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2019年1月26日 (土)

【2019年度首都圏中学入試(36)】 女子美の人気の意味

★1月26日現在、女子美の応募者総数前年対比は、121.3%(首都圏模試センター調べ)。美術専門の学校ではないとはいうものの、圧倒的にアートスクール的雰囲気で、在校生は、おもしろいおもしろいの連発である。

Joshibi

★一般の学校の美術の時間とは全く違う幅広いアート活動がおもしろくないわけがない。かつてのように洋画や日本画に専心する生徒ももちろんいるが、今はデザインやアートプロデュースの学びまで行う。

★欧米やインドネシアなどの東南アジアでは当たり前だが、工学大学には、アートの学部もちゃんとある。エンジニアリングもデザインの時代であるからだ。ところが、日本の工学系大学や美大は、それぞれ分かれているのが通常だ。しかし、最近では互いにコラボして活動し始めてはいる。

★そのような流れに敏感なのはむしろ中高生だ。留学もフランスやイタリア、中国と多様で、もちろん語学も学ぶのだが、中心はアート交流である。

★これは羨ましいぐらいおもしろい。HTHもおもしろいが、こちらは並ではない。デザインも、やっぱりファッションも人気だ。しかし、このファッションの道は本当に厳しい。アートの世界は、実際にはおもしろくて華やかだけれど、大成するのは相当厳しい。それでも、女子美の生徒は大学に行って果敢にチャレンジする。

★美術で語学が必要なの?と思うかもしれない。しかし、世界は、金融経済という錬金術経済とオークション経済というクリエイティブクラスの時代だ。

★東南アジアは中国資本がアート資本主義を形成して疾風怒濤のすさまじさ。日本にいるとそれはそよ風程度にしか感じない。グローバルアートプロデュースが文化庁に握られているからだ。全くの出島の動きになっている。

★予算も少ない。NHKインターナショナルも、経産省と文化庁で受注をする部署が違い、華やかさがまるで違う。

★いずれにしても、アーティストは世界で活躍しなければ、意味がないという時代だ。美術館やギャラリー、オークションに作品が出せる力はかなりのクリエイティビティとテクノロジーと語学力がいる。

★アート資本主義は実にグローバルだ。東南アジアのアーティストが日本の美術館やギャラリーに作品を展示するチャンスが巡ってきたとしよう。日本の画廊はあまりうごかないが、世界のギャラリーのオーナーがちゃんと集まってきていて、次はうちに作品をいついつまでに出してくださいと交渉が始まる。

★残念ながら、日本語ではない、英語や中国語やフランス語や・・・・。しかも、そのようなときはアートトークやワークショップが設置されていて、そこで多言語で対話があふれでる。

★参加していたギャラリストたちが、作品を見て直感するだけではなく、そこでコンセプトやテーマをイメージし、瞬時にアートプロデュース活動を仕掛けるのだ。

★インドネシアの知人も、日本で作品を発表するや今度は香港でとなり、香港では今度は台湾でとなり、台湾では今度はフィリピンでとなる。ジャカルタとバンドンと東京にスタジオをレンタルしながら制作している。その知人は、バイオアート的要素も入っているから、理工系の大学の知人とのネットワークも活用している。


★パートナーが女子美出身でイギリスでアートを学んできているから、英語やインドネシア語を通訳しながら渡り歩くのだが、日本の大学院で研究しているインドネシア人や中国人が増えているので、ダイレクトにインドネシア語や英語でやりとりをするようになってきたという。


★私の会社(超零細^^;)の子供のためのアートプロジェクトを運営している講師陣も女子美のOGや大学院生が多いし、作品を創りに来ている生徒の中には、女子美中学に進む生徒も結構いる。ファッション業界でチャレンジし続けている女子美のOGの中には、ベルギーの美術大学にまで留学して、それでもまだまだ芽が出ないが、飽くことなくがんばっていたりする。リサーチアートでお金に縁がないけれど、助成金をゲットしながらアート活動をしている女子美大のOGも複数知っている。

★世界を回って、大学や美術館や都市の空間デザイン、ファッション、美学、文化人類学、骨の構造などについてああでもないこうでもないと彼女たちは議論し続けている。ある意味私の周りは女子美族化していて、日々アートの話でいっぱいになっている。しかも、対話で終わらず、彼女たちは作品を創造し続けているのだ。

★どう考えても女子美はおもしろいじゃないか。特に中高の段階で、そんな世界に触れることは他の学校ではほぼ無理だろう。

★STEMからSTEAMへとシフトするのだが、女子美の世界は、世界のアート資本主義に直結する世界なわけだ。起業家精神プロジェクトなんてものは、もはや超えている世界だ。もちろん、アート資本主義について、アーティストたちの議論は絶えない。政治経済の転換をアートの世界で表現し、インパクトを与えていくわけで、それが世界のアートの通念であるが、文化庁が仕切っている日本のアート界はこじんまりとしていて、一般の人には、そのダイナミックさが伝わらないようになっている。

★ロシアのアバンギャルドやドイツのバウハウスが時の政権に抑圧されていた時があったけれど、日本の美術界は、今もそのときと同じような雰囲気なのかもしれない。

★もともと女子美は、芸大には男子しか通えないという制度設計に対抗して立ち上がった学校である。そのクリティカルなアートビジョンは、今も連綿と続いている。そこに注目が集まる。おもしろいというほかあるまい。


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