東京都私立学校展で(7) 國學院久我山 別学のシナジー効果
★個別ブースをリサーチして歩いている時に、ふとそのコーナーから聞き知った声が届いた。振り返ると、國學院久我山の今井寛人校長だった。
★この私立学校展は、東京の私立学校の先生方が協力して運営しているから、各学校の校長自らが、走り回り、自校の利益を超えて、私立学校全体のためにアクティブに動いている。
★特に校長が、受付やアンケート回収の場で、受験生/保護者をもてなしている姿は、自身の学校説明会では見せないような顔を表出している。そんな姿を見ていて、頭が下がる思いでいっぱいになる。
★実るほど・・・という言葉通りのその姿は、やはり私を捨てて人類の子供たちのために事を成す私学人の生き様を象徴している。
★今井校長もその一つの役割として、ミニ説明会を担当したのだろう。しかし、私学人ならば、このように俯瞰して私学教育を語ることができるかといえば、実はそうではない。
★やはり今井先生ならではの見識とリーダーシップが必要なのである。そもそも、國學院久我山という伝統校でありながら、別学という当時としては新戦略を実行したり、来春から女子部はCCクラスというCultural Communication Classを創設するというまたまた新機軸を生み出しているわけだ。
★別学という分け方も、一般クラスをCCクラスにして、STクラスとCCクラスをフラット化する分け方も、生徒1人ひとりがいらぬ心の壁を作らないようにするためのケアから生まれている。
★世の中が騒然となっている文科省をはじめとする組織的不祥事は、すべて権力的で抑圧的な人間関係から生まれでているが、國學院久我山では、そのような関係を無化するケアの眼差しがあるのだ。
★質実剛健のイメージが強い國學院久我山。たしかにラグビーや野球をはじめとして、スポーツは強い。大学合格実績もガンガン出す。
★しかし、その強さが生まれてくる泉は、教師と教師、教師と生徒、生徒と生徒のインタラクティブなコミュニケーションである。日々のその対話で、互いを受け入れ、痛みをシェアし、それを間髪入れず解消する方法をみんなで考えていくバックヤードの動きがあるのだ。
★その動きを一数学教師の時代、教頭の時代をへて、校長になった今でも推奨し、「メタ認知」と称して、非認知能力と認知能力の両領域で、作動させているのが今井校長である。
★強さは、弦のようにしなやかでなければならないが、心が開放されているかいないかは、そのしなやさかの度合いに影響することは、よく経験することだろう。
★國學院久我山は、スポーツや進路指導だけではなく、弦楽演奏のチームも有しているが、スポーツも進路指導も音楽も共振共鳴共感が重要なのである。同校の組織はかくしてメタ認知による響き合いが広がっているといえよう。
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