学びの組織を開発する先生方と共に≪03≫八雲学園 チームワークのスーパーモデル
★しかし、なんといっても、教師と生徒の絆には涙腺がゆるまざるを得ない美しさがある。この「チームワーク」「絆」を長年コーディネートしてきた偉大な教師の1人に教頭の高木先生がいる。
★あの日本のバスケ界を背負うと各種メディアで注目を浴びている奥山理々嘉選手の育て親でもある。今月高3だった奥山選手は、八雲学園を卒業した。卒業文集で、冒頭こう述べている。
「私は高校3年間、様々な場所で色々な人に出会ってきました。学校の先生方や友人、部の仲間など沢山の人にお世話になりました。この人達は皆、私の事を応援してくれ、支えてくれた大切な人達です。私はこの全ての人に感謝の気持ちを伝えたい。その中の1人に『ありがとう』を一番伝えたい。」
★一番伝えたい人とは誰だろう?もうおわかりだと思うが、奥山選手はこのあとの文章で、精神的にも技術的にも人間的にも「共に」歩いてくれたその人の情熱と愛情の深さを切々と語っている。そして、こう締めくくっている。
「最後に、私はこの人に出会えてよかった。八雲学園に来て本当によかったです。そして伝えたい。高木先生『ありがとう』と。」
★一方、高木先生は、同じ卒業文集で「卒業に寄せて」という贈る言葉を書いている。その中の1節にこうある。
「どんなにスーパースターがいても一人では勝てません。アシストパスをしてくれる人、リバウンドをしてくれる人、ディフェンスを頑張ってくれる人、それぞれがそれぞれの役割を果たしてチームに貢献するからこそ、勝利を得られるのです。八雲の強さはここにあります。」
★また、こうもある。
★ここでいうスーパースターは、高木先生は、もちろん、奥山選手を示唆しているが、明言しないのは、教頭として、すべての領域で、このチームワークを浸透させているからで、あくまでバスケットのチームファルコンズは、そのプロトタイプだからだ。
★このチームワークは、決してみな平等に扱うのではない。スーパースターも生み出すパワーをもっている。しかし、そのスーパースターはチームワークがあるからこそ誕生する。それには、公平に役割存在が必要なである。そういう意味で高木先生は平等にメンバーと対話しているわけだ。
★高木先生のチームワーク論は、先生ご自身が積み上げてきた経験によるものであるが、世界のバスケ選手やコーチの情報もしっかり収集し、それを生徒に語ってもいる。つまり、いまここで集中していると思っていたら、その視線が遠く世界にシフトするダイナミズムを生み出している。
★そのことは、同文集でも語っている。詳しくは文集を手に取っていただきたいが、このバスケ部のチームワークがグローバルなレベルで耐えられるようになっている。そして、それが八雲学園全体を同じようなレベルに押し上げている。
★それにしても、チームの名称が「八雲ファルコンズ」というのがまた素敵ではないか。ファルコンとはミヒャエル・エンデの「ネバ―エンディングストーリー」に登場する白い竜である。
★いじめられっこの少年バスチアンが、冒険の中で多くの人と出会い、虚無の世界に飲み込まれようとしているファンタージェン王国を救う成長物語なのだが、常に共にいるのが、ファルコンである。
★純粋な心のファンタ―ジェンを支えてくる良き友ファルコン。チームは互いにファルコンのように支え合う。そんな意味が込められているのだろうか。
★高木先生は贈る言葉の最後のパラグラフで、新しい世界は楽しいことばかりではないと冷静な視線を卒業生に向ける。そして、こう締めくくる。
「どんなことにも負けない強い信念を持ちなさい。多くの人達の声援があることを忘れずに、夢を実現することを願っています」と。
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