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2018年11月10日 (土)

國學院久我山 新クラス「CCC」が順調に成長

★先日、日本私立中学高等学校連合会の「創立70周年記念祝賀会」に参加した時、國學院久我山の校長今井寛人先生にお会いした。数分という短い時間だったが、今春開設の「Cultural Communication Class」(以降「CCクラス」)が今まで積み上げてきた同校の教育と新たな合力を生み出しながら、順調に成長していると認識できた。

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★驚いたのは、間髪入れずに、同校教頭・女子部長  高橋秀明先生から、メールをいただいたことだ。今井校長から本間と会ったとき、CCクラスのことが話題になったという話を聞いて、具体的に様子を知らせてくださった。

今井校長は、学内の教師や生徒とのコミュニケーションを極めて重視している。そのことを今回ダイレクトに感じ入ったわけだ。だから、驚いたのだ。同校が生徒募集、カリキュラムの進化、大学合格実績において、盤石の基盤をつくりあげているのは、やはりこの密で開放的なコミュニケーションパワーがあるからなのだと改めて実感した。

★さて、今年4月に中1からスタートした女子部の新コース「CC]クラスについて、高橋先生は、こう説明している。

<「Cultural Communication Class」の名の通り、「多文化共生」に向けて、様々な取り組みを始めています。今までのプログラムを体系化し、さらに、幾種ものスパイスを加えてスタートしたのがCCクラス。もちろん英語も学びますし、年3回シリーズの「Math in English」にもチャレンジしています。

特に、土曜日の3・4時間目に行っている『Global Studies』の時間は、CCクラスの要です。

特徴的なのは、年間5つのユニットテーマ(グローバルな課題)を身近な視点から捉え、AL方式で学ぶ点です。6月には、「障がいのある人との出会い」がテーマで、手話も学びました。グローバルなテーマを久我山流に構成して取り組んでいる授業です。現在取り組んでいるテーマは、地理の授業とコラボした「世界の人のくらしを知ろう」です。プラン→リサーチ→アクトの形で探究し、セッションの一つに海外からの留学生とのFriendship Meetingを加えています。>


「Diversity」「Friendship」「Communicator」が中核コンセプトということだが、この3つがらせん状に回って上昇している様子が伝わってくる。

★基本的な学びのストーリーは、AL方式で学ぶとあるから、プロジェクト学習であり、『Global Studies』とあるから、SDGsの領域を深く学び探究していくのだろう。これに、今までの多様なプログラムを体系化し、つまりシステム化し、有機的にさらにつないでいくというカリキュラムの進化を生み出しているということだと思う。


★だから高橋先生は、「
CCクラスがスタートして10か月が過ぎましたが、久我山に新たな風が吹き始めた気がします」「 思考錯誤しながらの毎日ですが、是非、結果を出したいと思っています」と確信をいだいているのだと思う。


★まさに2021年以降早稲田大学政経学部の「探究総合型思考力入試」にはじまり、GMARCH以上の大学で、入試問題が、同校のプラン→リサーチ→アクトという思考方法を問うてくるようになる。「結果」が出るのが待ち遠しい。

★同校は、10年前に、「STクラス」を開設した。「SummiT(頂上をめざし)」、 「StraighT(まっすぐに)」、「SpiriT(気概を持って)」 というスローガンの「SとT」の文字から名づけたクラスで、 最難関国公立大学の現役合格をめざす、6年間一貫し た特別進学クラス。STクラスはすでに成果をあげている。

★このSTクラスは、しかしながら、体験を大事にするプロジェクト学習や英語にも力をいれている。そして、この経験が、この領域は、STクラスのみならず、それ以外のクラスにもっと広げたほうが良いという発想を生んだのだと思う。

★実は、STクラスの特別進学クラスとしてのプログラムは、米国の創造的才能教育では、促進教育(アクセラレーション)と呼ばれている。一方体験重視のプロジェクト学習は拡充教育(エンリッチメント)と呼ばれている。

★おそらく、STクラスは促進教育>拡充教育で、CCクラスが促進教育<拡充教育なのだろう。同校のプログラムの立て方の面白いのは、STクラス=促進教育、CCクラス=拡充教育と分断しないところだ。生徒の好奇心や関心に沿って、どちらに力点を置くクラスを選ぶか多様性とその相乗効果を大切にしているということなのだろう。

★この平衡感覚が、生徒が多様な進路を歩んでいくときに、支えにもなり希望にもなるのである。今後の國學院久我山の教育の成果に期待したい。 

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