LSPのススメ
★というわけで、上記の本を例によってキンドルでダウンロードして、斜め読みしてみた。両者は、原書と翻訳の関係ではなく、それぞれ独立した書籍。もちろん、邦書は、原著者と重なっているから、内容的に共通している部分もある。
★ただ、邦書は、システマティックな書き方というよりわかりやすく書かれているので、もっと深いのではと思うようなところもある。そこで、原書に立ち還ってみると、ああ、やはりもっとシステマティックだということがわかる。
★英語が堪能であれば、ちゃんと読むのであるが、物理的時間もないので、キンドルで単語をサポートしてもらいながら、斜め読み。
★LSPに興味のある方は、ぜひ2冊とも読んでいただき、教えて欲しい。なんて甘えの構造でよいのかとお叱りをうけそうだ。
★さて、LSPは、MITメディアラボに研究の根っこがあるから、予想はしていたが、ピーター・センゲの「学習の組織」やオット―・シャーマーの「U理論」と親和性があることもわかった。
★というより、そのものずばり「学習する組織」と「U理論」をLSPで理解できるワークショップがすでに行われている。
★そのときに「7つのAT」(アプリケーションテクニクス)を活用するのであれが、驚いたことに、「思考スキル」でそれが理解できてしまう。
★というのも、つながりを見つけるテクニックで、そのつながり、つまり関係性の複雑性、変容性が「思考コード」よろしく次元分類がされている。最近の言葉でいえば、ルーブリック化されている。
★詳しくは、いずれ考察したいが、直感的には、「思考コード」「思考スキル」に置き換えることが可能だ。ただし、「発想スキル」がないかもしれない。LSPは資格が必要だから、資格を取得しないとわからない部分も多いだろう。だから、もしかしたら、そのスキルもあるのかもしれない。
★ただ、「発想スキル」は、レゴを触ることだろうから、LSPでは別段必要ないのかもしれない。
★いずれにしても、ふだんレゴを活用しているワークショップを見ているだけではわからない知的背景が、両書を読めば了解できる。
★ピアジェやコンストラクショニズムという話は、思想的には啓蒙思想で、日本でいえば≪私学の系譜≫である。≪官学の系譜≫は、啓蒙思想を捨てるところか始まっているので、公立学校で行う場合は、本当はここを括弧にいれなければならない。そんなことを意識して行うコトまずないだろうが。私学にしても、啓蒙思想を意識してワークショップを行うことなどそもそもないだろう。
★そして、学習理論的には、MITメディアラボの故シーモア・パパート教授の「マインド・ストーム」。プログラミングでレゴを動かす商品の名前は、この書籍にちなんでつけられている。
★それから、「学習する組織」「U理論」なども含まれる。理論的側面は、ミンスキーの認知科学、心理学はおそらくキャロル・ドウェックあたりが親和性があると思う。現在心理学は、いろいろな派の統合が進んで実践的になっているから、誰とは特定しにくいかもしれない。
★いすれにしても、思想――理論があって、LSPというプラグマティックなワークショッププログラムがある。
★海外の教師と話をすると、すべてではないが、かなり多くの教師が、やはり思想ー理論ー実用の3つについて対話できる場合が多い。もちろん、そうでない場合もあるが、日本のワークショップを行っている企業人と話した時、たいていは実用性の局面から広げたり深めたりする話は疎まれる。そういう意味では、プラグマティズムと単なる実用性は似て非なるものであるのかもしれない。
★日本の教育改革が、産官学と協働すればなんとかなると思われがちだが、20世紀型資本主義的局面では、それでいけるのだろう。
★しかし、世界の教育改革は、政治や経済も教育とセットである。グローバル市民というのは、政治や経済や教育に対しても自分の考えを持つのは当たり前のことである。
★それゆえ、社会主義は論外だが、20世紀型資本主義は嫌いだ、新しい資本主義を組み立てようと思っているハーバード大学生が40%以上いるということなんかを、ハーバード大学のある研究部門がリサーチしたりしている。
★当然、そういう流れはダボス会議とも相乗効果を生成し、ゲイツやバフェトらが「創造的資本主義」の構想を数年前から話し合ってしたりしている。
★ゲイツの財団が支援しているチャータースクールは、21世紀に入ってすぐにできたぐらいだろうが、そこで行われている教育のベースはPBLである。
★日本の場合、政治的な中立性が教育の中には前提としてあるから、政治の改革を生徒自身がどうしようか議論することは、珍しいことである。そして、経済は政治と密接な関係があるから、新しい資本主義などという考えを議論するというコトはさらに遠のくだろう。
★だから、そこは価値自由として科学的にアプローチすればよい。そのときLSPは、実にうまく使えるのである。
★とにかく、このままいけば、2040年、すなわち今の12歳の子供が34歳になったとき、所得倍増していなければ、日本の国力は半減しているのである。じゃあ、このままで所得倍増なんてことはできるのか。
★できない教育をやってどうするのか。人類の子供たちの幸せを願わない人はいないだろう。
★幸せは金ではない。そういう考えもあるが、本当だろうか。その考えは、20世紀型資本主義と袂をわかつという決定的な意志判断だから、情緒的にではなく、思想的理論的に輪郭を見える化しておくことは必要なはずである。その覚悟を持って、述べるフレーズなのである。
★水都国際は、公設民営で、新しい形である。20世紀型考え方から見るか、21世紀型考えげ方から見るかで、その見方は違ってくる。
★そして、自治体と民間の協働であるから、政治経済の在り方もその背景では新しくなければならないが、今のところそこまで考えている外部環境そう多くはない。
★そういう意味では、熊谷先生や太田先生は、新しい世界を創る必然性の文脈の中に立っている。IBとLSPの融合など、新たな挑戦を、私は期待している。遠くからエールを贈ることしかできないが。
★今度の日曜日26日、中学校のオープンスクールがいよいよ開催される。
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