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2018年9月11日 (火)

【グローバル教育3.0】 海城3.0へ

★海城といえば、社会科総合学習の中学卒業論文集。エッセイ編集とは何かを身をもって中学時代に学ぶ。この力だけでも、知の創造時代に立ち臨めるのだが、成長というのは、そう一足飛びにいくわけではない。

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(イギリス研修の1シーン。イギリスは基本チュータリング方式。写真は海城サイトから)

★1人世界にかかわるのではなく、協働してというのは、頭の中ではわかるが、やはり体験は重要である。しかも、一握りの生徒が才能を発揮するというのは、海城学園は望んでいない。高いレベルを海城標準として皆が学び、そこを足場に、模擬国連やかるた甲子園や国際数学コンクールや部活などで一人一人の才能を生かしていけばよい。


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(写真は同学園サイトから。イギリス研修の贅沢な学びの空間)

★そこで、協働する知のスキルと心のスキルをトレーニングするプログラムとしてPA(プロジェクトアドベンチャー)やドラマ・エデュケーションを行ってきた。関係性と言語化と身体化というモノからコトへというパラダイム転換を教育の中に取り入れた。

★そして、協働性は多様性に結びつかなければならないから、高校入試を廃止して、その30人分を中学帰国生入試に置き換えた。すでに一期生が卒業している。別に海外大学を目指すことが第一義的な目標ではないが、今年はトロント大学にも合格している。

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★しかし、個の知性、協働性、多様性と多重知能を豊かにし、生徒1人ひとりが世界にかかわり、そこで活躍していくには、大学入試改革だとか海外大学だとかも重要ではあるが、それに固執することなく、 やはり、20世紀から21世紀に時代が動く意味を捉えて、その転換したパラダイムを土台に教育を組み立てていけるかである。


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(イギリス研修のフェアウェルパーティーで、エルガーの曲を演奏したという。麻布にしろ、海城にしろ、弦を奏でる男子が結構いる。スーパーストリングスという物理理論は、アートシンキングから生まれたのかもしれない。)

★それがグローバル教育3.0の本意である。そういう意味で、昨年から海城学園も改革第3期に突入し、AI社会における教育とは何かを模索し始めた。その象徴が特別講座KSプロジェクトであるが、当然プログラミングや英語で世界を語るようなプログラムは満載されているだろう。


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★しかし、モノからコトへという技術におけるイノベーションのみならず、モノ重視時代の思考力とコト重視時代の思考力の差異を押さえているのが海城学園の慧眼なところ。言語論的転回が、モノからコトへのシフトの契機であったわけだが、それを成就するには思考論的転回が必要なのである。

★それが論理的思考の壁を破る創造的思考なのである。論文という論理的思考のトレーニングとPAやドラマエヂュケーションという物語思考のプログラムの充実という土壌が耕されてきた海城だからこそ、それができる。

★結局のところ、英語や国語などの自然言語とプログラミングに必要な人工言語とOKグーグルではないが、音声言語やアイコン言語など多角的な言語の関係システムを構想・創造できる思考力が重要になってくる。

★ざっくり言ってしまえば、アルゴリズムのデザインとループを融合しながら、プログラムの変容を繰り返す創造的思考が重要だということだろう。

★ドラマにしろエッセイニしろ、対話にしろ、意匠の背景にはシンプルにアルゴリズムとループの関係性があるわけである。もっと言うと、具体と抽象のダイナミズムを生み出せる創造的破壊ができる思考力というということ。つまりアートシンキングということになろう。

★そこに行き着くまでの海城1.0→海城2.0→海城3.0という改革プロセスは、多くの学校で参考になるだろう。たまさか優秀な生徒がいるのではなく、生徒1人ひとりがそれぞれの才能を開花する生き方プロジェクトが浸透しているのが海城学園。eポートフォリオもその一つの構成要素ではある。

★2019年、帰国生入試に変更がある。「総合」という入試はなくなり、「国語・算数・面談(10分のうち2分間スピーチあり)」か「国語・算数・英語・面談(10分のうち2分間スピーチあり)」のどちらかの方式を選ぶ。英語は自由記述の作文。


★モノからコトへという流れと逆行するのでは?いや違う。「総合」というのは、海城2.0から海城3.0にシフトするときに役割を果たしたが、今後は、数学と言語とスピーチなのである。

★算数は、一般試験では50分であるのに帰国生入試では60分である。数学的思考の重要性を認識しているよというメッセージである。国語は、論述を多めにすれば、総合の役割はシンプルに果たせてしまう。2分間スピーチは、ミネルバ大学の思考力入試のシステムの一部を参照しているだろう。


★かくして、海城3.0は、グローバル教育3.0という世界の動きに、当然ながら呼応しているのである。

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