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2019年3月 7日 (木)

2020年首都圏中学入試の学校選択(09)聖学院の場合

★聖学院は今年も人気だった。しかも男子校であるにもかかわらず、思考力入試で30人も進学する学校になった。明らかに男子校の中で別次元の価値ある学校になっている。偏差値偏重、大学合格実績主義の男子中学受験入試にあって、タレント(才能)、テクノロジー(科学&言語技術)、トレランス(寛容な心)という3Tを土台とした創造的才能者が集う学校である。

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★このようなあまりにストレートな本物の教育は、眩しすぎて、正面から見ることができる人は少ないはずだ。しかし、聖学院にこれだけ集まるとは、日本の危機直面2025年問題に対しても希望の教育がここにはあるということを示唆しているのかもしれない。

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(聖学院拡大戦略会議を運営する聖学院のリーダー。左から日野田先生、児浦先生、伊藤豊先生、角田校長)

★聖学院のこの本物教育の評判は、学内外の対話ネットワークの広さと深さによって巻き起こっている。

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★2月の中学入試が終わるや、2020年度の教育の組み立ての総点検を先生方と行い、授業デザインの研究会でワークショップも行った。

★そして、聖学院ビジョンとバリューを再確認・共有し、外部環境、学内環境の弱みや障害を再リサーチし、それを問題解決し、ビジョンとバリューを実現するための戦略と教育・授業のアップデートを仕掛けている。


★先日も、そのシナリオ・プランニングを、学内リーダーだけでなはなく、ICTのスペシャリスト、AO入試などの新しい大学入試指導の第一人者、受験市場のシンクタンクのリーダー、マーケティングリーダーも参加する拡大戦略会議を開催。

★形式的硬直的なミーティングではなく、創発型会議で、遠慮なく各人のアイデアをぶつけるミーティングだった。

★創発会議は、提案されたアイデアを診断するような問いかけや戦略として妥当かという分析的な問いやアイデアの良さを評価する対話がベースではない。

★話の流れで、そのような問いもでてくるが、各人のアイデアが、提案されたアイデアと融合するかしないかという小気味よい議論が中心となる。

★最終的には、聖学院の先生方が話し合って決めればよいので、このような会議には、明快にストレートにアイデアを持ち寄ることが重要なのである。

★もちろん、メリット・デメリットを分析するのは当たり前である。それはアイデアを述べる時に未解決のデメリットの存在を明らかにしておいて、最終的にそのデメリットをどうするかは後に回す。

★デメリットがあるからそのアイデアはダメだとかいうのでは創発会議にならない。かといって、いいことずくしのアイデアばかりならべるのも無責任である。

★聖学院のミーティングは、ブレストの雰囲気がありながら、目の前に実行可能なアイデアがあふれてくるところが、行動力のエネルギーを生み出している。ブレスト主義からアイデア実装主義へのアップデートが適度な緊張感と明日への期待と実行する仲間との信頼関係を生んでいる。

★これは、生徒同士も同じなのだ。多様なプロジェクト活動が実行されている聖学院だからこそ、イノベーションを生み出し、コレクティブインパクトのケミストリーを起こすことができる。聖学院の学びの在り方は、得難き良質の息吹の循環を生成し続ける。希望の男子校だ。

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