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2018年12月 5日 (水)

新タイプ入試(07) 児浦先生 東京・神奈川・静岡に21世紀型ビッグビジョンを普及する

★「私立中コラボフェスタ」に、聖学院の21教育企画部長児浦先生(数学教諭)が参加した。講演の部では、クロストークに登壇。ナビゲータ役は私がさせていただいた。2013年に中学入試においてはじめて「思考力入試」という言葉を世に生んだのが聖学院で、いまでは早稲田大学も入試で「思考力入試」という言葉を使うほどの影響力を与えている。

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(思考力入試の体験講座の準備をし終えた児浦先生)

★クロストーク終了後は、思考力入試体験講座のファシリテーターも行った。聖学院の最寄りの駅は、駒込である。駒込から相模大野までやってきて思考力入試の肝を語り、ワークショップも行ったのであるから、その行動力に感服である。

★もっとも、2日前は、静岡聖光学院の先生方と潜在能力を活性化させるPBL型授業デザインの研修にも参加している。他校とのネットワークを広げ、生徒が自らロジカルシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングを活用していく学びの場を生みだす教育を学内外の先生方を巻き込みながらつくっている。

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★日能研をはじめとする多くの塾でも思考力入試とは何かワークショップを行ってほしいと招かれ、精力的に、新しい入試の在り方や授業の在り方を教育関係者と共有。その輪を広げている。論より証拠で、体験してみると、なるほどこれですね!と共感することになるということだ。

★おそらく、今回参加した受験生・保護者は、聖学院の3つの思考力入試の話を聞いたのは、初めてだったであろう。2科4科テストと問題のタイプが違うというだけではなく、同じテストでも目的や考えていくアプローチが全く違うのに驚き、魅力を感じたことだろう。


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★はじめ、体験講座に申し込んでいたのは2名だったが、当日申し込みがあって、実際には4名だったし、低学年の生徒も数名参加していた。教室は、多くの保護者も見学していて、自分の子供の今まで見たことのない学びの姿や才能を見出す機会となり感動したことと思う。


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★思考力入試では、子供たちは議論したり、ものづくりに真剣に集中する。それでいて、いやそれだから楽しいのである。聖学院では、児浦先生を含め4人の先生方が、LEGO®SERIOUSPLAY®の資格をもっていて、多くの学習理論や自己変容理論をレゴを通して学べるプログラムもデザインできる程だ。

★そして何より、創造的な学びは“Hard Fun”であるという理念を大切にしている。


★クロストークでは、2科4科では、いきなり言語化するものばかりだが、思考力入試では、映像、写真、図、グラフ、レゴなどを使って、言語以外の記号を活用する。これらの五感を活用することで、特にレゴのように第二の脳と言われる手を使うことによって、言語化というアプローチでは湧いてこなかった多様な発想が湧いてくることを児浦先生は強調されていた。

★つまり、本当は生徒によって思考のアプローチや得意な思考の道具は違うのに、言語化という一つのアプローチに限定してさらに知識・理解に限定してテストするだけでは、その学びの方法や領域が得意な生徒にとって有利になるのは当然なのだということだろう。

★他のアプローチで、もっと広く深い思考領域を学ぶのが得意な生徒を受け入れてよいはずだという信念を児浦先生は持っているし、フェスタに参加した先生方もそれに同意していた。新タイプ試験を開発実施する意義は、この生徒の学びや才能の多様性を大切にするケアの精神がベースなのである。だから、新タイプ入試を実施する学校は、先生方の柔らかいあたかかい眼差しであふれている。

★そして、児浦先生は、このものづくりやグループワークが含まれる思考力入試を実施するには、20人以上の先生方がかかわるということも明らかにした。ルーブリックによる評価基準の共有から始まって、グループワークのデザイン、そのファシリテーターとしてのロールプレイの仕方などのビジョン共有のコラボレーションをする時間が膨大であるという入試の舞台裏についても語られた。

★これには、新タイプ入試を実施している先生方も共感。かかわっていくうちに想定外の受験生の考え方に、先生方は目を輝かして、こんなことを考える生徒がいるなんてと、新タイプ入試の存在意義を共有しながら、学内に新風が吹き始めるのを感じるというのだ。

★かくして、新タイプ入試が、生徒の学びや探究へのモチベーションを内燃させ、自らの才能に気づき、未来を開いていく大事なきっかけになっていることが参加者と共有できたと思う。

★今回の私立中コラボフェスタを通して、新タイプ入試は、STEAM、リベラルアーツ、英語という3つの柱がマインドセットされていることに気づかされた。

★聖学院の3つの思考力入試もリベラルアーツとSTEAMのうちのサイエンスとアート、数学の要素が入っているなあと。テクノロジーとエンジニアリングの領域をカバーすると、聖学院の思考力入試と英語入試で、この3つの柱をすべてカバーできることになる。

★おそらく、そんな思いが児浦先生の脳裏をよぎったのであろう。相模女子大学中学部のプログラミング入試について、はやくも興味をもっていたようだった。

★「私立中コラボフェスタ」は、端的に受験生に新タイプ入試とは何か体験し知ってもらう目的もあるが、参加した先生方が互いに刺激し合い、新たな教育イノベーションを自校に持ち帰る相乗効果もある。

★新タイプ入試を相互にブラッシュアップさせていくことによってニューパワースクールの質が豊かになって強くなっていく。東京・神奈川エリアの私立中学が一塊りとなって学びのニューパワーバレーを生み出すことを期待している。

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