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2019年1月 6日 (日)

≪C軸思考元年2019_02≫ 創造的思考と哲学と数学的思考と 

★C軸思考=インターフェース思考あるいはケミストリー思考とは、創造的思考と批判的思考=哲学と数学的思考が必要。そしてこの意味で、このC軸思考はSTEAM教育の基礎思考システム。C軸思考なきSTEAM教育やSTEM教育は、たんに科学や技術やエンジニアリングや芸術、手順としての数学などの専門教科を寄せ集めた活動で、インターフェース思考やケミストリー思考は生まれない。


Steam
★C軸思考>創造的思考という関係になるが、まずこの創造的思考について、レズニック教授はこう述べている。

学校や家庭の厳格な仕組みが、子供たちの好奇心や創造性を 妨げることがあることは事実です。私はまた、「教える」という言葉の意味が、創造的になるための明確な規則と命令を子供たちに与える、という意味なら、創造性を教えることができないという意見に賛成します。

しかし、創造性を育てることは可能です。すべての子供たちは創造的になる能力を持って生まれていますが、彼らの創造力は、必ずしも勝手に発達するとは限りません。それは育まれ、励まされ、そして支援される必要があります。このプロセスは、植物がよく成長するように環境を作り上げて世話をしている、農家や庭師のような行為なのです。同じように、創造性がよりよく成長する学習環境を作り上げることは可能です。ということで、教えることを有機的でインタラクティブなプロセスとして考えている限り、創造性を教えることはもちろん可能です。
(ミッチェル・レズニック; 村井裕実子; 阿部和広. ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則  Kindle の位置No.520-526. 日経BP社. Kindle 版)

★レズニック教授が語っている通りで、あれこれ指図して教えることができないのが創造的思考。それゆえ、20世紀型教育の中心的な授業方法である講義やインストラクショニズムでは創造的思考、つまりC軸思考は育たない。

★ところが、レズニック教授が語るように、育つ環境は意図することができる。それがコンストラクショニズムであって、PBL型授業である。子供も大人もそれぞれ創造性を持っているけれど、そのような環境をマインドセットしなければ、すなわち条件が整わなければ植物だって成長しないように、創造性もまた生まれてこない。

★ただ、植物のメタファー―とは違って、人間の場合は、少し厄介だ。条件が揃って、創造的思考といういう形式ができたとき、ようやくそれぞれの創造性という質が解放される。

★しかし、その創造的思考というのは、実は哲学かつ数学的思考によってのみ形成される。創造的思考という方法論があるわけではない。しかし、創造的思考というトポス(場)を作らないと、哲学と数学的思考のインターフェースが生まれずに、ばらばらになったままである。

★ばらばらだと、創造的思考の足場ができないから、それぞれの創造性を、すべての子供たちが解放できるとは限らない。たとえば、かつてなら、ピカソのように豊かな創造性を実装できる子供たちはそう多くなかった。

★というのは、ピカソは、哲学を持っていたし、数学的思考も備わっていた。学校で習ったわけではないが、何らかの環境がそうさせたのだろう。創造的思考の足場をピカソは持っていたはずだ。キュビズムという芸術パターンを構築しているが、あれは数学的思考の影響を受けているし、そのパターンに平和とは何かという哲学を掛け合わせてゲルニカができている。


★ピカソの絵は誰がみてもピカソの絵だとわかるほどの作品に収斂していくが、その過程は多くの画家の模写を描く過程でもあった。それはミメーシスであり、パターンを見出す数学的解析でもあった。しかし、模写はアートであるのかというアートの限界を考える哲学もピカソは持ち合わせていた。だから、ピカソの模写は、行為だったが、できあがった作品は模写を超えてピカソの作品に変容していた。

★もちろん、新しい分野の絵画であるから、テクノロジーも斬新なものを活用していた。油絵の素材などは科学的な知識も必要である。空間を創るエンジニアリング的な発想は、リアルなスペースと脳内というバーチャルスペースで役に立っただろう。

★創造的思考と哲学と数学的思考をトレーニングするテキストとして、上記写真の三冊はおススメである。これにネルソン・グッドマンの「世界制作の方法」を加えれば、STEAM×哲学で、リベラルアーツの現代化ができる。

★ギリシャ時代からのリベラルアーツのトポスは「思考コード」であり、思考術や修辞学は「思考スキル」に相当する。思考コードと思考スキルは、STEAM×哲学のインタフェース思考の基礎の基礎でもある。

★こうして、リベラルアーツの現代化を21世紀型教師と共有する学びの場を、2019年スタートする。≪創発型ディスカッション×創発型スクライビング×創発型授業リサーチ≫いう対話とワークショップとリサーチの好循環を生み出すシステム思考の共有である。

★とりあえず、21世紀型教育機構の21世紀型教師のスーパーバイザー(同機構加盟校の教師と同機構リサーチャーのコラボチーム)と教育学部の学生と共にプロトタイプを創り上げていきたいと思う。


★コンストラクショニズムで生成するPBL型だから、非認知的能力と認知的能力の発達や成長も含まれるし、MITメディアラボやハーバード大学の学習理論を含むからICTやデータサイエンス領域もカバーできる。ボームの対話や十牛図的な発想も含むから、一貫性ある哲学や数学的思考の変容過程も内包できる。

★おそらく子どもや教師が直面する問題を発見し、それを解決する方法を生み出すコンパクトな学習する組織を形成できるだろう。

★大事なことは、IBだろうがAレベルだろうが、APだろうが、それをクリアする方法を教師自ら子供自ら編み出す創造的思考のトレーニングである。IBのトレーニングとか、Aレベルのトレーニングとか、各教科のトレーニングなどの箱の中のトレーニングも必要かもしれないが、最終的に人間として活動できるようになるには、箱の外にでざるを得ないのである。

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