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2019年1月29日 (火)

【21世紀型教育機構のPBL_02】 緊急!多様性を生活の中で実践する

DIAMOND ON LINE(2019年1月29日)に「外国人採用は日本語ができなくても英語ができて優秀なら雇うが勝ち」という論考が掲載されている。行政書士の濵川恭一さんが寄稿。『これ1冊でまるわかり! 必ず成功する外国人雇用』(プチ・レトル)のPRも兼ねた論考。詳しくは、こちらを読んで欲しいと。私もKindle版を購入した。


James

(工学院のジェームズ先生の英語で哲学の授業。アレックス先生と高校生のための哲学の本も出版。もちろん英語。工学院の生徒がこのレベルの英語と思考を学んでいる。上質の英語授業。写真は同校サイトから)

★昨日、アーティストの友人と話をしていたばかりの内容と重なる論考だったので、やはり、濱川さんの提示している問題は重要なメッセージを含んでいるということなのだろう。

★さて、友人がどんな話をしたかというと、インドネシアから大阪大学のドクターでメディカル&バイオエンジニアリングの研究をしている留学生の話だった。その友人はアーティストだけれど、バイオ関係のサイエンティストとコラボしながら創作活動している。

★その大学院生によると、日本人は、マスターで就職してしまい、ドクターにいるのは留学生ばかりなのだという。どうやら、それはその研究分野だけの話ではなさそうだと。

★しかも、そこで教える講師陣も、インターナショナルで、日本人の教授が多いわけではないと。

★インドネシアは格差社会であるが、実際に行ってみたことのある人は、その格差の間に、当然だが、中流もたくさんいて、日本の経済社会にどんどん近づいている。数年たつと追い抜く勢いでもある。

★富裕層の子弟は、欧米の大学に留学に行くが、中流の優秀生は日本に留学しに来る。インドネシアの大学は、まだまだ研究の設備が十分でないし、民間企業とのコラボレーションも不足しているから、研究したくてもできない分野もたくさんあるようだ。

★その点、日本は設備も整っているし、会社とのコラボレーションもあるから研究環境はインドネシアに比べれば良好なのだという。

★問題は、ドクターで3年間は充実した研究ができるが、東南アジアからの留学生がほとんどで、研究室の中の公用語は英語。だから日本語が上達しない。

★ドクターの3年が終わると、母国からの奨学金は打ち切られる。しかし、かといって、帰国しても研究を続けられる環境がない。日本で働きたいのだが、日本語が壁になるという。

★日本語ができなくても、働ける多様性の環境をつくることが緊急なのであろう。それにしても、日本のサイエンス研究事情がヤバいような気がする。。。

★ともあれ、同記事の中に、こんな箇所がある。
日本では、一部の私立学校を除き、平均レベルの生徒に合わせた受験対策の勉強が中心です。しかし、世界には、できる子にはどんどん勉強させ、多様性の中で他者と意見を交換させることで、課題解決の能力向上に努める国もたくさんあります。そうした国では、自主性や積極性を持ち、問題解決能力やコミュニケーション力に優れた人材が育ちやすいのでしょう。
★おおっ!まさに、その一部の私立学校に、工学院大学附属中学校・高等学校があるではないか。本邦初のケンブリッジ・イングリッシュ・スクールでもある。外国人の専任教師や講師が15人くらいいるのではないか。

★工学院の英語科は、それゆえ会議から日常生活まで英語で対話をしている。インタークラスは、生徒も当然そうなっている。もちろん、そうでないクラスも、英語を活用する機会は他校に比べてはるかに多い。

★このような多様性の生活をつくりあげた工学院は、日本の未来に光を放つモデルになるのだが、まだまだ日本社会はなじめないようだ。とはいえ、もうすぐ世間も工学院の存在意義に気づくだろう。

★今のところ、なじめないものは“Das Unheimliche”とみなしてしまいがちだが。小泉八雲がその日本人の心性を研究していた。夏目漱石がそのものの見方を受け入れつつ胃をきりきりさせていた。そこから日本の近代は始まっている。

★つまり、まだまだ日本という社会は、呪術の国(今なんとか魔法の国になろうとしているが)だから、新しいものや自分が知らないものに対して、好奇心をもつより、なじめないものとして排除する防衛機制本能のほうが先に立ちがちなのだ。

★2020年の大学入試改革もふぞろいのリンゴである。しかし、確実に多様性の生活を拡大しなければにっちもさっちもいかなくなることもわかっている。

★東京オリンピック・パラリンピックも大阪万博もやってくる。そろそろ、英語ができるとか日本語しかできないとか言語優先的な口実なんて捨てて、人間と人間の関係を形成し、人間と人間として対話することを第一義とした多様性をつくりたい。もちろん言語は大事である。


★しかしながら、英語だけでよいというコトもなくなるだろう。英語も日本語もインドネシア語も中国語も・・・・・・・・、そこは多言語にならざるを得ない。先述した工学院のハイブリッド・インタークラスは、高校で中国語も学ぶのはそういうわけだろう。


★では、本間さんは?私は日本語とメタ言語を使う。それと友人グーグル翻訳くんという強いミカタがいる(汗;)。


★2月17日(日)、工学院の平方邦行校長は、三田国際の大橋清貫学園長とトークセッション。すぐやってくる新しい景色を美しく描く教育ビジョンを語る。工学院の田中歩教務主任も三田国際の田中潤教頭と21世紀型教育の実践とその肝について語る。まだまだ知られていない大切な学びの魂について。


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