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2018年8月16日 (木)

【思考コード分析10】 ボーム型思考論的転回

★1990年に行われたデヴィット・ボームの対話セッション集「ボームの思考論」を首都圏模試センターの「思考コード」に当てはめながら読んでいくと次のようにコードを分類できることに気づいた。この分類というのが、ボームに言わせると、行き過ぎるとヤバいということだから、このくらいでいい感じなのかもしれないと思いつつ。

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★1990年だから、当然、あの1989年を意識して行われている。思考論的転回は、ある意味時代の転換期と呼応しているということだろう。

★そのときに、ボームは、すでにピーター・センゲのシステム思考についても言及している。センゲは“Systems thinking”としていて、ボームは、それを汚染された思考システム“Thought as a System”と区別している。

★システムについて、ボームは首尾一貫性“coherence”がなければならないとし、この首尾一貫性がないシステムをそれを阻害する何らかのものに汚染されたと表現している。

★思考システムは、言葉、身体、脳神経系、五感、感情、知覚、政治、経済、文化、科学、学問などすべてが結びついてできているとする。私たちは、生まれたときにすでにそれらのシステム内に投げこまれている。

★まるでそれは思考遺伝子と言った方がよいかもしれないが、その遺伝子が汚染されていたら、世界もまたたいへんなことになる。

★だから、その都度部分的にThought as a Systemは、Systems thinkingによって覚醒され、修正されてきたというのだろう。

★2020年大学入試改革は、まさにこの知識偏重の汚染されたThoughtを再び、Thinkingによって軌道修正される転換期とボームの考え方を応用してみなすことができる。1989年の歴史的転換が、ようやく日本の教育においても大きく波及してきたということだろうか。

★しかし、そう簡単に、汚染された思考システム内で考えている人々が、システム欠陥に気づくはずがないともボームは見通している。

★だからといって、気づくことができないということではない。洞察“Insight”が、それに気づくきっかけを生み出すというのである。

★まさに内側を見るという内省である。これによって、システム内を創造的に破壊をするSystems thinkingが作動するということか。しかし、それもある一定の範囲内で、全システムをリフォメーションすることはできないと。だから進化システムがあるということだろうが、ニュートンを例に出し、あの優秀で頭脳明晰なニュートンも、万有引力についてはすぐに解答を求めずに、しばらく不知の状態“State of not knowing”の状況を維持したという。

★洞察というのは、この状態のことをいうのだろうか。この不知の状態は、辛く重く不快でもあり、今はやりのワクワクするような状況とはちょっとかけはなれている。

★おそらく、ワクワクするような学びと言っているうちは、Tohught as a Systemが作動しているのだろう。このシステム内のちょっとした気晴らしとか転移という意味で活用されている可能性がある。「ワクワクするような」という言説には要注意だという洞察が、Systems thinkingを働かせる、つまり創造的破壊を働かせることにつながる。

★わくわくとかワクワクとかは、すぐに枠々になり、Thought as a Systemに包摂されてしまう。IBやAレベル、AP、21世紀型教育機構システムなどの優れたところは、このThought as a Systemを内省(リフレクション)する洞察機能とクリティカルシンキングとクリエイティブシンキングを養うプログラムを生成し続けるというコトだ。

★中学入試や大学入試で、思考力型入試がトレンドになるのは、このThought as a SystemからSystems thinkingへのパラダイムシフトを示唆している。

★しかし、すぐに汚染された思考システムがその動きを無化しようとして、民間英語検定試験をどのようい活用するか決められない云々という戦略で本質的転換を阻害している。

★英語は重要だが、汚染されたシステムの存在を主張する流れに戦略的に利用されている昨今の傾向が一方である。そして、人類が誕生して以来のシステムであるから、この全システムをリフォームすることなど、無理であり、だからこそ、常に洞察、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングを発動できる状況を持続可能にしなければならないとボームは語るのだろう。

★新タイプ入試に反対したり無視しようとする動きは、汚染されたthought as a Systemの動きであり、新タイプ入試を促進しようというのは、Systems thinkingnの動きであるということなのかもしれない。

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