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2018年9月16日 (日)

水都国際 究極のオープンスクール(3) 教師は知のカウンセラー

★受験生と保護者は、キャプテン佐藤先生の大海原に帆をはった船に乗り込んだ。いよいよ知の旅へのファンタジーが始まった。熊谷先生と太田先生が、対話をしながら生徒たちが自ら船を出すナビゲートをした。いきなり先生方が協働して知の世界を開いたのである。

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(左から熊谷優一先生、太田晃介先生)

★二人の息はぴったりあっていた。太田先生は理科の先生というコトもあって、客観的な側面を語っていった。熊谷先生は英語の先生、といっても私たちがイメージする英語の先生ではない。IBコーディネーターとしての英語の先生だから、どちらかというと文学的、心理学的、哲学的。

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★だから、太田先生の話を聞いて受験生や保護者の内面の反応をうけとめ、相手の出発点や足場を探しながら、そこから語りかけていった。

★知の旅は、一般化と具体化、現象と自分事の間を往来する旅でもある。これは教師が両極から複眼思考できるように環境を設定する必要がある。普通の学校では、多くの場合、1人の教師が授業を展開するから、1人で両極を子供たちとコミュニケーションすることはなかなか難しい。

★客観的な側面が得意な生徒、主観的な側面が得意な生徒。そして、その間のグラデーションは連続している。

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★教師がファシリテーターにならなければならないのは、道具に自分とは違う役割を果たしてもらうために必要だったのだ。しかし、道具が多すぎると時間の限界を超えるのが難しい。道具に囚われ、柔軟なあるいは伸縮自在な時間マネジメントが難しい。

★ところが、両極の役割を果たす2人教師が対話しながら行うと、時間はいくらでも柔軟にマネジメントできる。時間のマネジメントが柔軟ということは、直線的な時間が波打ったり、ループしたりする。即興性もでてくる。この時間のダイナミズムに、実際に参加した生徒はチャレンジした。

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★親子で、例のアヒルをレゴでつくり、2分で2つのアヒルをパンフレットの上に配置し、物語をつくる。そしてプレゼン。なんとも時間は短いが、限られた時間でやってのけるとき、創造性は生まれる。

★「2分」というのは、実はその人の基本的な思考の特徴というかプロトタイプが表出する時間でもある。字数にすると、日本語だと800字、英語だと400語で、3つのパラグラフをくみ立てることができる。

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★鉛筆とシートという道具を使えば、30分以上かかるだろう。しかし、スピーチだと1分考えて2分で話すことができる。

★TOEFLのインディペンデントスピーチも2分くらいだ。パネルディスカッションを行う時、私はパネラーと1回あたり2分以上は話さないように約束し合う。

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★2分間で何回も話した方が、ダイナミックだし、わかりやすい。実際、熊谷先生と太田先生のトークも1回話すのに2分間かけないで話していた。

★生徒と保護者の対話、熊谷先生と太田先生の対話がスクランブル。スリリングで時々眩暈がするが、受験生は本当に勇気をもって挑戦していた。

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★基本的には、手を動かす、手で触るというLearning by doing, Learning by makingというアクティブラーニングが展開。短い時間だが創作物ができるから、当然プレゼンというコトになるが、オープンスクールで初めて出会った仲間であるにもかかわらず、きちんと自分の主張とその理由を語った。

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★それは、おそらく熊谷先生が発表する生徒の創作物をタブレットでモニターに映し出し、全員で共有できるようにしていたということも支えになっただろう。

★人にもよるが、水都国際の扉を開こうと思った受験生たちである。モニターに自分の作品が映し出された以上、仲間と共有する貢献をすることは使命であるともともと感じていたのかもしれない。

★だいいち、熊谷先生が映し出すケアをしてくれているのだ。無視できないだろう。つまり、すでに、マインドセットされているわけである。

★このマインドセットが瞬時に行われたのは、待ち時間に語りかけてくる歌がながれていたこともあろう。一般に待ち時間に流される曲はBGMで、歌詞はないが、水都国際は歌を流していたのだ。しかも、クラシックとかではなく、日ごろ受験生も聞きなれているシンガーソングライターやボーカリストたちである。共感がそこから生まれているのだ。

★  それからもう一つは、熊谷先生のリアリスティックリフレクションである。創作している受験生にその都度フィードバックしたりエールをおくったりしている。まさに知のカウンセラーである。

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★かがんで、目線を合わせて話すから、憧れの最近接発達領域が開かれる。すると、次のステージに生徒はジャンプできるのである。この安心安全な学びの空間はなんともいえない心地よい雰囲気をつくる。
★しかし、これは、次の瞬間には、程よいテンションに変わる。

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★高校生向けのオープンスクールは、ただの体験授業ではなかったのである。なぜこんなに手厚い2人の教師によるサポートが必要なのか、マインドセットが必要なのか。なぜ、高1の3月に海外研修があるのか。

★すべては、高2から始まるIB及びIBのエッセンスを学ぶ高度な環境に挑戦するためなのだ。誰も経験したことのない学びの挑戦が自分たちを待っていることが、レクチャーされたのである。

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★毎年の学費が400万をくだらないインターナショナルスクールと同質の教育を公設民営という制度を利用してその15%くらいの学費で享受できる。熊谷先生の夢は、国立公立の高校でこのような良質教育をもっと広めたいという。

★そのプロトタイプが、水都国際なのである。受験生は、そのミッションを共感すると同時に自分たちが世界を開く、時代を創るファーストペンギンであることに気づいたのである。

★ワクワクすると同時にハイレベルな学びが目の前にある。船を出す勇気とはそういうことだったのである。

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