聖学院 CゾーンとC軸思考で はやくもアップデートへ
★この研究会の主宰者は、21教育企画部長の児浦先生だが、参加は自由。学校というのは、24時間体制で生徒を見守る家族的組織の側面もある。民間企業のようにはいかない。
★だから、自由な雰囲気、安心安全な雰囲気を、教師も生徒もつくる。そのような雰囲気を阻害する大きな要因は、強制的な言明が飛び交うことだ。あくまで、好きだから参加するとか今回は参加しようという自己決定を児浦先生は大切にしている。
★だから参加する先生の数は伸縮自在。連日の入試が続いたから、参加者は少ないかなと思っていたが、なんと多くの先生方が参加したのに驚愕。
★聖学院の先生方は、状態目標やメタルーブリックで生徒の非認知的能力と認知的能力を把握する視点を言語化してきたが、児浦先生が静岡聖光学院のワークショップに参加して、言語化をさらに記号化した思考コードにすると、より横断的に先生方がコミュニケーションでき、カリキュラムデザインも共有しやすいと確信。前回から思考コードを教科主任と話し合って、仮説を立てて、使いながらブラッシュアップしようというアジャイル手法で進行する意思決定をみんなでした。
★アイスブレイクでいつも行うダイアードは、いつになく発熱量が大きかった。「人間以外の生物に意識はあるか?」は思考コードのどの領域で授業してみますか?などいきなり投じてみたら、「思考コード」に対する関心がすでに自分事になっていたから参加したという感じでスタートできた。
★しかし、突然想定外のことがおきた。ダイアードの後、スクライビングをするのだが、語り部の予定の先生が、急な会議で参加できなくなった。スクライビングをトリガーに成り立つこの授業デザインワークショップは一瞬どうなることかと。せっかくこんなに先生方が参加しているのに。
★すると、国語科主任の島立先生が、特に用意はしていないけれど、いつも自分が行っている授業、自分の考えていることでいいのならやってみたいなあと。これだ。これが聖学院の雰囲気だ。

★語り部が7分間で自分の授業を語り、スクライビングを担当した先生が、その授業を再現する。そして、各チームでもう一度分析しなおす。7分間では語られない情報がある。いわば、トルソーなので、足りない情報はチームが復元する。
★これがU理論などで行われているスクライビングとは少し違うところだ。トルソークエスチョンに対し、復元していくから、自ずといろいろなバリエーションが生まれる。創発型スクライビングと命名しているのはそういうわけだ。
★このワークショップは、そのつど参加する先生方が違うので、トリガークエスチョンを投げたり、トリッククエスチョンを投げたり、フェイククエスチョンを投げかけたり、今回のようにトルソークエスチョンを投げかけたりするわけだ。 ファシリテーターは、その場の感覚を大事にする。あらかじめ用意したものを、全く使わない時もある。今回もそうだった。

★しかし、それは最初の一撃だけ。初めにロゴスがあったというパワーがあればよいだけだ。あとは、チームでどんどん話し合って、授業を復元し、アナリーゼをやって、創発の焦点を見出していく。
★ファシリテーターは、ただ時間を区切って、プレゼンの機会を設ける。プレゼンしたら、そのプレゼン内容をリフレクションしながら、分析を足していく。そのとき教師と生徒や生徒同士の関係だけのフローチャートを書き込んだり、思考コード分析をしたりする道具を提示するわけだ。
★どんな感じになったか、プレゼンする前に、思考コードの分布を計算して割合でデータ化する。聖学院で行う授業デザインのワーックショップは、物語→フローチャー化→再現物語→復元と分析→言語化→図式化→測る化→聖学院用語と結びつける→聖書の聖句のシーンと結びつける→内省化→内生化・・・・の変幻自在の連続。

★そして→の部分では、対話・議論・プレゼンという実はリフレクションを各チームで回していく。そしてそのリフレクションを言語化したりして全体で共有していくというループがたくさん生まれている。

★しかしこれができるのは、聖学院の先生方がCゾーン(コンフォートゾーン)という心理的な安心安全の雰囲気を生み出すケアフルなマインドを持っているからだ。

★今回先生方が改めて気づいたのは、聖学院の授業はA軸から階段を登るようにB軸に進んでいく授業ではなく、Cゾーンを形成して、何を語っても安心というB軸思考が稼働するようなマインドセットをしているということだった。
★そこから足りない知識を、生徒は身体化していくし、その身体の中を巡る知の循環が、C軸思考、つまり創造的な思考や発想を、一握りの特別な生徒だけではなく、生徒1人ひとりが生み出していける土壌になっているのだということ。授業1つ1つの中にプロジェクト学習の土台が埋め込まれているということなど多くの気づきがあった。
★思考力入試、PBL型授業、キャリア教育などが有機的につながっているのは、このような聖学院の先生方の創意工夫とケアフルなマインドがあるからだが、今回はその有機的なつながりを、言語化、見える化、測る化して、カリキュラムデザインを教師も生徒も丸ごと共有できるようにしようということなのではないか。
★すでに思考力セミナーはそうなっていて、だからこそ塾などで出張セミナーができるようになっている。多くの参加者と共有して広がっている。
★聖学院のカリキュラムマインド、カリキュラムシステム、カリキュラム創発力などを共有できるカタチが思考力セミナーに反映しているからだろう。
★これを6年間のカリキュラムとしてデザインしていくには、教師が一丸となってマインドもシステムもスキルも創発力も協力して組み立てていく必要がある。あるときは深い森を歩きながら迷い込むかもしれない。そんなとき、思考コードは光となって、道を拓くことになるだろう。
★たった9つのマス目であるが、この中に聖学院の教師の想いがすべて集積している。そのエネルギーは凄まじい力を生み出すはずである。
★今後の聖学院の進化に大きな期待が高鳴る。
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