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2019年3月 1日 (金)

2020年首都圏中学入試の学校選択(07)香里ヌヴェール学院の場合②教科と探究の結合のヒント!♪

★香里ヌヴェール学院の西川先生の中1の地理の授業を拝見して、気づいたコトがある。定期テスト直前の授業だったため、知識の系統的なつながりの問いを連射していたが、その系統的なつながりに、地理以外のフェーズをつないでいるのだ。

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★多様な知識。1つひとつの知識にも背景知識がつながっている。西川先生はことばの魔術師さながらだから、修辞学的手法をふんだんに入れ込んだ対話をする。その中でも外延と内包を入れ替えながら進めていく対話がすごい。

★たいていは、外延的なつながりを広げていくか、内包的な深まりを追究していくか、分けて知識のつながりを教え込む。一見拡散と集中の思考運動を行っているようだが、どちらも一方向に伸ばしたり膨らましているだけだから、閉鎖された領域での知識体系になる。

★しかし、西川先生は、外延で使っていた言葉を、瞬時に内包に転化するかと思えば、外延に転化するというスイッチの切り替えをしながら対話していく。視点の運動が、知識の体系の境界線を越境することになる。

★春小麦と冬小麦の違いを対話する時、たいていは地理的条件という枠内で内包的に進めていく。しかし、春小麦と冬小麦の経済圏のメリットという外延的視点を持ち出すことによって、自然と経済社会と人間の欲望という精神のつながりのシステム思考のプロトタイプを生み出す。


★生徒たちは、この瞬間にいっせいにアハ体験反応をする。もちろん、今回だけで、これを自分のモノにする生徒はまだ少ないが、このようなプロトタイプを問う質問に直面し続ければ、やがて生徒全員がプロトタイプを組み立てるシステム思考をルーチンとするだろう。


★まして、主幹の龍美先生によると、定期テストでは、どの教科も20%~30%は、このようなクリティカル&クリエイティブな思考を使う問いを出題するように変わったと聞き及ぶ。システム思考がルーチンになる環境をイノベーションしたということだろう。

★さて、教科横断というという時、たいていは「テーマ」の共通性を問いかける。そして、そこから探究が始まるというマインドセットが多い。コンテンツ型教科横断探究志向である。

★たしかに、知識ベースの表層的な側面から深イイコンテンツを探究していくことができる。しかし、たいていそのテーマは教師が予め設定する。どうしてそのテーマなのかは不問に付される。したがって、他のテーマに教科横断探究メソッド的な応用力が生まれない。

★そのテーマがたまたま自分の人生がぴたっとマッチングした時、その生徒にとってはラッキーなことに探究は楽しいだろう。しかし、そうでない生徒にとっては、テーマ型はつまらないか、苦痛でしかない。やらされ感満載になる。

★そこで、テーマを自由に選んでとか好きなテーマや関心のあるテーマを選んでということになるのだが、これとても、自分の関心のないテーマは眼中にないということになりかねない。よく大人でもいるではないか。興味ないねとか言い捨てる人。無関心は愛の反対語であるとは、マザー・テレサが語ったあまりにも有名な言葉である。

★多様性認知性を高めるには、そして安心安全な心理状況をシェアリングするには、相手の話に耳を傾ける姿勢は大切ではなるが、これも形式的な傾聴では元の木阿弥である。そんなシーン、意外と多い。

★どんなテーマにも、分野や領域を越境できるプロトタイプの結晶を自らが見出せるシステム思考が身に着けば、それは解決するかもしれない。

★教科の授業で、ベースはA軸B軸思考をトレーニングすることになるが、テーマ型のトリガークエスチョンだけではなく、このようなプロトタイプクエスチョンを投企するコト。その瞬間にC軸思考が立ち上がる。これこそプロジェクトの意味ではないだろうか。ハイデガー的に過ぎるかもしれないが。


★このような気づきをいただいた西川先生に、心から感謝申し上げる。

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