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2019年2月21日 (木)

【2020年度首都圏中学入試動向の切り口_11】 中学入試市場のプラットフォーム多様化へ⑦

★海外大学進学準備教育というのは、これまでの日本の教育では、ほとんど行われてこなかった。最近では、eポートフォリオという話も出ているが、いったい生徒は、何をどう書けばよいのかどんな指導が行われているのだろうか?実は、このポートフォリオという考え方もその実践も海外における大学準備教育では当たり前のように行われていることだ。

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★2月17日のセミナーのトークセッションでは、石川一郎先生(香里ヌヴェール学院学院長)、窪田淳先生(文化学園大学杉並国際部主任)、鈴木裕之氏(GLICC代表)が語ったが、それぞれすでに海外大学に進学した生徒を育てている。


★石川先生ではないけれど、グローバルアスリート同様、学問も海外大学で学ぶようになるのは止められない自然な流れである。21世紀型教育機構の各加盟校は、国内外の進学準備教育を特別な形ではなく、日常のPBL型授業の中で行っている。


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★たとえば、文化学園大学杉並のDD(ダブルディプロマ)コース では、特別な探究プログラムではなく、教科の授業の中で、自分とは何か、ディスクライブ(describe)する。ディスクライブだから、言語、ドラマ、イラストなど好きな方法で行う。

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★石川先生や鈴木氏も、「あなたはリンゴをどう説明しますか?」のようなシンプルだが深い問いを生徒に投げかける。

★しかし、この問いも、“explain”ではなく“describe”という言葉が使われている。この違いを説明するとなると、私の力では無理があるが、どうやらこの違いがわかる授業がPBLである。

★デザイン思考とかいう言葉もあるが、この学びが生まれてくる背景には、当然なこととしてこの違いがある。

★欧米では、第二次世界大戦において、倫理観や経済思想、法思想が悲劇的に真っ二つにわかれた。よって、価値の自由や価値の中立というテーマが当然重要である。日本もこの第二次世界大戦に大きくかかわっているにもかかわらず、この問題をなぜかスルーしてきた。

★自然科学であれ、人文科学であれ、社会科学であれ、市民の生活世界であれ、この問題とどのように向き合うかは、とても大切なことである。

★海外大学準備教育を、オプションで行うのではなく、普段のPBL型授業で行うには、このような価値があるのである。価値自由とどう向き合うかという価値意志。価値のリスクとそれを回避する価値。

★この見方を考慮しないで、小論を書かせるのが、国内大学の問題なのである。どんなにルーブリックをつくろうが、eポートフォリオを行おうが、この価値の自由を議論する価値意志を扱わない限り、知識を憶えるだけではなく思考力を大事にする入試だとしても価値の刷り込みという自己加害的なリスクを内包してしまう。


★内容の価値で採点することはないと言われているし、その通りなのだが、“describe”ではなく自分の考えを“explain”するというのは、合格のための価値が刷り込まれるメカニズムが内包されている可能性が高い。だからといって知識が大事だなどとは言っていない。知識万能主義程価値の刷り込みはない。


★IBのシステムは、当然このリスクを回避する思考のトレーニングをすべてにわたって行っている。そうでなければ、10の学習者像を土台にしたグローバルリーダーは輩出されない。

★21世紀型教育機構が、IBやカナダのBC州のプログラム、ケンブリッジイングリッシュ、ラウンドスクウェアなどの研究をし続けるかというと、このリフレクシブモダニティのメカニズムを読み解けるクリティカルシンキングを生徒が体得する必要があるからだ。

★危機という予測可能な壁ではなく、調子よくみえているからこそ予測不能なリスクがあることについて、自然科学も、精神科学も、社会科学も、生活世界も考える力を身につけることが必要なのである。

★論理的思考では、このリスクは見つけられない。それがゆえに、創造的思考力がようやく日本でも必要とされるようになってきた。戦後日本の教育は、危機管理は行ってきた。臭い物に蓋をする危機管理のリスクが今になって勃発しているが、本当のリスクは論理的思考主義にあったのである。

★石川先生が全国の教師から人気があるのは、論理的思考はもちろんするが、そのリスクを見破る創造的破壊としての創造的思考を放つからである。そしてそのトークは会場を知的興奮の渦に巻き込んでいく。

★学歴ブランド校が恐れる怪物の1人なのである。

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