New Powerの学校×教師(15) 聖学院のSTEAM教育の展望
★よく、それはなんちゃってSTEAMだとか、なんちゃって探究だとか、なんちゃってアクティブラーニングだとか、鬼の首でもとったように、きっぱり断言する人も多いけれど、それは定義というか条件の問題に過ぎない。
★サイエンスも、テクノロジーも、エンジニアリングも、アートも、マスもそれぞれの専門領域があるのだから、それを否定する必要などない。しかし、たしかに、ニーチェの永劫回帰の発想が、歴史観の新しい見方のヒントになったり、永遠機関への夢を膨らませたり、、無限とは何か思い巡らす契機に成ったり、美術史の未来を開いたりする。
★わざわざSTEAM教育とつながっているのだから、専門領域を超えるインタフェース思考を鍛えようというのでよいのではないか。
★クラフトを通して、そのインタフェース思考をトレーニングしたり、ゲームをすることで、新しいスポーツを生むことを学なんだりする。実験をすることで、デザインをすることで、インタフェース思考を活性化するということはある。プログラミングなどは、ダイレクトにインターフェース思考を鍛えるだろう。
★要は、この横断的というか、越境的というか、壁をぶち破るソフトパワーというか、そういうインターフェース思考を養えば、STEAM教育といってよいのではないか。
★だからクラフト>インターフェース思考であれば、それは技術という教科。クラフト<インターフェース思考であれば、それはSTEAM教育ということ。つまり、インターフェース思考は、リベラルアーツの現代化なのであろう。
★聖学院の児浦先生(21教育企画部長)が座長の「授業デザイン研究会」にときどき私もファシリテーターとして参加する(=邪魔する^^汗)ことがあるが、これが超楽しい。先日も、数学の波部先生の数学の授業で、創発型スクライビングワークショップを行った。
★今、中1の生徒たちは、マスメの格子点を通る反比例のグラフ、比例のグラフから、それぞれの方程式を求めることはできる。
★しかし、マスメの格子点を通らない反比例のグラフとそれに交わる比例のグラフ(格子点を通るから方程式に変換できる)から反比例のグラフを求める問題は、なかなか解けないという。その交点のxの値は整数でわかるグラフだから、実は反比例のグラフも、格子点を通らなくても、比例のグラフとの交点は割り出せる。
★そこに気づけば、反比例のグラフは今までの解き方と同じだから、なんだあということになる。
★しかし、波部先生は、解き方を生徒に憶えて欲しいわけではない。では何を求めるのだろう。教科の違う先生方が、侃々諤々議論をしはじめた。生徒は最初マスメは模様ぐらいにしか思っていない。しかし、理解した後に、マスメは、実は多様な関数の交差した連続した点の集合で、数学の問題として、その中の一つの点に焦点をあて、そこで交わる2つのグラフをたまたま問題にしている過ぎない。
★すると、先生方が、この感覚はあひるうさぎやルビンの壺というトリックアートの発想に近いと語りだしたのである。
★数学とアート。方程式を言語化したりグラフ化したり。そして、その変換の意味をトリックアートに結び付ける。そうすると、そこから他教科や他の活動に結びつくインターフェースの結節点が新たに見つかるわけである。
★ヴィトゲンシュタインやエッシャーなどは、こういう感覚を大切にしていた。ダグラス・リチャード・ホフスタッターは、『ゲーデル、エッシャー、バッハ - あるいは不思議の環』(1979)という本を書いたが、人工知能の問題を高エネルギー物理学、音楽、芸術、分子生物学、文学、といった多彩なテーマが扱われている。まさにインターフェース思考の塊である。
★ホフスタッター自身認知科学者だしコンピューターサイエンティストである。
★STEAM教育とは、なにかプロダックトすることが最終的な目的ではない。そのような貴重な学びを通して、ヴィトゲンシュタインやエッシャーやホフスタッターをはじめとするイノベーター人材の資質能力を養おうということだろう。
★探究もキャリアデザインもSTEAMも中等教育段階では、何かを発見・発明・制作することが目的でも、進路先を決定することでもない。ただ誤解しないで欲しいのは、こういうとそれが不要だと思いこむ人が多い。
★そうではない。空気のないところでは飛ぶこともできないし、声すら響き渡らない。あらゆるものは関係しているのだ。だから、それらを体験することは、重要で、そこからしかイノベーターは生まれないのである。
★聖学院の授業デザイン研究会に参加して、とっても大事なことに気づかされた。それにしても、こういう発見をするのに、メタルーブリック、状況目標、思考コードなど多角的視点で議論できる環境があるのがすばらしい。
★PBL型授業でディスカッションが深まるのは、このような多角的な視点を教師も生徒も共有しているからである。
★これらの多角的な視点は、聖学院の中で、共通言語として役割を果たしている。議論が深まるのは共通言語や共通視点を共有しているからなのであり、それがあるから異なる団体や組織、領域の人と話す時にズレを意識し、それを自在に調整することによって、互いに交流ができるようになる。
★すなわち、目に見えない壁を崩すことができる。これをインターフェース思考と呼ぶことにしたい。チーム聖学院の先生方!多くの気づきをありがとうございました!
★要は、この横断的というか、越境的というか、壁をぶち破るソフトパワーというか、そういうインターフェース思考を養えば、STEAM教育といってよいのではないか。

★だからクラフト>インターフェース思考であれば、それは技術という教科。クラフト<インターフェース思考であれば、それはSTEAM教育ということ。つまり、インターフェース思考は、リベラルアーツの現代化なのであろう。
★聖学院の児浦先生(21教育企画部長)が座長の「授業デザイン研究会」にときどき私もファシリテーターとして参加する(=邪魔する^^汗)ことがあるが、これが超楽しい。先日も、数学の波部先生の数学の授業で、創発型スクライビングワークショップを行った。
★今、中1の生徒たちは、マスメの格子点を通る反比例のグラフ、比例のグラフから、それぞれの方程式を求めることはできる。

★しかし、マスメの格子点を通らない反比例のグラフとそれに交わる比例のグラフ(格子点を通るから方程式に変換できる)から反比例のグラフを求める問題は、なかなか解けないという。その交点のxの値は整数でわかるグラフだから、実は反比例のグラフも、格子点を通らなくても、比例のグラフとの交点は割り出せる。
★そこに気づけば、反比例のグラフは今までの解き方と同じだから、なんだあということになる。

★しかし、波部先生は、解き方を生徒に憶えて欲しいわけではない。では何を求めるのだろう。教科の違う先生方が、侃々諤々議論をしはじめた。生徒は最初マスメは模様ぐらいにしか思っていない。しかし、理解した後に、マスメは、実は多様な関数の交差した連続した点の集合で、数学の問題として、その中の一つの点に焦点をあて、そこで交わる2つのグラフをたまたま問題にしている過ぎない。
★すると、先生方が、この感覚はあひるうさぎやルビンの壺というトリックアートの発想に近いと語りだしたのである。
★数学とアート。方程式を言語化したりグラフ化したり。そして、その変換の意味をトリックアートに結び付ける。そうすると、そこから他教科や他の活動に結びつくインターフェースの結節点が新たに見つかるわけである。
★ヴィトゲンシュタインやエッシャーなどは、こういう感覚を大切にしていた。ダグラス・リチャード・ホフスタッターは、『ゲーデル、エッシャー、バッハ - あるいは不思議の環』(1979)という本を書いたが、人工知能の問題を高エネルギー物理学、音楽、芸術、分子生物学、文学、といった多彩なテーマが扱われている。まさにインターフェース思考の塊である。

★ホフスタッター自身認知科学者だしコンピューターサイエンティストである。
★STEAM教育とは、なにかプロダックトすることが最終的な目的ではない。そのような貴重な学びを通して、ヴィトゲンシュタインやエッシャーやホフスタッターをはじめとするイノベーター人材の資質能力を養おうということだろう。
★探究もキャリアデザインもSTEAMも中等教育段階では、何かを発見・発明・制作することが目的でも、進路先を決定することでもない。ただ誤解しないで欲しいのは、こういうとそれが不要だと思いこむ人が多い。
★そうではない。空気のないところでは飛ぶこともできないし、声すら響き渡らない。あらゆるものは関係しているのだ。だから、それらを体験することは、重要で、そこからしかイノベーターは生まれないのである。
★聖学院の授業デザイン研究会に参加して、とっても大事なことに気づかされた。それにしても、こういう発見をするのに、メタルーブリック、状況目標、思考コードなど多角的視点で議論できる環境があるのがすばらしい。
★PBL型授業でディスカッションが深まるのは、このような多角的な視点を教師も生徒も共有しているからである。
★これらの多角的な視点は、聖学院の中で、共通言語として役割を果たしている。議論が深まるのは共通言語や共通視点を共有しているからなのであり、それがあるから異なる団体や組織、領域の人と話す時にズレを意識し、それを自在に調整することによって、互いに交流ができるようになる。
★すなわち、目に見えない壁を崩すことができる。これをインターフェース思考と呼ぶことにしたい。チーム聖学院の先生方!多くの気づきをありがとうございました!
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