プレ導入期を加えると、6年目に突入した。21世紀型教育を実現するには、21世紀型学びのソフトパワーのイノベーションがまずは必要であるが、それだけでは、持続可能性が担保できない。21世紀型組織作りが必要である。21世紀型組織は、学習する組織と戦略組織のバランスによって成り立つ。そして、学習する組織はエンリッチメント型とアクセラレーション型の、これまたバランスによって成り立つ。
(カリキュラム実践ゾーンとその質をあげる教師の才能成長を追究するチームのスーパーバイザーでもある教務主任の田中歩先生。工学院のみならず21世紀型教育におけるキーパーソンの1人である。)
★この2つの学習する組織と戦略組織は、組織のソフトパワーである。だから、ソフトパワーもカリキュラムという教育ソフトパワーと組織のソフトパワーの2つがある。
★このソフトパワーというのは、目に見えないものだから、なかなか工学院の教育の質の豊かさが見えないできた。だから、世の中は、見える部分だけをみて、ポジティブに期待したり、その逆のイメージを抱いたりと、玉石混交だった。マーケットというのはそういうものである。
★工学院の先生方は、そういうマーケットのダイナミクスに揉まれながら、組織作りを試行錯誤してきた。そして、5つのゾーンを編み出した。それはアドミッションゾーン、カリキュラム実践ゾーン、カリキュラム質的ネットワークリサーチゾーン、ディプロマゾーンである。
★このそれぞれのゾーンの中で、2つソフトパワーのイノベーションとそのイノベーションを現実化する道具立てのデザインがなされていった。
★このデザインは、道具立てを動かすメカニズムとソフトパワーを動かすシステム思考がカップリングされていなくてはならない。そして、極めて複雑だが、見た目はシンプルに見えなければならない。それはスマホのデザインがシンプルで中身は複雑なコンピュータの配線になっているのと同じである。
★したがって、ある一握りの管理者が、5つのゾーンを統括することはほぼ不可能だ。経営判断はもちろん、管理職のチームにあるが、それぞれのゾーンが最適な働きをするには、それぞれが相対的に独立して動きかつ調和を創り出す必要がある。
★それぞれのゾーンによって、2つの学習する組織と戦略組織という組織ソフトパワーのバランスは違う。このことは、最初バラバラに動いているように外から見えたし、中にいる職員もともすれば一致していないと不安がっていたときもあった。しかし、それぞれのロールプレイを最適化することが公平性を生み出すのであり、形式的平等を遂行するだけではうまくいかないということにあるとき気づいた。
★アドミッションゾーンは、今大きく質的な変容をしようとしている。ディプロマゾーンも成果をあげてきている。この両方のゾーンのもちろん満身創痍になりながらの改善へのピッチは、21世紀型教育が中心になって回転しているカリキュラムゾーンにも大きな影響を与えている。
★というのも、入学してくる生徒も新しく入ってくる教師も、工学院の教育のソフトパワーに共振共鳴共感して入ってくるから、教育活動の相乗効果が凄まじいのである。このシリーズで紹介するが、たとえば、英語科の教科会議を英語で行うのは、今では多くの学校が行っているところであるが、授業リサーチの創発研修チームも英語と日本語が飛び交っている。英語ができなければならないとか、日本語ができなければならないというようなストレスはまったくない。
★グローバル社会にあって、互いに言語が違っても、まずは創意工夫して意志疎通を図ろうとするマインドセットが重要なのである。私も、参与的観察者型ファシリテーターとして参加する場合、プレゼンテーションツールに日本語と英語の両方を書いたりする。私自身は英語は不得意だ。だがわが友人グーグル翻訳くんは強いミカタである。
★それに、工学院の英語教師は、すぐに通訳してシェアリングする能力が高いから、外国人教師も日本語教師も両者が安心してワークショップを遂行できる。そのようなダイバーシティーが当たり前のコミュニケーション環境が教師と生徒の創造的思考を刺激しないはずがないのである。
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