今、麻布流儀がおもしろい。
★「麻布流儀」というサイトがある。麻布学園のOB を対象として、 情報発信・共有、OB同士の交流から社会貢献を目指すプロジェクトとして立ち上がっていて、麻布学園とは直接関係がない。が、会員はすべて麻布OBか元教員であるから、運営上の関係がないというだけで、精神は濃厚な関係。
★というわけで、すべてを見るには、麻布OBか元教員でなければ資格がないが、たまに一般公開もされている。記事は、「麻布の論集」を想起するような濃さなので、たまに拝読するので、一般人は十二分だと思う。
★今回も、『#2 麻布流儀インタビュー 「インダストリー4.0 その最前線で」<前編>』が公開されていて、ベッコフオートメーションの日本法人社長川野俊充氏が登場していた。
★今私立中高一貫校の学校説明会に行くと、どこの学校も、2020年大学入試改革の話をし、その改革が、インダストリー4.0や第4次産業革命なんかを見据えて行われるのだと語られるわけだが、その大元が川野氏である。
★だから麻布は、最先端も最先端。そこを牽引している人材を輩出しているわけで、説明会も全く気張る気配もなく、かといって余裕をみせるとかいうのでもない。知の牧歌的な雰囲気をかもしだして、他校の説明会では笑いがとれないようなところで、大いに笑いを取っているのである。
★要するに、ポジティブな意味で、知の変人が多いわけであり、その手のユーモアは、他校にないというコトを意味しているわけである。
★川野氏の膨大なインタビューも、インダストリー4.0がFAGAに飲み込まれないようにするためのドイツの国家戦略だったり、失業者がやはりたくさん生まれてしまうという舞台裏や厳しい産業構造の激変も、一応は語りつくしているわけだけど、どうも、そういう脅威論は、麻布流儀ではないという雰囲気がただよってくる臨場感がなかなかおもしろい。
★そんなわけで、AIとロボットが実は乖離していて、今後それが融合していく過程を動画で説明していくあたりになってくると、AIに対する愛着やそこにかかわる異業種の人々の文化祭的なノリがだんだんおもしろくなっていく。
★鉄腕アトムやドラえもん、SFのような話題を真面目にしている様子は、ちょうど1990年代前半に麻布に進学していった多くの生徒が、ドラえもんのマンガが大好きだったり、星新一の未来イソップを読んで受験勉強そっちのけだったりしていたのを思い出す。
★当然、母親と受験生の三者面談では、受験勉強の話が大いに話題になって、いや大丈夫なのだというコトを説得していたシーンが思い浮かんでくる。悩んでいるところが、他の生徒と違うんだからと、知の変人ぶりを話して、お母さんがドキドキしていたのを思い出す。数日後、父親も出てきて再度面談。でも、母親の期待を裏切り、父親もまたいやあそうなんですよねと私と意気投合してしまった。。。
★ますます、母親は、麻布より栄光に行って欲しいと、父親と息子は麻布がよいと鮮烈な対峙関係が出来上がっていった。しかし、ここまでくると、あとは簡単だ。ハイ!決まりましたね、両方受かって、そのとき悩む話ですから。もうわかりましたよねと。息子の目をみて、もういいねとアイコンタクトで、もう次の段階だよなと。彼は、あとはドラえもんをやっぱり見ながらも、受験勉強に没頭していったのを思い出す。
★そんな中学受験のときからの話を、時代の最先端を牽引している麻布のOBが、今も話題にしているのである。もちろん、川野さんの中学受験生時代は知らないが、同じような感性や知性がそのときからすでにあったのだと思う。麻布流儀は、受験の時にマインドセットされるものなのだろう。
★インダストリー4.0の詳しい話は、同サイトをご覧いただきたい。わかりやすく説明されている。そして、気づく人がいるだろう。インダストリー4.0は、個人の欲求を徹底的に満たす時代であり、それには自由が必要であり、自らが自らをデザインする学びが必要なのであると。
★つまり、麻布流儀が、時代の普遍的な価値になってしまうというパラドクスが広がるのだということ。エッ、みんな知の変人になってしまうというコト?!そういうことなのだ(笑)。
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