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2018年10月 6日 (土)

工学院モデル 未来の組織

★工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)という組織は、学校、企業、NPOなど問わず、いずれにもよき参考になる未来のモデルであると認識している。

★立地条件の悪さ、21世紀型教育に対する理解が未成熟な地域文化にあって、人類の子供たちにとって極めて大切な能力や人間力を形成する高邁な21世紀ビジョンを掲げ、実践している。

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(ビジョンへの情熱の火が消えないようにビジョン構築<プロセス>の持続可能性を実現している田中教務主任)

★21世紀ビジョンとは、500年以上前から始まった宗教改革、産業革命、市民革命以降も続く改革の歴史的連続性がつくりあげてきた近代文明が、20世紀に到って、ついに極限の閉塞状況を迎えてしまったために立ち上がった。

★つまり、21世紀ビジョンは、20世紀に行き着いてしまった極限の閉塞状況を乗り越えるために、近代化の根源的な欲求に立ち還り、新たな別次元の近代文明社会構築への記念碑的な第一歩を踏み出すことを意味している。

★20世紀までの近代文明社会の発展は、人間の自然からの独立から始まった。本来は相互依存であるが、自然に依存するしかなかった人間が、化石燃料を生産道具につないで、自然の力からあたかも自律して、自然の生産限界を超えて人間は富を手に入れることができるようになった。

★しかし、そうはいっても、化石燃料は自然に由来するもであり、それを生態系を無視して乱用したものだから、自然破壊、格差社会、人間精神の崩壊は極まった。

★20世紀までの組織は、この限界社会を生み出すものであり、組織もまた自然破壊、格差社会、人間精神の崩壊をもたらしてきた。それは、学校、企業などすべての組織で現象した。

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★したがって、21世紀ビジョンは、自然循環の修復、公平社会構築、人間性の回復を実現するものである。工学院という学校現場では、それを21世紀型教育と呼んでいる。

★しかし、工学院は私立学校であるために、旧態依然とした20世紀経済社会を支えている市場の上にある。それゆえ、この高邁なビジョンは、理想的すぎると一蹴されがちだった。

★ところが、工学院の先生方は、その市場に呼び掛けている。人類の子供たちにとって、私たちはもっと大きな目的のために協働しませんかと。このビジョンへの情熱が市場をも、わずかかもしれないが動かし始めている。

★このような情熱の火は、そうはいっても、持続可能にするのは、相当難しい。一人英雄が情熱を語っても、持続可能は無理だ。それは歴史の常である。だから、工学院の先生方は一丸となって、人類の子供たちの未来を構築するアンバサダーとして立ち臨んでいる。

★しかし、一丸となるというのは、21世紀型教育という公式ビジョンの念仏を唱えているだけではこれもまた無理だ。

★21世紀ビジョンの意味を常に問いかけ、対話して、それぞれの考え方や価値観のぶつかり合いが分断しないように平衡生成する能力が必要とされる。それが探究能力と多様性の平衡生成能力だ。

★そう、21世紀型教育として授業やカリキュラムに求められている探究能力と多様性平衡生成能力が、未来の組織にも必要なのである。

★工学院の市場への挑戦、授業への挑戦は、組織への挑戦でもある。そして、この3つの挑戦は、未来を拓く組織モデルへの挑戦そのものなのである。

★悪条件の中からだれもが求める大きな目的を共有し続ける希望を生み出す工学院モデル。みんなで大切にしたいものである。

参照記事)

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