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2018年12月30日 (日)

「中学入試と未来予測」(5) チームワークとフィード-バックと思考コード 聖学院×工学院にヒントをもらう

★今年のテーマの一つが「2040年を起点に考える」で、2040年のAI社会の到来に向けて、どのような能力・資質を身につけるとよいか、どのようなスキルを鍛えればよいのかを思考論的転回というポジショニングから考えてみた。

★また、そのための実践場としてPBL型授業を先生方と研究してきた。特に児浦先生、内田先生、本橋先生をはじめとする聖学院の先生方とは、2カ月に一度はワークショップで学び合ったり、リアルにあるいはサイバー上で対話もした。時にはトークセッションの機会もあった。

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★12月22日(土)第6回学校説明会も、同校サイトによると、参加者231組約650名だったというから、高人気である。

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(12月22日の説明会。写真は同校サイトから)

★当日のプログラムでは学校説明会や過去問体験以外に、中1・中2生徒インタビュー、高3生徒インタビュー、保護者(お母様)の声、吹奏楽部のクリスマス演奏会、みつばちプロジェクト研究発表、自動車研究同好会のエコランカー実車展示とプレゼン、学食体験会等が行われ、キャンパス内は大いに賑わっていたということだ。

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(思考力過去問入試体験。写真は同校サイトから)

★聖学院で学べば、今の受験生は、2040年に34歳になるころ、社会をウェル・ビーイングに導く能力や資質、スキルを身につけることができる。22日は、まさにその教育力をあらゆる角度から共有する機会だった。

★マーケティング=教育内容、特に授業=広報=大学合格実績=研究開発型組織=21世紀型教育組織として新しいタイプの学校であることを受験生・保護者と共有できただろう。

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★これができるのは、実はPBL型授業や活動を丁寧にかつパワフルに実施しているからである。

★さて、丁寧かつパワフルとはいかなることか?それは教師同士、生徒同士、教師と生徒同士の関係が自己開示型状況を持続できるからであり、問題を1人に押し付けずに、チームで解決しようという文化が着々とできているからである。


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★PBL型授業の研修をいくらやっても、この互いに自己開示する雰囲気、チームワークのブラッシュアップを心がける意志が強くなければ、効果はない。

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★そこで、相互自己開示、つまりフィードバックを相互に受容し合えるチームワークとは、いかなるものか?聖学院という体験を理論的なフレームを通すことによって、2019年のPBL型授業の実践的研究やその実践そのものをさらにパワフルにしたいと思った次第である。

★そんなわけで、例によって、上記写真の本を、この年末アマゾンして、斜め読みしてみた。今まで、ピーター・センゲの学習する組織、デビッド・ボームの対話について深めてきたつもりでいたが、まだまだスキル的に不足しているというコトがわかった。


★学習する組織としてのチームワークの作り方のスキル、そのときやはりフィードバックできる一貫性のある対話をどうするのかというスキルは、スキルとして見える化しておく必要があると。

★おそらく、この一貫性に数学的思考が必要だし、見える化においてアート思考(文学・音楽・体育・美術などインテグレート)が必要となろう。

★すでに実施を重ねている創発型スクライビングは、アート思考や思考コードを交えて一貫性を保証しているのであるが、まだまだやれることはいっぱいある。ICTを活用したデータ化を瞬時にできるワークショップも考えなければなるまい。
★また、これは大阪の方で主にやっているのだが、「創発型授業リサーチの方法」も、すぐにフィードバックできるアート思考的な発想までは、昨年は到達したが、まだ数学的思考でデータ化を瞬時にできるところまではいっていない。これはどうしてもタイムラグがある。

★フィードバックとチームワークの未来に通じる理念は、そうズレていないが、それをいかに実践するかである。来年、教育学部の大学3年生及び21世紀型教師とそこまで共有できたら、よいなあと、斜め読みしながら感じている。

★工学院の田中歩先生や岡部先生は、以前私もかかわっていたカリキュラムマネジメントシステムの1つであるGMRを実践的に取り組んでいる。しかしながら、時間というものをもう少し合理的にできないかとフィードバックをもらったから、そこもなんとかしたい。

★データエビデンスとかデータサイエンスというのは重要であるが、データ収集+分析+問題解決アイデアという足し算だと時間がいくらあっても足りない。ここをデータ収集=分析=問題解決アイデアと瞬時にできてしまう仕掛けをシステム思考的に考える時代が、いよいよきてしまった。


★そうすると、PBL=研究開発=問題解決アイデア=実践=成果というイメージの輪郭が明快になるはずだ。


★「チームワークの心理学」の著者マイケル・A・ウェスト教授は、同書に次のマーガレット・ミードの言葉を引用している。

「思慮深く、献身的な市民による小さなグループでも世界を変えることができる、ということは疑いようがない。実のところ、世界はそのようにしてしか変わってこなかったのである。」

★Heigher Goodなチームワークができれば、世界は変わるということだろう。ステキである。
 

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