« 女子美大大学院生3作家によるギャラリートーク | トップページ | 【グローバル教育3.0】 麻布に倣いて »

2018年9月10日 (月)

内蔵秩序と外在秩序のエッジ(5)和洋九段女子のPBL

★9月8日(土)、和洋九段女子の学校説明会・PBL授業体験会が無事終了したと教頭の新井先生からメールをいただいた。そのメールからは、新井先生の感動が、生徒たちのPBLの様子を描いた言葉から伝わってきた。

Photo

★今回は、新井先生がPBL型授業やPBL型入試の説明、ポイント解説、振り返りなど、全体のコーディネートの役割を果たし、水野先生がプログラムのシークエンスをマネジメントしたようだ。

★そして、新井先生と水野先生と他に2人の合わせて4名の先生が、それぞれのグループについてファシリテーターと採点者(ルーブリックが作成されていた)として役割をはたしたということだ。

★メールを読んでいて、興味深かったのは、保護者を含めオーディエンスが50名ほどいたということだ。新井先生は、「周りで見守ってくれていた保護者の皆さんからもPBL型授業に対する思いが感じられた」「保護者の皆さんがPBL型授業に賛同し、期待してくれていることがひしひしと伝わってきました」と記している。

★これは、私立学校というのは、毎日保護者が、学校にいるわけではないけれど、自宅や勤務先で、生徒が学びに没入し、楽しみ、気づきを得、創造する一連の姿を「見守っている」愛情と学校の方針に賛同し、期待するというポジティブな「信頼感」に支えられているということが可視化された瞬間だったということを示唆しているのではないだろうか。

★このような生徒の学びを巡る教師の役割と保護者の心という外在秩序EOがイメージできたメールだった。そして、もちろん、次のような文章が続く。

トリガーは「外国の人に紹介したい日本文化は何ですか?」でした。
はじめは緊張ぎみだった小学生たちも、自分の考えを述べ、相手の意見の良いところを指摘し合い、…と流れを進めていくうちに、最後はグループで協力してプレゼンテーションに向けた準備を行うなど、積極性も出てきました。
個人の力を見ても、タブレットの使い方はもちろん、トリガーに対する視点の持ち方、主体性、プレゼンテーションに向けての協力体制、そして最後に、50名近くのオーディエンスがいる中で堂々と発表できる力強さ……。
感動すら覚える体験会となりました。

★これは、PBL授業のふだん目にすることがない内蔵秩序IOである。そして、このような教師と保護者の役割としての外在秩序EOとPBLのプログラムのプロセスという内蔵秩序IOの両方が、今度は生徒の思考の外在秩序EOとなり、生徒の思考のプロセスが内蔵秩序IOを生成する。

★だから、和洋九段女子では、コーディネートやマネージメントするロールは、EOとIOをデザインし、ファシリテーターがそれらをEOとして統合することで、生徒の思考のIOが成長するようにロールプレイするというシステム思考(マシーンシステムではなく有機体システム)が出来上がっているのではないか。EOとIOの符合が複合的に最適化され、符合の軌跡であるエッジを生み出しているのではないか。

★新井先生のリフレクションメールが、私に共感を呼び、以上のような気づきをインスパイアーする契機になった。ありがとうございます。

|

« 女子美大大学院生3作家によるギャラリートーク | トップページ | 【グローバル教育3.0】 麻布に倣いて »

創造的対話」カテゴリの記事