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2018年11月25日 (日)

未来を拓く学校を探す (16) 1人ひとりの創造的才能 個人の時代だからこそ

熊谷優一先生のブログ記事「世界を変える影響力を持った一個人」を読んで、本当に個人の力が世界を動かす時代がやってきたと改めて感じ入った。ついこないだまで、個人というと新自由主義のもとで動くエゴイスティックなロールプレイヤーだと思われてきたし、その前は各団体に所属する一歯車ととらえられてきた。

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★このことは、グローバルという言葉を巡ってもそうだ。新自由主義的なリバタリアンとしての個人が、国境を超えて、ヒト・モノ・カネ・情報を活用(悪用)して、大量消費・大量生産・大量移動の覇者として君臨するエゴイスティックな超富裕層になり、大格差社会を今も生み続けいているが、それはグローバリゼーションのせいなのだと。

★しかし、世界的規模の格差を放置して自国主義や自分主義にもはや戻ることはできない。そういう流れで、はじめは、エンカウンターとして、エコエコノミーとか自然エネルギー社会とか代替エネルギー社会とかが注目され、AI社会によるソサイエティ5.0のような自然と社会と精神の好循環を目指すSDGsが設定されるようになった。

★しかし、これは、日本の場合だと、20世紀日本社会の枠組みの中で、まだ捉えられている。誰にとっての好循環なのか。まだまだこのピラミッド型枠組みは、崩れていないし、ジェンダーの問題も全く解決されていない。

★これを解決するにするには、ある組織の所属員としての個人から、宇宙船地球号の乗組員(というと古いとすぐに揶揄する人がでてくるものである)である個人として、所属を超えてフラットであるということが保証される必要がある。ただし、それが法的に保障されることが優先されると、その法的社会の所属員として規定されてしまう。

★私たち一人一人は、それぞれの個性としての創造的才能を見出し、それがゆえに互いにリスペクトする社会に転換していく必要があるだろう。

★もし、2040年になっても、20世紀日本社会のようなピラミッド社会という抑圧社会が存続していたならば、格差はなくなてちないだろう。

★しかし、本当に格差はなくなるのだろうか?それは格差の根本原因が何であるかを考えてみれば解決できる。それは、生産手段が一部の人間に独占され、所属員に使わせるという形で、格差が生まれている。また、その生産手段を動かすには化石燃料が必要である。この化石燃料が必要なくなる代替エネルギーを個人が自由に獲得できれば良いのである。

★生産手段は、AI社会そのものであり、これを理解する新しい思考力を養成する学びの場があることが必要だ。今までは、20世紀社会の知識や技術を体得する場は、学校に独占されていたが、今後は学校もone of themとなる。

★それから、なぜ生産手段とそれを動かすエネルギーが必要かと言えば、人間の身体を動かす食料が必要だったからだ。これも人工光合成のシステムを個人が自在に使えるようになれば、もはや食料のために労働することから解放される。

★これによって、生産手段、化石燃料、食料の覇権を握っていた国家や産業社会、そのために寄与してきた東大やこれらにおもねってきた自治体などの一握りのパワーは、創造的才能者である個人にシェアされるようになる。

★そうなるためには、もう20世紀型日本社会を保守しようという、政治、経済、学問、教育、思想を脱構築する必要があるだろう。が、しかし、今の自分をそういう社会的存在なのだと内省するクリティカルシンキングは働くだろうか。。。

★やはり、それには、創造的才能者として自分の価値を自ら生み出せる個人が圧倒的に世の中に登場しなければ難しい。社会学者ジグムント・バウマンも思い描くことができなかったというか、まさかそんな子供が考えるような夢物語が実現するはずなどないだろうと思っていた山をも動かす個人が一斉に誕生することなど可能なのだろうか。

★だいたい、そんな個人はどこにいる?と思われるかもしれない。しかしながら、確かにいるのである。それは新しい教育に挑戦している学校の先生方にすでにいる。最近知り合った熊谷先生はその象徴かもしれない。長い間お付き合いをさせて頂いている佐野先生とか金井先生、児浦先生、神崎先生、田中歩先生、太田先生、大久保先生もそうだろう。サイバー上でしかお会いしていない酒井先生も文科省にフラットにアドバイスしているぐらいだ。

★そして、その先生方に影響をうけた創造的才能者である生徒の中には、山をも動かす力を個人として発揮していく個人もでてくるだろう。

★それに先生以外にも、石川先生を始めとする盟友がすでにたくさん存在する。人類の子供たちが個人としての価値や力をアップデートできる創造的才能のために、ヒューマン・プロジェクトはたしかに動き始めている。いったいそのプロジェクトリーダーは誰なのか?それは特定できないし、する必要がない。ブロックチェーン的なコミュニケーションが先行的に拡大しているからである。

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