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2019年2月 2日 (土)

海城の社会の入試問題 観光の歴史や経済を問う

★今年の海城の社会の中学入試問題も、「けれんみ」のあるテーマだった。それは、観光の歴史や経済的なものの見方に関するものだった。

★海城の社会は、社会科の中学卒業論文のカリキュラムがストレートに反映した論述式の問題で有名。今年ももちろん出題。テーマは麻布の社会科とシンクロすることが多い。社会科の教師の現代から歴史や未来を見据えるという鋭い視角が共通しているのかもしれない。


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★両校とも、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年開催予定の大阪万博などの情報を前提に、グローバルな視点で問題を出題したのである。実は武蔵もそうだった。武蔵についてはまた別の機会に述べたい。

★それはともかく、麻布は社会学的なクリティカルシンキングをベースに問いの構造を組み立てるのに対し、海城はデータや情報を客観的に分析する視点をベースにしている。入試問題から学校の特徴がわかるのもおもしろい。

★さて、海城は、観光に関連するテーマとして、外国人の宿泊を促進する民泊の規制緩和を取り上げている。そして、上記の問題のように、「本文」「資料」「データ」から、規制緩和の理由を130字以内で説明する問題を投げかけている。

★あくまで、限られた条件から分析できることだから、なぜ外国人の民泊促進をしなければならないのか、日本経済の現状や少子化の話はここでは盛り込めない。

★ただわかるのは、訪日外国人の数が増えすぎて、宿泊施設が相当足りないこと、政府の外国人訪日数を大幅に増やす情報がわかっていること。データから、その増やす数に伴う経済効果が具体的な数字で予想できることなどは読み取れる。

★これらを整理してまとめればよいわけだが、「本文」を読まないと、「データ」が生かせない。3つの情報を漏れなく分析する的確さも重要な要素になる。

★受験生は、ある意味特別な知識がなくても、データや情報のリテラシーと分析視点の相関をどのように論理的に組み立てられるのかを要求さっれる。なかなかスリリングな思考力型問題である。

★他の問い全体を見れば麻布と比べて、知識を確認する問題も多いのが海城の問題。両校の社会科の教師のそれぞれ特徴ある優秀さが映し出されていて実に面白い。入試問題は学校の顔という言葉はやはり明言である。

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