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2019年2月21日 (木)

【2020年度首都圏中学入試動向の切り口_09】 中学入試市場のプラットフォーム多様化へ➄

★前回「歴史は、それでよいのかと時代を俯瞰しゆさぶるから、学歴ブランド校以外が、偏差値競争をしているだけでは、ある意味市場で評価されなくなるリスクに先に気づき、再帰的近代化機能を働かせる」と記述した。こうして2011年から2019年にかけて、中学受験市場のプラットフォームは多様化した。

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★最初は、「学歴ブランド校―学歴競争校」という枠組みから「21世紀型教育校」が越境してきたが、そこにIB教育系、シリコンバレー教育系、自己啓発教育系が加わり、それぞれ離散集合しながら新しいプラットフォームが分散拡散するようになった。

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(準アッパーマスをミドルマスとした)


★したがって、2019年の首都圏中学受験人口のうちイノベーターの9,600人が、新タイプ入試を実施する進歩主義的プラットフォームグループ を選択するようになった。しかしながら、限られたイノベーター受験人口だから、プラとフォームが多様化することによって、当然21世紀型教育機構の加盟校の攻防戦はなかなか厳しいものとなる。出願数は減らすが、定員は確保する加盟校や満身創痍になりながらふんばった加盟校もある。

★そんな中、三田国際は、富裕層でかつイノベーターの1,920人に支持された。これは、三田国際にとっては今までにない出来事である。というのも、今までは、アッパーマス、ミドルマスによる支持が多かったが、徐々に富裕層にシフトし、おそらく今年はここの層が圧倒しているだろう。

★この流れによって、学歴ブランド校を支持してきた富裕層で保守的だったグループの中に、超進歩主義的教育を実践しているイノベーションブランド校を目指す受験生が現れてきた。

★これまでは、富裕層は、高偏差値ブランドを購入してきたが、高偏差値で新たな別ブランドの三田国際は欲求の対象になり始めたのである。

★こうして、三田国際の先鋭的な教育によって、学歴ブランド校に対し「再帰的近代化機能」の攻撃が仕掛けられ、それに学歴ブランド校側も無視できなくなってきた。

★特に、この富裕層(ここでは、野村総研の定義する超富裕層・富裕層・準富裕層を包含している)に属する仕事は、会社経営、医者、学者が多いから、学歴ブランド校が保守的な部分が濃厚すぎると、自分たちの仕事がAI社会に向けて革新を起こしているために、疑問を持ちはじめる。

★しかし、この再帰的近代化機能は、サイエンスの力が働き、産業化されシステム化されるから、再び学歴ブランド校が防衛側から攻撃側に変わる。特に学校側がシステム化するだけならばよいが、塾という産業がここをカバーし始める。

★すると、富裕層はその塾からシフトはしない。すると、三田国際のようなイノベーションブランド校もこの富裕層の論理を受け入れることになる。

★本来、富裕層を受け入れる私立学校の目的は、社会を活性化するために知恵や資産を活用できる人材を輩出するのだが、実際には、その社会は20世紀型経済社会だから、この影響をマーケティング的視点では回避することはできない。

★しかし、再帰性というのは、常に新たなリスクを生むが、そのリスクを解決する機能をするのである。イノベーションを起こすがマーケティング的側面よりもコミュニティーシップを発揮し、新しい経済社会を創出する創造的思考を育てる学校が登場する。イノベーションとWell-Beingの共生を生み出す黄金律校である。

★マーケティングが前面に出ると優勝劣敗マインドという黄金律とは対峙する。またイノベーションではなく、自己啓発的なマインドフルネスによってWell-Beingを果たす学校も出現する。ただ、ここは保守的な富裕層は見向きもしないし、富裕層のイノベーターも眼中に入るのは三田国際のようなイノベーションブランド校である。あくまで「ブランド」が必要である。

★こここに学歴ブランド校であれ、イノベーションブランド校であれ、経営の時速可能性というパフォーマンスゾーンを守り切ることができるようになる。

★これに対して、マーケティング的なブランドロゴは必要としないが、社会に貢献する黄金律を高く掲げるベンチマークとしてイノベーションwell-Beingゴールデンルール校はシンボライズされていく。ブランドとシンボルの併存が中学受験市場の新しい特徴になってきたのである。

★富裕層は、今のところ「ブランド」どまりであるが、「シンボル」にシフトする可能性もある。それはおそらく富裕層の中の準富裕層でイノベーターであるグループから生まれてくるだろう。その人数は1400人弱いる。

★ここが、新たな再帰的近代化機能のダイナミクスの担い手となろう。

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