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2019年1月25日 (金)

【2019年度首都圏中学入試(32)】 学校選択の成熟化の意味

★学校選択の成熟化が端的に意味するものは、競争が軟化するということを意味する。少子化や経済状況によって、受験生が少なくなったから競争が軟化するという経済的な意味もあるが、他者との競争ではなく、自分が成長するという意味で、自分との競争ができる場、かつての言葉で置き換えると自己陶冶のできる場、たぶんそれが居場所を意味するのだろうが、そういう場の選択をするようになったことを意味するのではないか。


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★1986年から2016年ぐらいまでは、他者との競争に激しく偏っていた。したがって、注目されている学校の魅力が優先し、上記図のようにそのような学校に受験生が殺到したものだ。

★すると、偏差値も急激に高くなり、このような学校が、幾つもあったが、2017年くらいから少しずつ様子が変わってきた。そして今年の中学入試では、ピーキーカーブを描く学校は本当に少なくなった。新タイプ入試が急激に増えたのも、2017年からである。

★みんなが選ぶから自分も参加しなくてはどこか後れを取るのではないかという不安は、ここまで多くの学校が改革改善をしている中で消えつつある。

★いまの自分にあった場で、そこで学ぶことで、自分のやりたいことを見つけ、あるいはすでにある場合は、それを探究する“Hard Fun”な雰囲気がある場を選択しようというのが当たり前になりつつあるのではないか。

★心理的安心安全と自分の才能を生かせる認知多様性の両方を満たすことができる、つまり心穏やかにして快活に暮らせ、かつ豊かな知性を育める学校はどこかということなのではないか。

★そういう意味で、中学受験市場は量的拡大は横ばいになるが、質的拡大はするだろう。しかし、そうなると、結果的に中学市場は経済的な拡大への飛躍をすることにもなる。

★このパラドクスと再びジレンマが訪れる転機の徴が、2019年中学入試のような気がする。そして、当然中学入試市場も、受験情報から教育と学びの情報提供の場へとシフトする。

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