【2019年度首都圏中学入試(28)】 変わる学校選択の質
★この時点で、すでに前年対比90%以上の応募がある学校は、激震の少子化にも耐えられる学歴ブランド校である。上記表で90%に到達していない学校も、まだまだ出願が続いているので、最終的には前年に追いつく。
★このような学校は、首都圏中学受験生48000人いる中で、上位8000人をある意味囲い込んで、この中で、上位に食い込んで、サバイブしようという戦略であり、東大合格をこのグループがほぼ独占している。
★この戦略は学校当局がプランしているわけではあるが、学校選択者の中にこのような視点を大切にしている層がいるからでもある。
★ある意味、2013年ころまでは、受験市場における学校選択者は概ねみなこのような視点を有していた。ざっくり言えば、48000人が、この8000人の枠の中に入ろうと努力したわけだが、定員には限りがあるから、それに入れなかった場合、心穏やかではない。
★しかし、時代は大きく変わっている。国家レベルでいえば、覇権国家という位置づけは揺らぎはじめている。成長とは何か?幸せとは何か?自分とは何か?近代国家の極致を築き上げた20世紀世界は液状化現象を起こしているのは、否めない。
★そんな中で、国内、まして中学受験というマーケットとしては小規模な世界にあって、このような発想縮図も液状化現象を起こし、学校選択者の視点も多様化した。
★学歴ブランド校以外の学校は、この多様な視点をどの程度受け入れるかは、学校によって違うが、従来の伝統主義的教育を部分的に改善する学校、全面的に改革する学校という広がりを見せている。
★2013年21世紀型教育機構(当時21世紀型教育を創る会)の学校が、全面的な改革に乗り出して以来、IB系、シリコンバレー系などの教育を全面展開する進歩主義的学校が登場した。
★このような教育はカリキュラムポリシーに表現されるわけであり、そのカリキュラムが多様化しているのは、中学受験において新タイプ入試拡大によって明らかとなった。首都圏模試センター調べにようると、適性検査型(思考力)入試は147校、英語入試は124校にまでなっている。いずれも首都圏の私立中高一貫校の数の50%を超える勢いである。
★学校選択者も、優勝劣敗覇権主義的な抑圧的風潮から解放され多様な視点を自ら有して選択するようになった。グローバリゼーションの光と影はあるが、その相克の激動を生き抜くには、学校選択者も当然ながら多角的な視点を身につけざるを得ないのは誰が否定できるのだろうか。
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