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2019年2月 4日 (月)

新タイプ入試―学びの原点。それは世界を変える問い。(03)かえつ有明 スーパー中高生のインキュベーター

★かえつ有明は、昨日で中学入試を終えた。広報部長宇野岳史先生と広報主任内山誠至先生によると、応募者総数は、1210名。昨年が1649名だから、隔年現象。しかし、一昨年1187名だから、実数は変わらないか増えているかもしれない。

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★というのも、両先生によると、「今年度は、思考力入試を2回から1回に削減し、入試期間も2/1~4の4日間から2/1~3の3日間に短縮しました。・・・昨年度入試結果が受験生にとって厳しく、難易度が上がり、敬遠されたためと見ています・・・」とあるように、量の生徒募集戦略から質の生徒募集戦略へ転換したようだからである。

★今年の思考力テストも、「りんご」をテーマに多角的な情報――科学的な説明、詩、データ、絵画など――から何が読み取れ、何が読み取れないか、足りない部分は何を調べたらよいのかなどクリティカルシンキングの問いをスモールステップで問いながら、最終的に「情報」のアイデンティティ問題について考えさせる問題構成をデザインした。

★アクティブラーニング入試についてはまだ公開されていないが、このようなクリティカルシンキングに加えディスカッションの貢献度や創造的思考の柔軟性などもルーブリックによってみていこうというデザインだったと予想する。

★なぜそういう予想ができるかというと、入試問題は学校の顔であり、最近の用語では、カリキュラムポリシーが反映しているからである。

★かえつ有明は、帰国生が全体の30%弱もいて、帰国生にとって大人気校の1つである。また同校の理想的な教育の拠点である高校のプロジェクト科の存在が大きい。この2つの究極の教育と伝統的な科目主義の教育のバランスがなかなかよい。

★しかし、帰国生やプロジェクト科の生徒は基本アクティブラーニング型の授業を当たり前として、国内外の生徒とネットワークを広げながら、情報共有して世界の痛みを分かち合い、解決する活動を行うほどのスーパー中高生なのだ。

★世界の痛みを科学技術で解決したければ、科学技術を深めていくし、政策で解決しなければならないと気づいたら、法理論を学び制度設計の部分から議論する。必要であれば、政財界の人々にインタビューに行き、所轄官庁に出向いてプレゼンをする。

★NHKのニュースで取り上げられることもしばしばである。

★こんな自由で高邁な活動ができるのも、かえつ有明が生徒たちの成長を見守り居場所を生成しているからだろう。

★そして、その居場所作りが、すべての授業アクティブラーニングを実践しようという挑戦だ。伝統的な教科学習も、アクティブラーニングによる進歩主義的学びとうまくなじんでいるのがかえつ有明である。

★帰国生の学びとプロジェクト科の学びが、教科教育とシナジー効果を生成しているということだろう。

★もちろん、葛藤も起きる。しかし、その葛藤による後退はいまのところない。むしろ未来を大きく描くエネルギーとなっている。豊洲エリアは、小学生の人口が急激に増えている。いったん質を求めて、理想的な教育の成果をあげ、次にかえつ有明のモデルを全国に広げるアンビシャスが静かに燃えている。

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