進化/深化する学校(02)聖パウロ学園の場合②
★「進化/深化する学校」の指標として、生徒募集が好調だとか、大学合格実績が伸びているということはあるが、なぜ好調なのかなぜ伸びるのかの理由が教育の「進化/深化」の質によって決まっているということは見過ごされがちである。見過ごされるというより、外から見ることはなかなか難しい。
★ところが、聖パウロ学園の場合、少人数教育だから、学校組織も、人材としての教員の力育成も、シンプルに集中して運用できる。生徒と保護者と教師の関係がマインドとシステムの両面でつくることができる。学校説明会で出遭う教師も、授業で学び合う教師も、進路指導で今そして未来を対話する教師も、生徒や保護者にとって知らない教師はほとんどいない。
★そして、その教師が組織を運営している。だから、教師が一丸となってコトに臨めば、その勇気は組織全体にすぐに染みわたり、生徒にも保護者にもその力と雰囲気はすぐにも伝動する。
★もちろん、その逆も起こる。そのことを一番よく知っているのは、先生方自身だ。だから、8つのCの能力を互いにモニタリングしながら持続可能にしようと自己研修をしている。
Curiosity
Communication
Creative Thinking
Critical Thinking
Collaboration
Contribution
Confidence
Challenge
★研修の中で最も大事にしていることは、この8つの能力が授業の中で発揮される学びのコアモデル=思考の学びのコアモデルの可視化・構造化の共有である。
★学びの過程や思考の過程をフローチャート化していくディスカッション、プレゼンテーションを行っているのである。
★授業のフローチャートをスクライビングする研修だけだと、授業の展開を意味する指導案を再構築しているという発想からなかなか抜けきれない。授業の展開は。学びの過程であり、学びの過程は、思考の過程である。生徒は、そのような思考のコアモデアルが常に展開している授業で、アクティブになりながら、頭で汗をかきながら、試行錯誤しながら、自分の仮説を幾度も焼き直し、検証していく授業での言動に浸りながら、学びの過程や思考の過程のコアモデアルを身体でイメージし、頭脳に同化していく。
★この同化されたコアモデアルに基づいて、今度は学びはじめ、思考し始める。そして、このコアモデルの調整方法も授業の中で体験することによって、今度は同化のコアモデルの再構築の方法も頭脳に同化していく。
★だから、たとえば、先日は「成長」について、自分の仮説を立て、それをチームでディスカッションしていくワークショップをおし進めていった後、その過程をフローチャートとしてスクライビングするワークを行った。この構造の構造をモニタリングする過程こそ、授業のシークエンスを学びの過程に転化し、さらに思考の過程のコアモデアルに転換させるアクションである。
★これによって、生徒が、学び及び思考のコアモデアルを同化し調整できるようになると、自らようやく主体的・対話的な深い学びを自走していけるようにあんる。聖パウロ学園にはこのメカニズムの研鑽が教師によって日々行われているのである。
★このように、カトリック精神の理念=黄金律の理念を21世紀型教育で実現していくというビジョンを共有し、その実現のシステムをチームで考えていく先生方。もちろん、それぞれ考え方や感じ方、価値観が違うことを尊敬し合う寛容さがベースにある。また、それぞれが自分で探究し自己陶冶していくことも欠かさない。つまり、教材研究、新しいネットワーク、新しい理論をそれぞれが研鑽を積んでいる。
★こういう組織を、最強の学習する組織だとMITメディアラボのピーター・センゲ教授は言うのである。PBL型授業に先生方が取り組んだ結果、学習する組織の理論ありきではなく、自然とその理論にあてはまる組織が生成されたのであろう。
★学習する組織はイノベーションを生み続ける組織としてパワフルでもあることは多くの組織や団体で実証済みである。そして、それがゆえに、実行はなかなか難しい。それを聖パウロ学園の先生方はやってのけている。それゆえ、聖パウロ学園の進化/深化はとまらない。この魅力が、少人数制教育が故に、説明会に訪れるや感受性の強い受験生に共感されるのである。
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