学びの組織を開発する先生方と共に≪17≫ アサンプション国際小学校 進化する<学習する組織> ③
★アサンプション国際小学校は、子供たちが多様な経験を通して好奇心を旺盛にする環境をマインドセットしている。その環境は、今まで紹介してきたように英語ばかりではない。ICTを活用した主体的・対話的深い学びのプログラムも充実している。高学年になると、1人1台のタブレットを活用して知識の意味のネットワークをまとめていく。つまり小学生でありながら、自然現象、社会現象、精神現象のつながりを探究するために、出来事の「概念化」をしていくのである。
★もちろん、「概念化」という言葉は、子供たちはまだ知らない。蒲生教頭によると、大事なことは、概念化や理論化が含まれている経験を積むことだという。
★今泉先生の高学年の社会科の授業を見学した時、子供たちは、1人1台タブレットを自在に活用していた。世界の国々から関心のあるところを選択して、その国の基本情報をまとめる思考作業をしていた。たんなる調べ学習ではなく、一つの国の在り方を多面的にまとめあげていく編集作業と最終的にプレゼンする学びである。
★蒲生教頭によると、「高学年は、まだ改革学年ではありませんが、教え込む授業ではなく、対話型PBL授業の環境を選ばれた帰国生や海外経験者のお子さんもすでに編入してきています。そういう生徒は日本語サイトだけではなく、英語のサイトも調べます。幅が相当広がります。本当に時代は変わりました。そして、私たちもがんばらなくてはとちょっと焦っています。」と。
★どうして焦っているのですかと尋ねると、「先ほどご覧いただいたイングリッシュコースのイマージョン教育やアカデミックの英語の授業を思い出していただければお分かりかと思いますが」と。「あっ、なるほど、あの生徒たちが高学年になったとき、当然調べる範囲は、みな英語サイトに拡張するわけだし、プレゼンも当然英語というコトですね」「そうなんですよ。その量的変化は、私たちの学びのデザインの質のアップにつながります」ということだった。
★三宅副校長先生が、外国からのゲストが訪れたとき、見事に通訳してくれるのは、生徒なのです。ICTの操作や英語も生徒から学ぶ時代がやってきました。ネイティブスピーカーの教師をだいぶ揃えていますが、私たち自身もチャレンジする時代ということです」と。
★なるほど、丹澤校長が、中高のPBL授業やイマージョン教育のクオリティのアップが必須だとリーダーシップをとっているのは、これだったのかと了解した。ほかの小中高の附属校にくらべ、アサンプションは小学校から中高に進学する率が高い。他校の場合は、ともすれば、小学校から中学受験して外に出てしまう生徒の率が高いが、もともと英語のアサンプションで、自治体でもモデル校になっているから、小学生のころから国際的な感覚を育てたいという家庭が比較的多い。
★中高の大学進学先も、上智大学や関西学院の推薦も豊かなため、小中高一貫という雰囲気がある。
★そういう事情がゆえに、アサンプション国際小学校の生徒のソフトパワーの向上は、中高のカリキュラムにも相乗効果を与えているのである。小学校の21世紀型教育改革は、3年目であるから、もう3年も経つと、つまり2021年大学入試改革実施が開始されている時期には、アサンプション国際の中学の扉をたたくわけだ。そのとき、アサンプション国際中高の教育が、附属小学校の生徒や保護者の納得のいくカリキュラムにさらに成長している必要がある。
★外部環境の変化によって、外発的モチベーションで変わるだけではなく、学内の内発的動機付けで中高も変容していくというのは、すばらしい変容の仕方である。そして中高のソフトパワーの品質向上が、今度はそこにつながるように小学校のソフトパワーの向上に循環していく。
★3年前始まったアサンプション国際小中高全校挙げての校名変更、共学化、21世紀型教育へのソフトパワーシフトは、壮大な好循環を生み出すことになる。その確かな手ごたえを感じないわけにはいかない。
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