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2018年8月26日 (日)

【21世紀型教育機構シンポジウム】 IB、AP、Alevel、2020年大学入試改革は同じ根っこ。それなのに、日本は・・・。

9月2日、21世紀型教育機構は、静岡聖光学院でシンポジウムを開催するが、時期的にあわただしくなってきた世界同時的教育改革に、同機構のメンバー校が惑わされない独自のそれでいて世界標準の教育システムのカタチができたことを示すチャンスとなる。

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(21世紀型教育機構加盟校聖徳学園のラーニングコモンズ)

★「世界同時的教育改革」とは、APもIBも2019年からリニューアルするし、Aレベルも2020年から改革が行われる。この流れに乗っているのが、もちろん日本の2020年大学入試改革とそれに伴う学習指導要領改訂である。

★しかし、日本の改革は、残念ながら他の3つの動きに追いついていない。これらの動きは、2009年から2011年の段階で予想していて、それで21世紀型教育機構は、私立学校のコミュニティであることを生かし、この動きにいち早く追いついて、仮に文科省が追いつかない場合でも、日本の子供たちが世界から立ち遅れないようにしようと結成された。

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(21世紀型教育機構加盟校の工学院の田中教務主任(左)、岡部カリキュラムマネジメントリーダー(右)。私の盟友であり、アドバイザー。両先生とも英語教諭だけれど、メジャーは心理学と社会学。田中先生は聖学院の児浦先生とともに21世紀型教育機構のプロジェクトコーディネーター。)


★世界同時的教育改革は、もともとはブレア=クリントン時代から始まった。教育をすべての子供たちにというビジョン。ブッシュ時代には、1人もとりこぼさないという法案まで通したほど。

★しかし、いずれも機会を与えるなど実行性が希薄だったので、オバマ政権の時に実行力ある教育政策がとられた。当時はEUが勢いも増していたころだったから、その流れの中で活躍したのがOECD/PISAだ。

★このころの流れをいっしょに追っていったのが、今工学院でカリキュラムマネジメントリーダーで、工学院の高校の新カリキュラムのデザインをしている岡部先生だ。岡部先生は当時PISAのリーディングリテラシー関連の書籍も出したくらいだ。

★だから、そのオバマ大統領の教育政策とPISAの動きを、具体的に実際的にリフォームして動いているのが、IB、AP、Aレベルである。

★これになぜ日本の教育改革が追いつかないかというと、思考コード的発想を、2009年に研究したにもかかわらず、そして学習指導要領で、実際には埋め込んでいるにもかかわらず、可視化していないために、国民が、これが世界同時的教育改革に歩調を合わせたものであることがわからないままだし、教育現場でも同じことになっている。

★オバマ大統領はざっくりいうと、米国では賛否の多い、オバマケア同様、教育でもコモンコアという共通基準をつくったのである。コモンコアに合わせて各州はカリキュラムを組み立てるのである。40州前後は賛同したようだ。

★しかも、CBTでアセスメントを行っていく。CBTのインフラを整備するのが日本に比べ簡単にいくのは、もう一つの教育政策STEMにものすごい予算をかけたことだ。すべてのこどもにコンピューターサイエンスをということで、多くの学校にメイカーズスペースという、今でいうファボラボスペースも設置してしまった。

★さらに、この共通基準コモンコアは、米国基準ではなく、世界基準にしたてあげた。これとコンピューターサイエンスが結びついたので、21世紀型スキルをMicrosoftとAppleが鎬をけずる競争をするようになった。この流れはすぐにSNS、AIにも結びついた。

★ここからは、日常いろいろな現象をみているので、説明する必要はないだろう。問題は、その現象ではすっかり隠れてしまっているコモンコアの大きな役割だ。

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★CBTと親和性もあるということで、言語と数学のコモンコアは、A軸思考とB軸思考に絞られたのである。これはPISAも歩調を合わせた。Aレベルも結果的に合わせた。

★これによって、世界同時的に公立学校は、A&B軸思考をしっかり学ぶ地ならしができたのである。オバマは、これによって、中国の大学を出た人材とアメリカの大学を出た人材との給料格差がなくなるように仕掛けたのである。当時北京大学卒業生とセントルイスの大学卒業生との間の年収格差が例に挙げられていた。

★そんなことをオバマ政権は考えていたのか?そういう現実的なことを考えるのが、オバマ大統領のすごいところだった。理想主義と思われているが、それは改革反対論者にとっての評価に過ぎない。

★とはいえ、共通基準は、両刃の刃であることもすぐに富裕層は了解した。それにからめとられたら、年収がフラットになってしまうからだ。そこで、IBもAPも世界大学ランキングTOP大学と連携して、コモンコアを超える基準を重視するカリキュラムに変更した。

★それが「思考コード」でいうB軸思考とC軸思考なのである。Aレベルは、公立学校も共通なので、そこは寸止めなのだが、そのかわり、ファウンデーションやオックスブリッジの口頭試問をIB、APと同レベル、つまりB軸思考、C軸思考に焦点をあてて問いを作成することになった。もともとそうだったが、自覚的になったというほうが正しいかもしれない。

★コモンコアが世界標準であるから、その上の基準を、IB、AP、ファンウンデーションは設定しても、その上位の基準も世界で共通して使えばよいという発想が広まった。たとえば、APは、今までは、SAT同様、l米国でつかわれてきた認定試験だけれど、一気呵成に世界で通用する認定試験になった。

★米国大学以外でも、IB同様APのスコアが通用する。しかも外国人がイギリスの大学に進む場合、すぐには入学できず、その前に1年間ファンデーションコースを受けなければならないが、APはすでにそれを履修したとみなされるようになったのである。

★しかし、IBのTOKやEEのような教科横断型コアプログラムがないから、2019年から本格的にそのプログラムを再構成することになった。それが、APCapstonである。クリティカルシンキング、アカデミックスキルの習得、日本語で10,000字くらいの論文編集力がメインだ。

★要するにIBとAPはかなり接近している。ただし、APの方がコスト的には安いし、各国のカリキュラムと融合しやすいという利便性がある。

★こんなことをリサーチして21世紀型教育機構は出発した。「思考コード」にこだわったのは、世界同時的教育改革は、複雑多肢で、わかりにくいが、要は、「知識・理解・応用・論理」の思考の質を「応用・論理・批判・創造」の思考の次元にあげることなのだ。IBはこれを低次思考から高次思考にシフトするという。

★そして、「アカデミックスキル」は「思考スキル」として、授業にコンパクトに埋め込むことにした。「論文」も、「探究論文」として、6年間のうちどこかで学ぶことにした。


★コモンコア以上の基準をクリアすることに集中したのである。そして、そのとき、世界標準になるには、英語もCEFR基準でC1を目標にすると決断したのである。おそらくそこを目させばB2は行けるだろうと。

★今回の2020年大学入試改革や学習指導要領改訂は、A軸思考からB軸思考にまではシフトする。それだけでもすごいことだ。コモンコアには適合するからだ。しかし、これでは、少数の生徒しかIB、AP、ファンウンデーション(Aレベル改革の本音)レベルの学びをしない。

★実は、21世紀型教育機構は、すべての生徒がB軸思考・C軸思考を学べる環境をつくるということを目標にしている。文科省が、コモンコアに適合する教育改革を行い、あとはIBやAPなどに任せるではなく、日本の一条校で引き受けることができる教育改革をというわけだ。

だから、21世紀型教育機構から世界大学ランキングTOP大学に進学するようになった流れは、その証明なのだ。

★IBもAPもアジア・アフリカ戦略は当面激化する。そのときに、日本はどうするのだろうか。導入するもよし、21世紀型教育機構の加盟校のような教育をするもよし。後者だと、やろうと思えば公立学校でもできる。前者だと、公立学校は自治体が、予算を出す必要がある。

★この世界同時的教育改革は、当然教育はビジネスだという考え方が大前提だ。経済を考えるのは必要だ。しかし、そのビジネスが意味するところが、20世社会を牽引してきた経済システムだとしたらどうだろう。

★ハーバード大学やダボス会議で、新しい経済シテムをデザインし始めているのは、今度はPISAではなく、SDGsと結びついているからだ。

★21世紀型教育機構は、教育としてはIBやAPの思考次元にチャレンジしているが、経済システムについても、やはり21世紀型の新しい経済システムをデザインできるソフトパワー人材をと考えている。これに関しては工学院の田中教務主任と、機構のプロジェクトコーディネーターというポジショニングで、いつもブレストしている。

★いずれにしても、日本の教育改革が、あくまでコモンコアまでの射程であって、欧米のように、高次思考力を有した人材を世界からゲットしようという動きは実に小さい。小さいというのは、帰国生入試とは、そういう意味があるということなのである。それゆえ、帰国生入試が実行戦術として、中学から大学まで、今重宝されているともいえる。

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