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2018年10月23日 (火)

聖パウロ学園 生徒は根源的な存在に触れ、自分の殻を破っていく。(了)

★大久保先生の英語のPBL型授業をみて驚いたのは、小島先生と松本先生との対話が、そのまま実践されていたからだ。どうして教科を超えて、息が合った授業を展開できるのだろうか。

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★高1の英語の授業を見学したが、2時間続きだった。始まると、前回書いたエッセイが返却された。スペルや文法的チェックがされて返却されていたからそれで終わりかと思ったが、実は、そこに書いた自分がなりたい動物について、さらにクエスチョンが追加された。自分がその動物だったら、何をしたいかという問い。

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★ワークシートを見ると、自分がなりたい動物の絵が描かれていて、その動物になりたい根拠が書かれている。もちろん、英語である。

★そこに、新たな問いが加わったのだ。なぜなりたい動物なのかは、その時点ではわからなかったが、ともあれ、自分の気持ちと理由を書き、次に自分がその動物だったらどうするのかという、自分と動物のキャラクターを重ねながら描いていく。

★これは、思考のスキルである「拡散」「抽象化と具体化」「根拠・理由」をいったん分割して、あとでエッセイとして統合するという思考過程をたどるエッセイライティングになっている。数学や国語の授業とちゃんとシンクロしていている。

★そして、次に、何やら生徒たちが海外の生徒と会話している文章が映し出され、自分たちの会話と海外の生徒の会話の違いについて問答が始まった。

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★会話が続くのは、互いに「関心」を持つことであり、関心事に説明で終わってしまえば、それで会話は途切れるから、「質問」を相手に投げることが必要だというのは、会話の比較分析から導き出していた。ここでも「関心」は重要なキーワードだった。

★なるほど。自分のなりたいものを「動物」を介して語ることによって、キャラクターという関心が立ち上がりやすいし、それについて考えるのに、なぜなのか、どこが同じなのか、何が好きなのかなど「自問自答」が起こりやすいという思考実験が行われていたわけだと納得した。

★しかし、どうやらそれだけではなかった。パソコンルームに移動するというのだ。

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★Schoologyという世界の生徒が交流するプラットフォームの中に入るためである。すべては、サイバー上で、イリノイ州の高校生と国際交流を行う準備をしていたのだ。

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★互いにオープンマインドになって、対話していくには、「動物」のようなキャラクターをきっかけにしていくのはなかなか良いアイデアだし、会話が続くには、Whatだけではなく、WhyやHowもあると、互いに質問を投げ合うことができる。

★当然その過程は、客観的な知識を交換し合うだけではなく、互いの想いを話し合うことになる。互いの価値観や想いの違いを尊重し合いながら、深い絆をつくっていける。学びの組織を教室を超えて世界の仲間と行っていく土壌を大久保先生はコーディネートしていたのだった。

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★U理論でいえば、絆ができれば、共に解決したい問題意識が結晶化し、その物語を話し合い、実際にパフォーマンスを生み出していくというグローバルミッションの共有ができる。Schoologyは、それを行っていく場だったのだ。

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(写真は、Schoologyのサイトから)

★そんなこと思いながら、私もそのSchoologyのサイトに入ってみると、そのミッションそのものが語られていた。考えてみれば、大久保先生がそのコミュニティのアドミッションオフィサーと話し合いながらコーディネートして入会していったわけだから、ミッションを共有しているのは当然だ。聖パウロ側のコーディネーターとして大久保先生は縁の下の力持ちだったわけだ。

★IB機構やラウンドスクエアなどの国際的なコミュニティに入会するには、学校側にも優れたコーディネーターが必要だが、それには英語が堪能であるだけでなく、世界の問題を共有し、それについて議論し合えるハートと知性がなければならない。

★今回大久保先生がコーディネートしているというコトは、そのことを示唆しているわけである。こうして、教科書、教室を超えた独自のプログラムがデザインされたのである。

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(写真は、Schoologyのサイトから)

★しかも、Schoologyの5つのバリューである、Passion、Collaboration、Learn、Innovation、Integrityは同校が加盟している21世紀型教育機構のPBLのコンセプトともシンクロしている。


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★聖パウロ学園は、21世紀型教育機構の共通教育要素や理念を標準搭載しながら同時に独自のグローバルプログラムをデザインしているのである。


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★日本全国のカトリック校の21世紀型教育改革の仕掛け人でもある聖パウロ学園の理事長高橋博先生も授業を見学に来て、いきなり対面で会話するのもよいが、このようなプラットフォームを使って、書き込んでおけば、時差を気にせず、互いにやりとりができると新しいグローバル教育の可能性に期待をかけた。


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★大久保先生は、このような準備段階を経て、対面でコミュニケーションがとれるようになるようにデザインしています。来年はイリノイ州の高校生が本校に留学しにやってくるので、今ここで行っていることは、そのときのための準備ですと高橋先生に説明していた。


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★さらに、PBL型授業は、認知的能力のみならず、このような非認知的能力のマインドセットができる、すなわちモチベーションを持続できるというのが強みですと付け加えていた。

★このやりとりが深まっていけば、写真やグラフなども取り込んでいけるという。その意味では、松本先生の数学の授業もこのShoologyの授業につながる。また、小島先生は、日本の文学や古典は、日本文化を海外の生徒と共有するときにきっと役立つだろうと。

★聖パウロ学園では、このように、各教科のPBL型授業が横断的に結びついてシナジー効果を増幅していくのだろう。生徒が自己肯定感をふくらまして、成長していく秘密がここにあると確信した。


★大久保先生は、からし種を聖パウロ学園の教育に植えた。それはやがて、大きく成長するだろう。さすがはカトリック校である。
 

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