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2019年2月20日 (水)

【2020年度首都圏中学入試動向の切り口_07】 中学入試市場のプラットフォーム多様化へ③

★首都圏中学入試において、新タイプ入試(適性検査型入試や思考力入試、英語入試)の実受験者数は、12,118名(2019年2月17日現在首都圏模試センター調べ)である。英語入試を除く新タイプ入試の志願者数の推移は次の通り。

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★もはや、これは2科4科のテスト以外に適性検査型入試と思考力型入試、英語入試などの新タイプ入試も市民権を得たと言えるのではないか。市民権というと政治的な言説だから、中学受験市場としては消費者が認めたというほうがよいかもしれない。

★最初は、学校が応募者獲得のための生徒獲得戦術として行っていた部分もある。しかし、それだけでは、これほどまで新タイプ入試は成長しない。

★2020年大学入試改革の影響はもちろん大であるが、政策的なものは、消費税政策と同じで、一過性ということもあるが、これほど順調に伸びているのは、他にも要因があるだろう。

★それは抑圧からの解放を市場のプレイヤーは欲すようになているということだろう。抑圧からの解放とは、知の制約をぶち破るダイナミクスが働きはじめたということだろう。それをある意味証明しているのが、聖学院や静岡聖学院の思考力入試である。適性検査型よりもさらにC軸問題のC3思考の重要性を宣言した思考力入試が今年の中学受験市場で評価された。

★とにかく、知の抑圧からの解放を求める欲求は、各界のパワハラ騒動払拭の動きや一握りの権力の横暴に対する世界同時的なデモなどに象徴化されているかもしれない。

★知識を憶えて、それを活用できるかどうかの能力が学力だというのは、ICTのこれだけの発展がパーソナライズな環境を生んでいるのに、自己欲求を満たせないという思いがつのる。

★自己肯定感が低いのは、当然の帰結であろう。

★そんなとき、聖学院や静岡聖光学院のように、自分で考え想像し、新しい知識や学び方を創意工夫できる新しい学習システムが目の前に現れたらどうなるだろう。しかも、知識と論理的思考を計測していた基準はもはや、それらを測れない。

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(今年大ブレイクした聖学院の思考力入試。同校21教育企画部長児浦先生が、いかに生徒の潜在的才能を顕在化できるのか、生徒の驚きの成長の軌跡を熱く語った。)


★偏差値悪玉論ではなく、偏差値という基準の多様性が生まれるのである。学びに対する反応率が偏差値で表現できるが、学び方が違えば、そのスコアも違って出てくるのである。

★新しいタイプの入試は、偏差値で測れないというのは、レトリックにすぎず、数学的にはあるいは科学的には、測る対象が違うから、異なる偏差値スコアが算出されるということだけだろう。それが公平でないとか信頼性がどうのとかいうのは、また別の問題である。


★ともあれ、思考コードの登場によって、多次元偏差値で9つの思考領域の偏差値が測れるようになった。

★今までの一つの偏差値だけで、学力を測定され、未来のキャリアをそれでレッテル貼りされるのは、保護者もそうだが、受験生本人が一番嫌であろう。

★しかし、このことに高偏差値の受験生や保護者は気づかない。その学校の先生も気づかない。このことが、日本社会の危機なのである。エッ!と思うであろう。

★いったいここのどこにリスクが横たわっているのか?それは、中学受験市場のマーケットの特徴をちょっと考えればわかる。

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