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2019年1月 4日 (金)

「中学入試と未来予測」(8) 2020年の変化の高波、強風を実装可能な物語としてのテクノロジーにするNew Powerの準備

★2020年に起こる「変化の高波と強風」が大きくなりつつある。ジャック・マーがいよいよ、今年の9月10日にアリババを去る。その9月10日は、ジャック・マー自身の誕生日であると同時に、中国では「教育の日」である。

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★ジャック・マーの退任情報は、2018年9月25日号のNewsWeekで詳しく書かれているので、参照して欲しい。 同誌によると、米中貿易戦争と中国当局の規制強化の予想が契機だという。

★しかし、外部環境の変化のタイミングを読んでいただけではないようだ。浦上早苗氏の≪アリババ去るジャック・マー 日本で報じられない「2つの将来の夢」≫(Sep. 27, 2018, 10:45 AM Tech Insider, Careers)によると、10年前からジャック・マーは成功物語を思い描くだけではなく、「会社」から「社会」で活躍する慈善事業家の道を着々と歩んでいたようである。元英語教師だったこともあり、2019年9月10日教育の日に、自身のキャリアデザインを起業家から教育慈善家へと華麗に転身させることを描いていたようだ。


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★もちろん、21世紀が、やがては、文化資本を創出する人間力に価値が移転することを見越したがゆえのことだとは思う。資本になるには、計算可能性、予見可能性、持続可能性が必要になるから、どうしても文化資本拡大再生産システムが必要で、権威や商品を拡大再生産してきた20世紀までのシステムとは違うものを作らなければならない。

★それには、ICTやAIというテクノロジー機能が欠かせない。ジャック・マーは、その現場に居合わせたから、そのことを身にしみて感じていたに違いない。新しい教育システムが生み出す新しい政治経済システムの台頭の高波・強風を生み出す前兆であろう。

★同じような新世界線を描こうとしているのが落合陽一氏だ。「文學界 2019年1月号」で、古川憲寿氏と対談しているが、そこで2019年を「魔法元年」としている。限界費用ゼロ社会において、価値を生むものは、芸術であると。ある意味文化資本である。


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★そして面白いのは、落合氏は、科学から文学まで、ありとあらゆる大量の本を読破しているのであるが、その氏が、聖書は好きな物語だと語っている点だ。「ビジョンが必要で、それを共有して、手を動かしながら物語を語ることでともに動く仲間を増やす。そういった観点では、テクノロジーは実装可能な物語であるし、我々は実装しながら走ってますから」と。


★聖書は、ある意味、2000年前はテクノロジーだったのかもしれない。普遍的な物語システムという。そして、再びその普遍的物語システムを教育で取り戻すのがテクノロジーということだろう。ジャック・マーも落合氏も、この点において共通している。

BLOGOS 2019年01月03日 10:38に中村伊知哉氏がこんな記事を書いている。「吉本興業が中国に大学を設立します。」

★「吉本興業は中国を代表する投資ファンドである華人文化グループ(チャイナ・メディア・キャピタルCMC)と共同で、世界に通用するエンタテインメント人材の発掘・育成を目的とした教育機関=エンタメ専門大学を設立する」というのである。国同士の合意でもあるので、その経緯などは同記事を読んでいただければと。

★来年の9月ごろに開設するらしいが、その2020年4月に中村伊知哉氏自身は、i専門職大学を開設する予定だ。

★この2つの大学の動きは、まさにテクノロジーという実装可能な物語を創る新世界線を描く話。文化資本による経済システムに転換しようという波であり風である。

★当面は20世紀型教育をマイナーチェンジした教育システムとしてのプラットフォームは継続する。しかし、それとは別の新しい教育プラットフォームができ、テクノロジーを使った実装可能な物語を創出創発していく。今ままでは、別のプラットフォームを創る制度がなかったが、特区という考え方や海外との連携という新しい制度で、それが可能になった。

★この動きは、2040年ころから、覇権国家がなくなるという話につながっている。通貨制度を独占できなくった新しい役割の国家の再構築が始まるのである。その制度設計を創り、社会のモデルチェンジをするのは、そのとき30代になている今の小学5年生や6年生だ。

★彼らのような新しい人間のための新しい教育環境は、2040年ではなくて、2019年、いまここでなくてはならない。この背に腹はかえられない、否応なくやらざるを得ない事態そのものがとっくにやって来てしまっているのである。

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