今年の教育事情を振り返る 教育も生産から研究開発へ ホンマノオト21を通して
★ホンマノオト21の5か月間のアクセス数で、個別の学校以外の情報は、カテゴライズして整理した。35位まで出してみると、次のようになった。同じ学校に関する記事や同じカテゴリーの記事のアクセス数をそれぞれ合算して出してランキングは出した。
1:中学入試情報
2:三田国際
3:21世紀型教育情報
4:教育情報
5:聖学院
6:思考コード
7:桐朋女子
8:大学入試情報
9:武蔵野大学
10:水都国際
11:和洋九段女子
12:聖ドミニコ学園
13:桐蔭学園
14:アサンプション国際
15:AI社会
16:工学院
17:八雲学園
18:静岡聖光学院
19:香里ヌヴェール学院
20:かえつ有明
21:聖徳学園
22:西武文理
23:麻布
24:順天
25:富士見丘
26:國學院久我山
27:聖パウロ学園
28:桜蔭
29:大妻中野
30:文化学園大学杉並
31:海城
32:巣鴨
33:女子美
34:鴎友学園女子
35:相模女子
★「中学入試情報」「21世紀型教育情報」「教育情報」「思考コード」「大学入試情報」「AI社会」のような記事が、全体アクセスの45%を占めている。それ以外が、個別の学校の情報となる。まだまだ、ホンマノオト21の記事数は、260強で、少ないため、偏りもあるが、一つの傾向を考えるヒントにはなる。少なくともユニークユーザー10,000人/月(まだ少ないが中学受験市場を考えると分析のヒントにはなるだろう)の何らかの価値志向は示している。
★そんなわけで、上記のリストの中で、個別の学校に注目すると、三田国際、聖学院、桐朋女子、武蔵野大学、水都国際、和洋九段女子、聖ドミニコ学園、桐蔭学園、アサンプション国際、工学院、八雲学園、静岡聖光学院、香里ヌヴェール学院、かえつ有明、聖徳学園、西武文理、麻布、順天、富士見丘、國學院久我山、聖パウロ学園、桜蔭、大妻中野、文化学園大学杉並、海城、巣鴨、女子美、鴎友学園女子、相模女子が、少なくともホンマノオト21の中では、注目された。
★前回の記事の私学研ホンマノオトを合算した12月アクセスランキングも加えると、さらに開成、慶応湘南藤沢、東洋大京北、立教女学院、恵泉、開智学園グループ、宝仙理数インター、桜美林、城北も加わるだろう。
★理由は山ほどあるだろうが、12月のアクセスランキングトップの桐蔭は、「新しい進学校」として大転換したという内容が書かれている。これは何を意味しているかというと、授業の在り方が歴史的視角で見たときに、パラダイム転換というべきイノベーションを起こしたというコトなのである。
★戦前の学校モデル、授業モデルは、社会学的には、監獄モデルだといわれてきた。戦後も、このモデルは生きているが、やはりそのモデルは、監獄というよりは、自動車工場の生産方式モデルだろう。1980年代まで、ベルトコンベア式大量生産の合理的なフォードシステムが、あらゆる領域のモデルになってきた、しかし、80年代に入って、ポストモダンのトレンドが現れ、大量生産から大量消費時代になると、ボルボ式生産方式がモデルとなった。
★しかし、これはコストが見合わず、トヨタカンバン方式に姿を変えていくが、基本生産方式の改善が主流だった。効率がよく、顧客満足度の高い車をつくり、総額が最大になるように販売するという、自動車生産キャリアデザインの改善を行ってきたのだが、あくまで商品生産・成果算出モデルである。
★教育も、その生産ラインをモデルにした多様な企業をサポートする労働力育成の機関だったから、その企業の中で、できるだけ年収の高い組織に接続できる大学に合格させる人材を生産する教育や授業が当たり前だった。
★このような20世紀型教育は、この自動車生産キャリアデザインモデルが主流だったのである。それを、アクティブラーニングやPBLという授業に変更することによって、キャリアデザインモデルをシフトチェンジするよというビジョンを桐蔭は高らかに謳ったのである。
★その象徴が、京都大学の溝上慎一教授の桐蔭への移籍である。溝上教授が桐蔭の理事長代理や教授になることによって、授業をアクティブラーニングにし、研究開発モデルに変えていくことによって、来るべき基礎研究視点を誰もが有するクリエイティブクラスに成長する人材の内生的成長を果たすわけである。
★これによって、かつての自動車産業で必要な人材ではなく、AI社会で持続可能な世界を構築できる人材を輩出する教育に変わることを宣言したのだった。そのシンボル的存在が、溝上先生と桐蔭を始めとするいくつかの学校現場の先生との研究成果を公開執筆している「高大接続の本質」というトランジション研究書である。
★そして、私学研ホンマノオトでもホンマノオト21でも高アクセスの三田国際と聖学院は、すでにそのパラダイム転換を実施し成功している。両校の仲間である21世紀型教育機構の加盟校もその方向に突き進んでいる。
★三田国際の学園長大橋清貫先生は、三田国際を通してユニークで先鋭的な21世紀型教育や授業について、および広報と経営について11月に書籍としてまとめた。私も参加して、21世紀型教育機構メンバーすべてに共通する21世紀型教育についてまとめた。
★もちろん、21世紀型教育機構の21世紀型教育であって、他の21世紀型教育とは異なる点が多く、21世紀型教育一般論は論じてはいない。
★そして、12月NP(News Picks)という世界を変える情報誌に、工学院や巣鴨が掲載された。両方ともホンマノオト21で注目されている学校である。
★工学院は、21世紀型教育機構のメンバー校で、かなりラディカルな改革を突っ走っているし、巣鴨もその教育ビジョンと実践は、伝統と革新の統合を果たしているイートン・カレッジと同期している。
★両校とも、自動車産業モデルから、学際的な研究開発モデルに転換している学校である。NPという情報誌は、そのようなマーケティング=生産=広報=販売=研究開発経営組織というイノベーションを生み出す新しい組織ばかりを取材し編集して発信する時代の先端誌である。
★中学入試において、2科4科は、まだ生産中心モデルの名残がある。それゆえ、研究開発中心モデルを反映した新タイプ入試が増えてきたのであろう。
★2019年から、役割分担から多様な役割マネージメントのロールプレイゲームにシフトする新しい時代が一気にやってくる。多様性に対応するには、AIのようなコンピュータサイエンスやテクノロジーは必要だし、マネジメントするアイデアは数学的かつアート的な思考力が要になろう。だからPBLもしくはアクティブラーニングなのだ。
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