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2018年8月20日 (月)

東京都私立学校展で(8) 三田国際と本郷のブース 中学入試新市場の志向性の特徴浮き彫り

★今回の私立学校展で、たまたまだろうが、三田国際と本郷のブースが並んだ。両校とも黒山の人だかり。受験生と保護者が通りぬけるのにおしくらまんじゅう状態だっただろう。

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★両校は、今の中学入試市場における受験生の志向性の特徴をくっきりと浮き彫りにした。

★つまり、受験生・保護者は、大きく2つのタイプに分かれたということなのである。進路指導による学力アップと部活の両ベクトルを徹底している本郷のような学校か、未来をいまここで創る革新的な探究活動を徹底する三田国際のような学校か、いずれかを志向するという色がはっきり分かれたことを象徴した両ブースだった。

★今までも多様化とか二極化ということがあったではないかと言われるかもしれないが、そこにはレンジ別競争がメインコンセプトだった。つまり、開成の柳沢校長が語る「水平比較」である。


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★しかし、三田国際と本郷に象徴される色分けは、「水平比較」ではなく、これもまた柳沢校長が説く「垂直比較」がメインコンセプトなのである。

★三田国際は三田国際の進化、本郷は本郷の成果というそれぞれの発展の仕方があって、互いにその発展を比較競争する必要はないのである。

★偏差値競争のように、学校の独自性や教育の質を無視する水平比較的学校選択はもはや過去の選択志向性なのだろう。かつてなら、偏差値の高い三田国際と本郷の併願はあり得た。しかし、今はまずないだろう。「水平比較」から「垂直比較」へ中学入試はシフトしたのである。

★とはいえ、三田国際のような21世紀型教育校の中では、「水平比較」はあるだろう。本郷のような進学と部活メインの教育校の中では、「水平比較」はあるだろう。

★ただし、その比較の基準は全く違う。21世紀型教育校の「水平比較k」の基準は、21世紀型教育の徹底度である。どれだけ、未来において子供の価値が大きくなる期待可能性があるかということ。

★進学と部活メインの教育校は、従来通り偏差値と大学進学実績である。

★受験業界では、21世紀型教育校か進学校か、どちらがよいのかという不毛な議論もまだされているが、そもそも価値というのは神々の争いであり、資本主義の世界では価値自由である。

★志向性は嗜好性でもある。選択は、あくまで私事の自己決定なのである。

★「カタツムリに意識はあるか?」という問いをおもしろいと思うのかバカバカしいと思うのか、それは自由である。

★ちなみに、この問題を真剣に考え、1時間くらい対話ができる思考様式をトレーニングしていないと、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学は合格しない。この問題をスルーしても、東大の二次試験はパスする。ただ、2019年度から早稲田大学の思考力型入試では、必要になるかもしれない。

★ともあれ、どちらを選択するかは、受験生や保護者のビジョンしだいである。

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