学校の先生方が立ち上がっているコト
★1990年にアルビン・トフラーの「パワーシフト」に出遭ったとき、ちょうどカリキュラム大改訂の作業に挑戦していた。軍事力→経済力→知識力に時代はパワーシフトするというトフラーの発想に共鳴し取り組んでいた。そのとき、まだホストコンピュータで熱効率がわるかったが、とにもカリキュラム全体をデータ分析しながら、検証し、生徒と学びを一瞬にして共有できないかということを実験していた。科目コードを使って、デジタルとアナログが同居しながらではあったが。とにもコンピュータという人工言語が新たなパワーシフトを引き起こしていることは確実だと肌で感じていた。
★それを1998年から2001年にかけて、学校の先生方とPBLの研究会をいくつか立ち上げたり、ホンダと組んでPBLプログラムを学校の生徒と共有する空間をつくっていた。そのとき、今のeポートフォリオのようなシステムやヴァーチャルノート(今のfacebook)を開発実験していた。
★ホンダとのコラボレーションは、2007年までやっていた。その間、エンパワーメント評価とPBLプログラムとファシリテーションのスキルを仲間と共有するところまでいった。
★2007年に独立して、それを学校の授業の中でできないものか平方先生や石川先生と相談して、実践していった。そのときもトフラーのパワーシフトは響き続けていたし、独立を共にした友人とリチャード・フロリダのThe Rise of the Creative Class: and How It's Transforming Work, Leisure, Community and Everyday Life, (Basic Books, 2002).を邦訳前に読んでいた。もちろん、英語の堪能な友人がほとんど翻訳してくれたのだが。
★彼らのビジョンは、「知識基盤社会」「インダストリー4.0」という動きに影響を与えたことは間違いないだろう。
★そして、今は落合陽一氏の本に遭遇。私のようなおじいちゃんでも、未来を創る人材と似た発想を共有できるのだと確信できた。AI社会が創り出すアートベースの文化資本の広がりが現実のものとなったわけだ。熱効率の悪い軍事資本や経済資本は、すべてAIによって包摂される時代。
★そのような時代をマネジメントする文化資本。そう思って、先生方と授業という小さな宇宙で、世界を動かす文化資本はいかにしてできるのかをリサーチし続けているわけだが、その先生方が、今度は学校の内部も外部も境を超えて活躍し始めている。
★キタなと思っている。教育は20世紀までは、軍事力の再生産、経済力の再生産のパーツだったが、21世紀になって、ルビンの壺よろしく反転した。文化資本を生み出す源になった。
★これは、AIによって、個人の力で軍事力も経済力もマネジメントできる時代がやってきたことを意味する。トランプが良いか悪いかは専門家やジャーナリストに任せるとして、軍事力も経済力もSNSを巧みに活用する個人としてのトランプによってかく乱されているのは、否めない事実だろう。
★活用する人間力が善であれば、問題ないのだが。。。しばらくは、ジェダイと帝国の闘争が絶えないのは、恐怖ではあるが。
★それはともかく、2020年大学入試改革を、たんなる受験指導の変化ととらえるのではなく、教師のかかわる世界が、社会のパーツから社会を生み出す源にシフトしたのだととらえるとよいのではないか。本ブログが文化資本を生み出す教師や学校にフォーカスするのはそういう理由である。
★おそらくすでにそう気づいて動いている先生方もいるだろうし、気づかないで、日本の学校を開放する牽引校になろうとしている先生方もいるだろう。あるいは、そうすることが生徒募集に役に立つと思っていると先生がもいるだろう。
★しかし、それらすべては、先生方自身が、社会のパーツから社会を生み出す源にシフトしている歴史的事実だというコトなのだ。
★ミネルバは空が灰色にならなければ飛ばないから、わからないと控え目に言う先生方も多いだろう。しかし、アルビン・トフラーもリチャード・フロリダも、空が明るいうちから予言していたのである。それゆえ、学者という権力者は畏れたのだ。
★権力者が畏れるところから変化は生まれる。歴史の法則である。
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