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2019年2月 3日 (日)

麻布の中学入試問題④ 理科 おいしいコーヒーの淹れ方を科学する

★麻布らしいといえば、麻布らしいのだが、今年の理科の入試問題で、コーヒーの淹れ方を科学する問題が出題された。私は、トラジャを毎日淹れて単純に味わうのを楽しみにしているのだが、昨日から淹れるたびに麻布の問いが思い浮かび、豆の挽き方やお湯の注ぎ方にいちいち考え巡らしている新しい自分がいることに気づいた。入試という特別な空間を「越境」して日常生活に影響を与える問い。ヤラレタな(笑;)。。。


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★とはいえ、コーヒーの淹れ方は、受験生にとってはまだそうなじみ深いものではあるまい。麻布の試験が終わった直後に中国大使館側から麻布に向かって入試問題を購入しに行ったのだが、父親と息子の中には、問題についてどこができてどこが難しかったか語りながら家路に向かっている姿も多かった。

★そのときは、まさかコーヒーの淹れ方を科学する「コーヒー問題」が出題されているとは思わなかったから、意識して対話の内容に耳を傾けることはしなかった。しかし、おそらく、父親が淹れるコーヒーについて、ああでもないこうでもないと語りかける息子も多かったのではないか。

★家族円満の入試問題というのも何とも粋である、いやコーヒー淹れるときにいちいち入試問題が介在してくるのは野暮というものかもしれないが、ともあれ、麻布の問題は、今も記憶に残るものが少なくない。

★リニアモーターカーの動く原理を探っていく問題は、磁石のプラスとマイナスの差異が生み出す基本的なところから考えていく問題だった。物理現象の微細な差異がものすごい運動エネルギーを生み出す発想。物理を超えて、いろいろな人間の言動における基本コンセプトではないだろうか。すくなくとも、そのイメージは私の生活の仕方に影響を与えている。


★理科ではなく社会の問題だったが、コンビニのバーコードからみえる資本主義のシステムを考察する問題も衝撃だった。機械の自動化がモノ作りだけではなく、サービス業にも侵食してきた話だったが、すでにAI社会のメリット・デメリットを考える基礎は、決して新しいものではない。自然現象にしろ社会現象にしろ基本原理や基本的な考え方は普遍的/不変的なのかもしれない。

★今回のコーヒーの淹れ方の科学も、実は「酸化」とか「表面積」「体積」の機能を適用していくと解ける問題も多い。化学変化と物理的作用。そこから「変化」と「均一」の関係が抽出されるが、入試問題を超えて実用的に使える発想につながる。

★他の問題も、比較と置換の差異の運動が現象を生み出しているダイナミクスの思考作用が貫かれている。とはいえ、相変わらず40点満点で40問出題されている。瞬時の判断力が必要であると同時に、インプロ手法の学びがすでに入試問題で応用されている。

★問題のコンテンツもおもしろいが、思考の速度感が異次元である。自由と創造の環境はじっくり考えることだけではなく、限界内で創造する自由という両方が必要だ。そのマインドセットが入試準備の時から始まっているのが麻布らしい。

★思考時間感覚というのは、人によって違う。ある人からみたら、直感的に処理しているように見えるが、本人は瞬時に論理思考を展開しているだけかもしれない。直観力というのもおそらくコンピテンシーの1つにいれるといいのではないか。

★現状のコンピテンシーや総合的な探究の時間というのは、どうも思考時間感覚というものを無視している気がする。

★文科省の方々や教育自治体の方々も学力とは何かを考えるなら麻布の入試問題を体験してみるとよいだろう。そこから本当にどんな教育改革をしらよいのかアイデアは生まれてくるはずだ。

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