【2019年度首都圏中学入試(37)】 香蘭の野望 だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられるのです。
★しかし、もし設定しなかったら、減っていたかもしれない。新設校も増えたし、しかもそれらはすべて共学校である。ただでさえ、女子校は少子化に苦戦している。1度しか対話したことはないが、立教池袋から同校に就任した鈴木校長は、経営戦略と教育の質の両方を大事にする私学人だ。実際にヨーロッパも回りグローバル教育の見識者でもある。
★したがって、この時代の変化や状況を、香蘭と言えども対岸の火事然とはしていられないと判断したのだと推察する。というのも、立教池袋は米国聖公会だし、香蘭は英国聖公会。立教は、第二次世界大戦後、日本の教育復興の拠点の1つだった。香蘭は明治における日本の私立学校のミッションを形成する牽引校の1つだった。
★つまり、時代の大きな変わり目で、苦難が訪れたとき、聖公会は動かないというコトがないという遺伝子があるのかもしれない。その時代の変化を理性的な光で読み解くことを使命としている鈴木校長だからこそ、その意志決定だったかもしれない。
★マタイにこんな聖句がある。「だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられるのです」とかなり厳しい感じの言葉である。
★しかし、このタラントの聖句は鈴木校長であれば、聖書を読み返すまでもなく、自らの言動や思考の基礎となっている。香蘭も、そのタラントを何もしないで温存するのではなく、むしろ豊かにしなくてはならない。そのための今回の行動だったのではないだろうか。
★持たないものは持っているものまで取り上げるとは、賜物として与えられた才能や機会を使わないと、何もかも取り上げられるのだから、香蘭だって、ウカウカしていると、そんなずではなかったということになりかねないということだろう。
★たしかに、午後入試を設定しなくても104.3%だから、見た目は取り上げられていない。しかし、昨年の前年対比は、133.1%である。エントロピーが増大しているというコトは、取り上げられ始めると考えることもできる。
★だから、そうならないように、タラントは使い豊かにするということを、カリキュラムポリシーやディプロマポリシーにおいてのみならず、アドミッションポリシーの領域でも貫徹させようというのではなかったか。
★そうすることが、マタイの同じ節にある聖句「あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう」ということを一貫させることができるのだということではないか。
★まさかそんな宗教的な話なのかと思われるかもしれない。しかし、欧米流儀の経営学の基礎は聖書と結びついている。たとえば、挑戦して失敗することの方が、何もしないで現状維持を保守するより評価が高いという発想や最近のプランを立ててからでなければ動かないではなく、動きながら計画を同時にたて、軌道修正もして進めという発想――最近のIT業界や起業プログラムで使われる「アジャイル」という発想もこの流れ――など、このタレントに関する聖句に結びつくというのは想像しやすい。
★それに、タレントとタラント。自分の才能を豊かにするというときの才能はタレント。世界に与えられた才能をみんなで豊かにしていくというときの才能がタラント=賜物。
★それゆえ、寛容性が経営学では大切にされているのだ。どんな企業も起業も大学も、今では初等中等教育も、プロジェクトチームというのはあたり前だが、これはマイプロジェクトとしてあるのではなく、ワールドプロジェクトというお話。ここにも聖句が関わっているのはわかりやすい話だろう。
★落合陽一氏が聖書をおもしろい物語として評価しているのは、そういう世界精神と共感するからだろう。
★いずれにしても、香蘭は日本の教育の未来に向かって、再び動き始めたということではあるまいか。
★しかし、このタラントの聖句は鈴木校長であれば、聖書を読み返すまでもなく、自らの言動や思考の基礎となっている。香蘭も、そのタラントを何もしないで温存するのではなく、むしろ豊かにしなくてはならない。そのための今回の行動だったのではないだろうか。
★持たないものは持っているものまで取り上げるとは、賜物として与えられた才能や機会を使わないと、何もかも取り上げられるのだから、香蘭だって、ウカウカしていると、そんなずではなかったということになりかねないということだろう。
★たしかに、午後入試を設定しなくても104.3%だから、見た目は取り上げられていない。しかし、昨年の前年対比は、133.1%である。エントロピーが増大しているというコトは、取り上げられ始めると考えることもできる。
★だから、そうならないように、タラントは使い豊かにするということを、カリキュラムポリシーやディプロマポリシーにおいてのみならず、アドミッションポリシーの領域でも貫徹させようというのではなかったか。
★そうすることが、マタイの同じ節にある聖句「あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう」ということを一貫させることができるのだということではないか。
★まさかそんな宗教的な話なのかと思われるかもしれない。しかし、欧米流儀の経営学の基礎は聖書と結びついている。たとえば、挑戦して失敗することの方が、何もしないで現状維持を保守するより評価が高いという発想や最近のプランを立ててからでなければ動かないではなく、動きながら計画を同時にたて、軌道修正もして進めという発想――最近のIT業界や起業プログラムで使われる「アジャイル」という発想もこの流れ――など、このタレントに関する聖句に結びつくというのは想像しやすい。
★それに、タレントとタラント。自分の才能を豊かにするというときの才能はタレント。世界に与えられた才能をみんなで豊かにしていくというときの才能がタラント=賜物。
★それゆえ、寛容性が経営学では大切にされているのだ。どんな企業も起業も大学も、今では初等中等教育も、プロジェクトチームというのはあたり前だが、これはマイプロジェクトとしてあるのではなく、ワールドプロジェクトというお話。ここにも聖句が関わっているのはわかりやすい話だろう。
★落合陽一氏が聖書をおもしろい物語として評価しているのは、そういう世界精神と共感するからだろう。
★いずれにしても、香蘭は日本の教育の未来に向かって、再び動き始めたということではあるまいか。
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